1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

政治・文化・社会に関する論文

イランがここにきて、ウラン濃縮のための遠心分離器の設置ペースをスローダウンし、国際原子力機関(IAEA)との協議にも前向きな姿勢をとっていることについて、「遠心分離器を設置することはともかく、それを高速で稼働させることをめぐって技術的問題に遭遇しているようだ」と核不拡散問題の専門家、ゲリー・サモアは指摘する。ただし、この動きは「新たな制裁決議を採択しないように安保理を牽制するための政治的試みの一環とみなすこともできる」と指摘した同氏は、制裁が効果を上 げ、国際社会への対応をめぐってテヘランの強硬派と現実主義者の間に亀裂が生じている可能性を示唆する。一方、イラクのシーア派勢力への武器援助については、米軍によるイランの核施設への軍事攻撃を牽制するための手段だとみる同氏は、(イラクに米軍が釘づけにされていれば)アメリカがイランの核施設を軍事攻撃した場合に、イランは、アメリカ軍を標的にした反撃を行うことができる(その結果、アメリカはイランへの軍事攻撃を行いにくい、ある種の抑止状況に置かれることになる)とコメントした。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
トルコでのイスラム政党の躍進は何を意味するか

2007年7月号

スティーブン・A・クック 米外交問題評議会フェロー

これまでトルコで近代主義、世俗主義の擁護者としての役割を果たしてきた軍隊、そして世俗主義の敵とみなされてきたイスラム政党の位置づけが、いまや大きく変化しつつあるようだ。「2002~03年にトルコの政府与党となった公正発展党(AKP)は、他のいかなるトルコの政党よりも、トルコの民主主義に貢献してきた。AKP政権下での民主制度への移行は、イスラム教徒が多数派の国でも民主主義が実践可能であること、イスラム政党が民主的な政党になり得ることを示している」。AKPの民主的体質をこう評価する中東問題の専門家スティーブン・クックは、今回のAKPの総選挙での躍進を、トルコ経済が好調であることと、アブドラ・ギュル外相を大統領候補として出馬させようとしたAKPの試みを、軍と世俗派政党が結託して阻止したことに対する民衆の反発がその背景にあるとみる。軍は「ギュルのような(イスラムの)バックグランドを持つ人物、その妻がヒジャブをかぶっているような人物がトルコの大統領宮殿の主になることは認められない」と明言しており、AKPが再度ギュルを大統領候補に立て、彼が選挙で勝利を収める可能性が高い情勢になれば、軍と政府が衝突することになる可能性もあると今後を展望した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
中東和平交渉を成功させるための条件とは

2007年7月号

デニス・B・ロス 近東政策ワシントン研究所フェロー

ブッシュ大統領が提案した「中東和平に関する国際会議」を成功させるにはパレスチナ自治政府の内部改革と国際交渉をセットにする必要がある。しかし、パレスチナはガザと西岸に分裂し、それぞれの地域をハマスとファタハが管理しており、こうした対立状況をデニス・ロスは「パレスチナの民族主義運動をイスラム主義運動に置き換えようとする勢力=ハマス」と「民族主義運動としての路線を貫こうとする勢力=ファタハ」間のアイデンティティー抗争とみる。いまやファタハはハマスへの反発一色に染まっており、両勢力が交渉で問題解決を図るのは難しい情勢にある。イスラエルとの対立がイスラムとの宗教紛争という構図に持ち込まれれば、解決の見込みはなくなる。したがって、パレスチナ民衆のファタハ指導者や自治政府への信頼を回復するのに不可欠な内的改革を実行させ、ブッシュ大統領が表明した国際会議の開催とこうした自治政府の改革をセットにして、パレスチナの和解、そして中東和平への環境をまとめていく必要がある、とロスは分析する。また、サウジ抜きでの会議では意味がなく、結果を手にするにはアラブ諸国との入念な事前交渉が必要になると強調した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

CFRインタビュー
パレスチナの分裂は当面続く

2007年7月号

ネーサン・ブラウン カーネギー国際平和財団シニア・アソシエート

ガザ地区のハマスはいまも政権を担っていると主張し、一方西岸のアッバス議長も「ハマスがクーデターを起こした」ため、「ハマスの閣僚は解任した」と主張し、すでに新政権を立ち上げている。自治政府の議長は首相や閣僚を解任する権限は持っているが、新たな人物を閣僚に任命する権限はない。「つまり、政治的ではなく、法的観点からみれば、統治組織としてのハマスのプレゼンスの方が強く、アッバスの主張の根拠は弱いということになる」。パレスチナの現状をこう分析するアラブ政治の専門家、ネーサン・ブラウンは、双方とも、自らの政府こそ「パレスチナのすべてを代弁する正統政府である」と主張しており、世論の支持をめぐって、ハマスとファタハは競い合っている状態にある、と状況を分析する。短期的には、「一方が他方を制圧する可能性はほとんどないし、両勢力を和解させようとする試みが、成功するとも思えない。だが、時間が経てば、ファタハは、必然的にサウジがまとめた統一政権樹立のためのメッカ合意へと再び目を向けざるを得なくなる」と同氏は今後を見通した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。

働き口とよりよい生活を求めて、数多くのアフリカの人々が、危険を顧みずに、ヨーロッパを目指して地中海の旅へと繰り出している。アフリカからの移民・難民が殺到しているヨーロッパ諸国は、経済移民および政治・経済難民の受け入れ制度を改革し、域内で調和させる必要性に直面しつつあり、欧州連合(EU)も、これを経済、人道上の緊急課題と捉えだしている。だが、ヨーロッパ各国がこの問題をめぐって、立場を共有しているわけではない。殺到するアフリカからの難民に特に悩まされているのが、地中海沿岸に位置する南ヨーロッパ諸国だ。一方、移民、難民の増大に悩まされる一方で、ヨーロッパ社会の高齢化が進み、出生率が低下するなか、EUは、近い将来に労働力不足に陥ると考えられている。つまり、そこには、アイデンティティーを脅かすアウトサイダーとしての移民、貴重な労働力としての移民という認識上のジレンマがあるだけでなく、その受け入れをめぐって加盟国間に立場の違いがある。

トルコとイラク北部のクルド人との対立がここにきて再燃しており、イラク北部とトルコの国境地帯で紛争が起きる危険が指摘されている。問題は、トルコからの分離独立を求めるクルド労働者党(PKK)の武装勢力が、イラク北部を聖域にトルコへの攻撃を行っていることに派生している。最近ではトルコ軍の高官は、「イラク北部におけるPKKの反乱勢力を一掃するためなら、イラク北部への軍事侵攻も辞さない」と発言している。この他にもアンカラは、イラクのクルド人がイラクからの独立を試みれば、トルコ国内のクルド人分離独立運動を大きく刺激することになると懸念している。そして、これら一連の流れの鍵を握るのが、イラクの石油都市キルクークの帰属問題だ。キルクークの帰属を問う住民投票が、2007年末に予定されているが、すでに、トルコとスンニ派アラブ国家は住民投票の実施に反対し、一方、イラクのクルド人勢力は、投票が実施されなければ、イラクからの独立も辞さない可能性も示唆している。クルド人地域がキルクークとともにイラクから独立すれば、イラン、イラク、トルコ、シリア、アルメニアに広がる広大なクルディスタン地方のクルド人がどう反応するか。悪くすれば、中東はこれまでとは全く別次元の大きな問題に直面する恐れがある。

CFRミーティング
アーノルド・シュワルツェネッガーが語る
環境保護と経済成長

2007年4月号

アーノルド・シュワルツェネッガー
カリフォルニア州知事

これまで長い間、環境保護運動は、「環境を汚染しているのはわれわれ人類だ」という罪悪感によって突き動かされてきたが、いかなる運動であれ、それを成功させるのは人々の熱意であって、罪悪感ではない。「必要なのは熱意と確信、そして健全な危機意識だ」と指摘するシュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事は、環境保護運動が市民への苦情や批判としてではなく、生活を明るくする前向きの活動とみなされるようになれば、大きな転換点を超えられると強調する。政府が環境に配慮した基準や規制を導入することで、市場での技術革新を促すことができることを立証したカリフォルニア州は、「環境経済」の枠内で、「環境か経済かのどちらかを選ぶのではなく、双方を両立させられること、つまり、環境を守り、経済を成長させられることを立証している」。カリフォルニア州はこの点で前向きなメッセージを世界に発しているとシュワルツェネッガーは語る。邦訳文は英文からの抜粋・要約。

インフルエンザ・パンデミックへの備えはできているか

2007年4月

マイケル・T・オスタホルム/ミネソタ大学感染症研究政策センター所長

いまや、H5N1ウイルスが、遺伝子の再集合プロセスを経ずに独自に変異を繰り返すことで、人から人への感染力を持つようになる可能性も浮上してきている。いつ次なるパンデミックが起き、それがどれほど重大な事態を引き起こすかを予見するのは不可能だが、それは間違いなく起きるし、緊密な相互依存を特徴とするグローバル経済のなかでパンデミックが起きれば、相互依存関係は引き裂かれ、これまでのパンデミック以上の甚大な被害を引き起こすことになる。これまで大規模な人への感染が起きていないとしても、このままパンデミックへの備えが進まなければ、最終的に世界は最悪の事態に直面することになる。

中国のパワーを検証する
――軍事、経済、ソフトパワーの実態と課題

2007年1月号

デビッド・M・ランプトン 米中関係全米委員会前会長

アメリカを含む世界各国は、中国の軍事パワーを過大評価し、経済面でも、売り手、輸出業者としての中国の役割を過大評価し、買い手、輸入業者、投資家としての中国の活動を過小評価している。そして、中国のソフトパワーの拡大はおおむね無視されている。一方の中国は、経済成長を持続させることこそ、現在の共産党政府の政治的正統性を維持していくうえでの不可欠の要因とみている。そのために、(技術、投資、戦略物資などの)資源を可能な限り国際社会から調達し、対外的脅威を緩和させようと心がけている。だが、国内での政治的緊張に直面すると対外的ナショナリズムのカードを切ろうとする傾向があるし、経済パフォーマンスが低下すれば、政府の正統性も、中国のソフトパワーも損なわれていく。状況が流動的であるがゆえに、中国のパワーの実態を明確に把握しておく必要がある。

議会の多数派となった民主党が、2国間貿易協定の批准を拒絶し、保護貿易路線を強化していくのではないかとの懸念が浮上している。事実、民主党議員のなかには、自由貿易合意に否定的な公約を掲げて当選した者もいるし、アメリカの労働者を守るために、途上国との自由貿易合意に労働基準、環境基準を盛り込むように圧力をかけることを示唆する有力者もいる。過小評価されたままの人民元レートをバックに、中国がアメリカに対する貿易上の優位を高めつつあるとみなす危機感も米議会では高まっている。山積する貿易問題に民主党議会はどう対処していくのか。

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