1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

国防と安全保障に関する論文

変化するアメリカと同盟国の関係
―― 関税と国防負担要請

2025年3月号

ジョナサン・バークシャー・ミラー マクドナルド・ローリエ研究所 ディレクター

長年の同盟国に対して関税という懲罰策を用いていることは、ワシントンの同盟戦略に根本的な変化が生じていることを意味する。カナダやメキシコだけではない。今後ヨーロッパやアジアの同盟諸国にも圧力路線が行使されるだろう。一方、同盟国に安全保障領域での責任分担強化を求めるトランプの批判には一理ある。だが、トランプ政権の行動を前に、同盟諸国は、ワシントンの集団安全保障や経済協力へのコミットメントは、短期的な取引主義の利益に左右されるのではないかと警戒し始めている。ワシントンが無差別な経済的圧力によって同盟国との信頼関係を損なえば、強固で統一された同盟関係を維持することがかつてなく重要なタイミングで、アメリカは孤立するリスクを高めることになるだろう。

ポピュリストと軍部
―― トランプが米軍を支配すれば

2025年3月号

ロナルド・R・クレブス ミネソタ大学教授

二期目のトランプが、米軍の自立性とプロフェッショナリズムを傷つけて、より政治化された組織に変貌させれば、民主主義と米軍の能力はともに打撃を受ける。職業軍人からなる米軍を、憲法や国への忠誠心ではなく、大統領への忠誠やイデオロギー的なリトマス試験紙に縛られた政治的任命中心の軍隊に変貌させて、アメリカがより安全になることはない。ポピュリストのリーダーの歴史が手がかりになるとすれば、トランプが米軍のプロフェッショナリズムや自立性を守ることはないだろう。それは民主主義における政軍関係、さらにはアメリカの国家安全保障にも大きなダメージを与えることになる。

プーチンの対欧米戦争は続く
―― ウクライナを越えた戦い

2025年2月号

アンドレア・ケンドール=テイラー 新アメリカ安全保障センター シニアフェロー
マイケル・コフマン カーネギー国際平和財団 シニアフェロー

プーチンの最終目的は、ウクライナではない。ヨーロッパのポスト冷戦秩序を解体・再編し、アメリカを弱体化させ、彼がふさわしいと考える地位と影響力をロシアがもつ新しい国際システムを形作ることが目的だ。ウクライナでの戦闘が終われば、ロシアはより大胆になり、軍事態勢を立て直せば、ヨーロッパの安全保障秩序を再編するための新たな戦いを始めるだろう。すでにプーチンは、欧米との戦いに備えて、ロシアの社会と経済そして外交政策を大きく変化させている。ロシアの問題は、グローバルな問題でもある。隣国に侵攻し、民主主義社会を攻撃し、国際ルールを破りながらも、制裁から逃れがちだったことは、彼のやり方に追随する者を生み出すと考えられるからだ。

反欧米ブロックへの強硬策を
―― 中露分断策の不毛

2025年1月号

オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学国際問題研究所 センターフェロー

中国、ロシア、イラン、北朝鮮という枢軸メンバー間の相互関係の深さを推定したり、彼らを引き離そうと努力したりするのではなく、ワシントンは、これらを独裁国家のブロックとして扱い、同盟諸国にも同様の対応をとるように働きかけるべきだ。中国を枢軸のリーダーとして扱い、ある枢軸メンバーが好ましくない行動をすれば、(中国を含む)他の枢軸メンバーにもペナルティを課すようにすべきだ。ロシアの戦争努力を支援する中国企業だけに制裁を科すのではなく、アメリカは中国という国を対象に経済制裁を実施する必要がある。そして、ロシアが交渉テーブルに着くまで、制裁は継続すると北京に伝える。もはや代替策は存在しない。

停戦交渉と欧州の立場
―― ウクライナと欧州の安全を確保するには

2025年1月号

エリー・テネンバウム フランス国際関係研究所 安全保障センター ディレクター
レオ・リトラ 新ヨーロッパセンター シニア・リサーチフェロー

2025年に、ロシアとの包括的な和平合意が成立する可能性は極めて低い。合意が成立しても、それは休戦に限られ、政治的協議は先送りされるだろう。交渉が実現しても、米露(そして潜在的には中国)の交渉者が、サウジやトルコの仲介で欧州大陸の将来を決定するとすれば、それは悪夢のシナリオだ。「ウクライナとヨーロッパの主要国がテーブルに着かない交渉などあり得ない」と強く主張しなければならない。そして、ロシアの攻撃を阻む抑止力として、ウクライナ領内に欧州部隊を派遣する覚悟をもつ必要がある。欧州部隊の軍事プレゼンスは安全保障の盾として機能し、欧米の手堅いコミットメントを示すことになる。この環境でウクライナに侵攻すれば、欧州とNATOを巻き込む危険が高いため、ロシアはエスカレーション策に訴えるのを躊躇するはずだ。

AIの台頭と国家の衰退
―― AI企業の台頭と宗教の復活

2025年1月号

ヘンリー・キッシンジャー 元米国務長官
エリック・シュミット 元グーグルCEO兼会長
クレイグ・マンディ アライアント・コンピューティング ・システムズ共同創業者

AIは、国際システムで競合するアクターの相対的地位をリセットし、国家に国際政治インフラにおける中心的役割の放棄を強いるかもしれない。今後、社会的、経済的、軍事的、政治的なパワーを独占するのはAIを所有・開発する企業かもしれない。そして、国籍よりも宗教的単位のほうが、アイデンティティや忠誠心にとって、より関連性の高い枠組みにされるのかもしれない。世界が、AI関連の企業連携に支配されるにせよ、ゆるやかな宗教別のグループに分散していくにせよ、それぞれのグループが権利を主張して衝突する新しい「領土」は、物理的な土地ではない。それは、デジタルランドスケープになるだろう。

このエッセーは、Genesis: Artificial Intelligence, Hope, and the Human Spiritからの抜粋・編集。

ヨーロッパの安全保障
―― 自立的欧州安全保障へ

2025年1月号

ノルベルト・レットゲン ドイツ連邦議会議員

交渉に入れば、トランプが停戦を成立させることを求める国内圧力に直面することをプーチンは理解している。当然、そのような交渉から生まれる合意が、ウクライナやヨーロッパが安心できるものになるとは考えにくい。ワシントンがモスクワの戦争目的を受け入れれば、NATOの信頼性は大きく損なわれ、ヨーロッパの安全保障構造の基盤は揺るがされる。そうならないように、欧州の主要な軍事大国であるフランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、イギリスはヨーロッパ合同戦略の策定を主導する必要があるし、欧米間の適切な責任分担を見直し、防衛力を強化しなければならない。実際、強力な防衛力に邪魔されない限り、プーチンが侵略をウクライナだけで断念することはないだろう。

全面戦争の時代へ
―― 包括的紛争時代の多様な抑止力

2024年12月号

マーラ・カーリン ジョンズ・ホプキンス大学教授

戦争は人間と知的マシンとが協力して、よりスピーディーに展開され、無人機(ドローン)などの自律型ツールに大きく依存するようになった。宇宙とサイバー空間がますます重要され、しかも、「紛争勢力が多様化」している。国、テロ組織、武装集団が入り乱れているだけでなく、ウクライナ国軍にはスペイン内戦以来と思われる規模の国際的義勇兵が参加している。世界が目撃しているのは、過去の理論家が「総力戦」と呼んだものに似ている。だが、新テクノロジーと経済のグローバル化ゆえに、現代の戦争はかつての総力戦の焼き直しではない。全面戦争の時代における抑止をより信頼できるものにするには、戦争の定義が変化し、さまざまな抑止が必要になっていることを理解しなければならない。

国家安全保障というブラックホール
―― あらゆるものが国家安全保障に

2024年10月号

ダニエル・W・ドレズナー タフツ大学 フレッチャースクール 教授

さまざまなアジェンダを国家安全保障問題に加えようとする圧力は大きい。だが脅威リストを拡大するだけでは、予期せぬ事態に備えることはできない。米同時多発テロ、コロナ禍はその具体例だ。何が国家安全保障問題で、なにがそうでないかについて、もっと慎重な議論をしなければ、ワシントンは、そのリソースを広範な問題に薄く分散させてしまう恐れがある。2025年1月に大統領として宣誓する人物が誰であれ、国家安全保障の原則を考慮して、その定義を適正なサイズに戻すべきだ。そうしない限り、政策立案者は、すべてに手を出して、すべてに失敗するパターンに陥る恐れがある。

同盟諸国とのトラブル
―― 気難しいパートナーといかに付き合うか

2024年10月号

リチャード・ハース 外交問題評議会 名誉会長

「友好国や同盟国との立場の違いをいかに管理するか」。この問題へのワシントンの考えはあまり整理されていない。例えば、イスラエルやウクライナのように、ワシントンに依存しながらも、その助言に抵抗することも多い相手に、どのように対処するのが最善なのか。説得、インセンティブ供与、制裁、見て見ぬふり、そして単独行動と、そこにはさまざまなアプローチがある。これらをどう使い分けるか、体系的なアプローチをとる必要があるし、「自国の利益を守りつつ、貴重な同盟関係の断絶を避ける」ために、ときには、相手を批判し、単独行動をとる覚悟をもつ必要がある。

Page Top