Focal Points

photo / The White House

2018.4.06 Fri

【4月号プレビュー】
アメリカの対中戦略を考える
―― 対決か協調か

ワシントンは、中国という近代におけるもっとも手強いライバルに対応していくためには、中国はリベラルな国際秩序に関与していくことでその行動が変化していくだろうという希望的観測を対中アプローチから取り除く必要がある。ワシントンはアメリカのパワーと行動、さらには同盟国とパートナーのパワーと行動により目を向けるべきだ。そして、中国に関するより現実的な前提を政策の基盤にすれば、アメリカの利益をうまく促進し、二国間関係の基盤をより持続可能なものにできるだろう。(キャンベル、ラトナー)

台頭する国家は自国の権利を強く意識するようになり、より大きな影響力と敬意を求めるようになる。かたや、チャレンジャーに直面した既存の大国は状況を恐れ、守りを固める。この環境で、誤算のリスクが高まり、相手の心を読めなくなる。米中にはこの「ツキジデスの罠」が待ち受けている。さらに、双方は国内政治体制を基にした国際ビジョンや物事をとらえる時間枠も異なる。米中は「ツキジデスの罠」にはまるのを回避するためには、古代中国の思想家・孫武がいうように「敵を知り己を知れば百戦危うからず」、つまり自国だけではなく相手への理解を深めることが重要となる。(アリソン)

トランプ政権は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を、あらゆる地域プレイヤーが繁栄と安全を手に入れるための包括的ビジョン、そして中国に対抗するアメリカの同盟国とパートナーのためのネットワークとして描いているが、この戦略に中身はない。アメリカとその同盟国がアジア太平洋地域におけるもっともダイナミックな大国である中国を敵として扱って、安全と繁栄が包括的なものになることなどあり得ない。リビジョニストパワー、現状維持パワーという二つの顔をもつ中国の複雑な自己アイデンティティの片方にだけ焦点を合わせて、二つの大国間の存亡をかけた抗争をイメージするのは間違っている。(スワイン)

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