1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

政治・文化・社会に関する論文

米外交問題評議会(CFR)は、イラク、北朝鮮、中東問題等を理解するための基礎知識、最新情報をQ&Aスタイルでウェブ(www.cfr.org)上でアップデートしている。Q&Aの一部の邦訳はフォーリン・アフェアーズ、ジャパンウェブサイト(www.foreignaffairsj.co.jp)からアクセスできる。以下は、CFRのウエブ・リソースからの抜粋。

ハーグのミロシェビッチ
――国際的正義の裁きで何が実現できるか

2003年9月号

ゲリー・J・バス プリンストン大学政治学助教授

第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判の成功でさえ、多くの時間を必要とし、その判断が定着するには一世代という時間を要した。恐怖から口を閉ざし、裁判を受け入れずに過去を悔いていない者もいたが、子供たちの世代は、ニュルンベルクを正面から受け止めた。
今日のセルビアでも同様のことが起きるかもしれない。すでにミロシェビッチ後のユーゴには、民族主義的な国家像だけでなく、若者たち、女性を担い手とした競合する未来ビジョンが数多く存在している。

レビューエッセイ
民族紛争という神話

2003年9月号

チャールズ・キング ジョージタウン大学助教授

紛争をめぐる神話は比較的短期間で形成されることが多く、実際には、紛争が起きた後に文化的神話が人為的に持ち出されることがほとんどだ。
紛争を起こすことに対する自制は、一般にかなり大きく作用している。隣人に対して気が狂ったように立腹しても、武器を取るという事態にまではいたらないことのほうが多い。現実の紛争にいたるのは、通常、絶対に失えないもの(例えば、自分たちの故郷)を防衛しようとする場合で、何か欠けているもの(例えば、先祖が昔もっていた領土)を取り戻そうとして、そのような行為に及ぶことは少ない。

世界を分裂させたブッシュのアメリカ

2003年9月号

マドレーン・K・オルブライト 元国務長官

ブッシュ大統領が示した「われわれとともにあるか、テロリストの側にあるか」という二者択一の選択肢は、世界を引き裂いて新たな合従連衡の流れをつくり出し、その結果、イスラム勢力が戦略的優位を確保し、本当の悪であるテロを見えなくし、それを「アメリカの悪魔」に置き換えることを許してしまった。
しかも、質的に異なるテロとならず者国家の脅威をひとまとめにして、イラクとの戦争を正統化しようとした。こうして世界との協調がアメリカの安全をこれまで以上に左右するようになったまさにそのときに、ワシントンは世界を怖がらせ、分裂させてしまったのだ。

米外交問題評議会インタビュー
アメリカに単独行動主義という選択肢はない

2003年8月号

リチャード・ハース 米外交問題評議会会長

レスリー・ゲルブの後任として、七月から米外交問題評議会の会長に就任したリチャード・ハースは、「現在の世界の特徴とは、いかに圧倒的なパワーを持っているにせよ、アメリカ単独では、われわれが直面している課題の多くを解決できない点にある」と指摘し、単独行動主義はワシントンの選択肢にはなり得ないと述べた。六月まで米国務省政策企画部長を務めたハースは、むしろ、今後をめぐる重要なテーマは「単独行動主義か、多国間協調主義かではなく、どのような多国間主義をめざすか」でなければならない、と強調した。
邦訳文は、二〇〇三年七月七日に行われたインタビューからの抜粋・要約。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

米外交問題評議会インタビュー
世界はアメリカをどう見ているのか

2003年7月号

アンドリュー・コート ギャラップ社元代表、ピュー世論調査センターディレクター

イラク戦争によって世界の人々の対米アメリカイメージはますます悪化したと、アンドリュー・コートは語る。ピュー世論調査センターのディレクターであるコートは、多くのイスラム教国家でワシントンに対する反感が広がっており、アメリカを自国に対する脅威とみなす国まで存在する、と指摘した。同センターが行った最新の世論調査によれば、「八カ国のイスラム教国家のうち七カ国において、市民の大多数がアメリカは自国にとって軍事的脅威かもしれないと考えている」ことが示されている。「二〇〇二年の段階でもアメリカはイスラム教徒に嫌われていた。二〇〇三年になると、アメリカは嫌われるだけでなく、恐れられるようになった」と彼は述べている。
イラク戦争によってヨーロッパにおいても反米、反ブッシュ感情が高まっている。ブッシュ大統領は「ヨーロッパのことを理解していないし、気にかけもしない典型的なアメリカ人」とヨーロッパ人の目には映っているようだとコートは分析した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・ディレクター)二〇〇三年六月十八日(邦訳文は、インタビューからの抜粋・要約)。

シーア派とイラクの未来

2003年7月号

イツハク・ナカシュ ブランダイス大学 歴史学助教授

ブッシュ政権が考える新生イラクのビジョンとシーア派が思い描く戦後イラクのビジョンの間には大きな開きがある。ワシントンは親米政権が率いる欧米型の民主的イラクを思い描いているが、シーア派、そして他のイラク人の多くは、自分たちの文化と伝統を反映する独立したイラク、ペルシャ湾における米軍の拠点として利用されないイラクの実現を望んでいる。

アメリカ帝国の虚構
―ソフトパワーを損なう単独行動主義の弊害

2003年7月号

ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学教授

二十一世紀の最大の問題は、世界でもっともパワフルな国家でも管理できない状況がますます広がりをみせていることだ。
新国家安全保障戦略を成功させられるかどうか、そして、他の諸国がアメリカの優位を背景とする戦略を穏やかな戦略とみなすかどうかは、ワシントンが他国の意見に耳を傾け、グローバル社会の利益も促進できるようにアメリカの国益をより広義に定義できるかどうかに左右される。新戦略をうまく実施していくには、新単独行動主義が必要だと考える以上に、ソフトパワーと多国間協調に気を配る必要がある。

パレスチナの信託統治を検討せよ
―「ロードマップ」以降の解決策は何か

2003年5月号

マーチン・インディク 元駐イスラエル米大使

自爆テロと軍事的報復作戦の悪循環によって、イスラエルとパレスチナは奈落の底へと突き落とされつつある。新たに表明された「ロードマップ」和平案も、いずれ失敗するのは目に見えている。
和平を阻む最大のジレンマは「パレスチナ側に責任ある交渉パートナーを誕生させ、パレスチナ治安部隊がうまく任務を果たせるようにしない限り、イスラエル側の責任ある対応も引き出せない」という点にある。必要なのは、ロードマップではなく、このジレンマを唯一うまく断ち切れる「信託統治」のための見取り図だ。イラク戦争によってワシントンが得た新たな影響力を中東和平の実現に向けて生かすためにも、ロードマップ崩壊後の信託統治案をいまから準備しておく必要がある。

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