情報化時代のソフトパワーを検証する
1998年11月号
情報量の劇的な増大と伝達コストの大幅な低下に特徴づけられる「情報革命」は、膨大な情報を生みだし、かえって、いかなる情報にも応分の関心が寄せられないという逆説的な状況が生まれている。ここで力を得るのは、雑音と大切な情報を区別できるアクターである。また、このアクターが示す価値判断への「信頼」があるかどうかも重要だ。こうした環境の下では、軍事力に象徴される「強制力」ではなく、理念、文化、制度の魅力によって自らが望ましいと思う方向へと他を誘う「ソフトパワー」が、ますます大切になってくる。透明性、情報公開、そして信頼という点で、国家、それも民主国家は、権威主義諸国や市民団体よりも先を行く存在であり、今後、トランスナショナルの時代が到来しても、その存在が淘汰されることはありえない。ただし、ますます多様な情報源を持つ大衆に信頼されるような存在であり続けるには、国は今後、物的資源よりも、むしろ「信頼を勝ち取る能力」に依存していくことになるだろう。
