Focal Points

2018.8.20 Mon

<8月号レビュー>
分離独立運動の未来、人的資本投資と経済成長、ほか

国家の仲間入りを果たしたい以上、分離独立運動も主権原則を尊重している。だが独立を果たせば、分離独立しようとする国の主権を犯すことになる。既存の国家は分離独立運動に眉をひそめ、独立を否定する立場を共有しようとする。しかし、既存の国家と国際機関が国として機能できそうな分離独立運動の国際的承認を拒絶し続ければ、運動は自制をかなぐり捨てて、暴力に訴えるようになるかもしれない。一方で、政府の樹立と承認に向けてクリアすべき条件を示せば、必然的に既存の国家主権の基盤を損なうことになる。(ファザル)

研究によれば、学校教育を1年多く受けると、平均して約10%収入が増加する。教育の質も関係してくる。例えば、アメリカでは、小学校のクラス担任を質の低い教員から平均的教員に替えると、その教室の生徒たちの生涯収入の合計は25万ドル増加する。さらに、人的資本への投資は信頼も増大させる。教育レベルが高くなると、他者をより信用するようになる。信用が機能する社会ではより高い経済成長が期待できる。さらに、人々はより寛容になる。20世紀半ばにヨーロッパ各地で行われた一連の義務教育改革によって、それまでよりも多くの人が移民に対して寛容になったとする研究もある。(キム)

各国の都市がグローバルレベルで直接交流するケースが増えている。都市の指導者たちは、他国の都市と連携し、災害からの復旧やリスク緩和について意見交換し、持続可能な開発、インフラ、治安、気候変動などの問題に取り組んでいる。都市間の協調ネットワークを通じて、都市が自分たちにとって無縁ではない地球規模の切実な課題に協調して取り組むようになり、国際社会で都市がリーダーシップを発揮する機会が作り出されている。国際条約に署名するのは今も国家の役割だが、都市は迅速に行動できるし、集積された知識を行動に生かし、グローバルな問題に協調して取り組むことができる。(アイレス)

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