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Chairman of the Joint Chiefs of Staff from Washington D.C, United States / wikimedia.org

2017.10.13 Fri

トランプと戦争
――北朝鮮・中国とどう向き合うか

歴史を顧みれば、トランプのような指導者が市民の不満を追い風に権力を握り、敵を屈服させると約束しつつも、軍事、外交、経済上の紛争の泥沼にはまり込み、結局は後悔することになったケースは数多くある。核合意を解体し、中国との貿易戦争を始め、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル実験を力尽くで阻止すれば、そのすべてが紛争へとエスカレートしていく恐れがある。トランプの常軌を逸したスタイルと対決的な政策が、すでに不安定化している世界秩序を崩壊させ、アメリカがイラン、中国、北朝鮮との紛争へと向かっていく恐れもある。(ゴードン)

北朝鮮、そして米韓は、いずれも相手が先制攻撃を試みるのではないかと疑心暗鬼になっている。このような不安定な環境では、偶発事故、間違った警告、あるいは軍事演習の誤認が戦争へつながっていく。北朝鮮にとって核兵器は取引材料ではない。自国に対する攻撃を阻止するための力強い抑止力であり、あらゆる策が失敗した時に、敵対する諸国の都市を攻撃して復讐するための手段なのだ。しかし、危機に対するアメリカの軍事的オプションは実質的に存在しない。金正恩体制が自らの経済的、政治的弱さによって自壊するまで、忍耐強く、警戒を怠らずにその時を待つ封じ込めと抑止政策をとるしかない。(サガン)

台頭する国家は自国の権利を強く意識するようになり、より大きな影響力と敬意を求めるようになる。かたや、チャレンジャーに直面した既存の大国は状況を恐れ、守りを固める。この環境で、誤算のリスクが高まり、相手の心を読めなくなる。米中にはこの「ツキジデスの罠」が待ち受けている。政治や経済制度への考え方の違いだけではなく、国際ビジョンも、物事をとらえる時間枠も違う。必要なのは、相手への理解を深めることだ。対中アプローチを立案しているトランプ政権の高官たちは、孫武の著作に目を通すべきだろう。「敵を知り己を知れば百戦危うからず。己を知るも、敵を知らなければ勝ち負けを繰り返し、敵も己も知らなければ、一度も勝てぬままに終わる」(アリソン)

2017年10月号

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