Focal Points

wikimedia / U.S. Department of State

2018.6.7 Thu

<6月号プレビュー>
次期サウジ国王の野望と夢
―― 壮大な社会・経済改革の行方

サルマン皇太子が着手した改革が長期的にどのような作用をするかは、彼が実際にどのような指導者になるかに左右される。皇太子が中国の習近平のような指導者になれば、反政治腐敗キャンペーンを政治的得点稼ぎだけでなく、実際に経済を改革するために利用するだろう。適切なインセンティブが与えられ、政府が健全な政策をとれば、再編されて鍛えられた民間部門が成長のエンジンの役割を担うようになるかもしれない。一方、皇太子がロシアのプーチン大統領のような指導者になれば、古い特権階級を、自分が選ぶ新しい集団へ置き換えるだけに終わるだろう。実際に、そうなる危険もある。(ゴースIII)

「ビジョン2030」などの一連の政策の目的は、石油収益に依存した福祉国家から、金融、製造業、環境産業などのさまざまな産業を擁するダイナミックで多様性に満ちた競争的な市場国家へサウジを変貌させていくことにある。こうした民間部門の成長が実現すれば、サウジの経済基盤は多様化し、GDPは拡大し、かつてなく大量の雇用が創出されるだろう。この最後のポイントがこの国の社会・経済にとってはもっとも重要になる。(クローリー、ベンシー)

その支持者からはすでに英雄とみなされているとはいえ、サウジを変貌させようと試みるなかで、サルマン(副)皇太子が深刻な課題に直面していくのは避けられない。戦略、国家能力、財政規律から戦争や地域的混乱に至るまでの、あらゆる要因が一つだけでも移行プロセスを覆す危険を秘めている。しかし、彼にとっての究極のテストは、サウジ市民とアメリカに彼の改革プランをうまく説明して、その支援を引き出せるかどうかだ。(サーブ)

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