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2018.3.20 Tue

イスラム教徒と欧州左派政党の未来

「どうすれば労働者階級の支持をつなぎ止めつつ、難民・移民問題に対処し、移民有権者にアプローチできるか」。ヨーロッパの難民・移民危機は欧州政治を右傾化させただけでなく、左派政党の政治戦略上の課題も露わにした。左派政党がイスラム系移民の政治的取り込み策を続ければ、左派の支持基盤である進歩主義的なコスモポリタンたちを遠ざける一方で、(排外主義の立場をとる)右派ポピュリズムをさらに煽りたててしまうという問題を生み出した。(ダンシガー )

現在のヨーロッパのポピュリストはナショナリズムではなく、ヨーロッパを包み込む文明を「キリスト教」という言葉で表現し、それをイスラム文明と対比させている。彼らがキリスト教を引き合いに出すのは、(他者と区別するための文明的)帰属を示すためだ。ヨーロッパの文明論的ポピュリズムが問題なのは、そもそもイスラム世界の一部に存在する過激な反西洋姿勢を、イスラム教徒にとってより信頼できる魅力的な思想にしてしまう恐れがあることだ。(ブルベーカー)

ヨーロッパでなぜポピュリズムが台頭しているのか。既存政党が政策面で明らかに失敗していることに対する有権者の幻滅もあるし、「自分たちの立場が無視されていると感じていること」への反動もある。さらに、中道右派と中道左派がともにより中道寄りの政策へと立場を見直したために、伝統的な右派勢力と左派勢力を党から離叛させ、いまやポピュリストがこれらの勢力を取り込んでいることも一因としてある。厄介なのは、ヨーロッパが直面する問題はEUの統合と協調を深化させることでしか解決できないにも関わらず、ヨーロッパの有権者たちがこれ以上ブリュッセルに主権を移譲するのを拒絶していることだ。(ブローニング)

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