Focal Points

2018.8.21 Tue

<7月号レビュー>
ゲノム編集の進化とリスク、一帯一路戦略の挫折、ほか

疾患を引き起こす遺伝子上の変異を修正し、生物種に有益な形質(遺伝上の特性や性質)を新たに与えることができれば、どうだろうか。いまや、それを可能にするツール(クリスパー)をわれわれは手にしている。好ましい形質を得るために、それが何によって左右されているのかのDNAコードさえ知らずに、何世代もかけて試行錯誤を重ねて品種改良するのではなく、特定のDNA情報を改変するだけで、鼻を大きくし、病原菌への耐性を与え、(作物の)栄養価を高くするなど、思いのままだ。医学から農業までのあらゆる分野で、近代生物学の応用の仕方が変わりつつある。(ダウドナ)

中国によるインフラ融資が国際的な影響力を確立することが目的だとしても、その効果はほとんどない。現在、中国から多額の融資を受けている債務国の多くと中国との二国間関係はむしろ冷え込んでいる。もっとも極端な例が、中国が巨額の資金を投入しているスリランカだろう。(国にだけでなく)地方政府も債務から抜け出せなくなり、かなりの反動が起きている。パキスタンは例外だが、一帯一路構想に基づく最大規模の融資の受け手である南アジア諸国は、戦略的にインド、日本、アメリカと再び手を組む路線へシフトしつつある。(バタイネ、ベノン、フクヤマ)

反グローバル化勢力が新たな障壁を築き、自由貿易協定に背を向けるなかでも、グローバル化は前進を続けている。ただ、違う道のりを歩んでいるだけだ。これまでのグローバル化は貿易を基盤とし、欧米が主導してきた。これに対して現在進行しているグローバル化は、デジタル技術にけん引され、中国をはじめとする新興国のリーダーシップが大きくなっている。このプロセスも破壊を伴う。特定の経済部門や雇用を消滅させる一方で、新たな勝者をもたらす。企業と政府は、新しいグローバル化に派生する「迫り来る破壊」に備える必要がある。(ルンド、タイソン)

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