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Photo / 内閣官房内閣広報室

2018.4.18 Wed

ドナルド・トランプと日米関係
―― 貿易と安全保障

中国が望むヒエラルヒー的地域秩序を確立するには、アジアからワシントンの影響力を取り除き、その空白を中国自身が埋めなくてはならない。しかしこの場合、アメリカとの同盟関係がもはや頼りにならないと判断した日本が核武装する可能性がある。日本が核兵器を獲得すれば、韓国、そして台湾もそれに続く強いインセンティブをもつようになる。中国としてはそのような事態は何としても避けたいはずだ。こう考えると、アジア秩序が中華秩序に置き換えられていくことも、アジアを互いの影響圏に二分するような大掛かりな米中合意が結ばれる可能性も低いだろう。(コーシカン)

日本は他の参加国と協力してTPPの命脈を保ち、いずれアメリカが参加できるような枠組みをつくるべきだし、適切な環境が整えば、東京はワシントンが「パリ協定」へ復帰するのを支援すべきだろう。また、北朝鮮危機が悲劇的状況へ陥っていくのを防ぐために、アジア諸国と連携してリーダーシップをとることもできる。それがトランプのアメリカであっても、アメリカに対して常に門戸を開いておくこと。これが、アジアだけでなく世界で日本が積極的に担うべき役割だろう。(彦谷)

TPPなしでは、アメリカの製造業者や農家にとっての輸出市場を拡大させるチャンスが奪われ、日本経済がより競争力をつけ、グローバル化するチャンスも失われる。実際、アベノミクスとして知られる安倍首相の経済プランは、農業部門改革の執行メカニズム(論理)として、TPP合意を利用しようと考えてきたし、多くの国にとって、多国間合意を盾にすれば、難しい国内改革を進めることができるというメリットもあった。(オースリン )

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