紛争不介入の奨め
1999年8月号

いまやあまりに多くの紛争が出口のない戦いと化している。その理由は、紛争勢力の一方の圧倒的な勝利、あるいは双方の疲弊という、戦争を終結へと向かわせる力学が外からの介入によってシステマチックにブロックされているためである。国連の平和維持活動、NATOなど多国間組織による介入、国連やNGOによる難民救済活動は、逆に紛争勢力の体力と敵愾心を回復させるだけで、争いを永続化させるだけだ。紛争に直接的な利害関係をもたない勢力による「人道的」介入は、「戦争の悪を増幅させる新たな不正行為」にほかならないのだ。政策エリートたちが、悲惨な状況にある人々のことを心配し、平和の到来を早めたいと願っているのなら、救済という感情的衝動を拒絶して、紛争を流れに任せて、平和への力学を復活させる必要がある。排除された者をその都度助けるのは良心の痛みを和らげるかもしれないが、結局、不安定と暴力を永続化させることになるだけだ。