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環境とエネルギーに関する論文

世界のエネルギー需要がたかまるなか、アメリカ、欧州連合(EU)、日本などの石油市場の主要なプレイヤーたちは、長期的なエネルギー資源調達をめぐる新たなライバルの登場という事態に直面している。それは中国に他ならない。急速な成長を続ける中国は、経済成長を持続させるのに必要な資源を世界各地から調達することを外交政策の目的に据え、各国の資源を自国への供給のために押さえようとしている。中東の不安定な情勢が長期化するなか、中国は、これまで世界がリスク要因の多さゆえに敬遠してきたアフリカの資源に目を向けている。中国のエネルギー調達戦略はアフリカをどのように変えているのか。

2020年までには、ヨーロッパは、消費する天然ガスの4分の3を輸入するようになり、その大半をロシアからの輸入に依存することになると考えられている。しかし、専門家のなかには、ロシアが自国のエネルギー資源を外交政策のツールとして用いだす危険を指摘し、ヨーロッパがエネルギー資源をロシアに依存するのは危険だと考える者もいる。事実、ヨーロッパは、ロシアからの資源の安定供給が脅かされることを恐れて、プーチン政権の国内、近隣地域での強権的手法にもしだいに目くじらを立てなくなってきている。すでにエネルギー資源を盾とするロシアの地政戦略の危険な先例が作り出されつつあるとみる専門家もいる。

CFRミーテ ィ ング
IEAチーフエコノミストが語る、 世界のエネルギー需給見通し

2005年12月号

ファティ・バイロル スピーカー 国際エネルギー機関 (IEA) 経済分析部長  司会  ニューヨークタイムズ記者  ジャド・モーアワッド

「この5~6年をみると、世界の石油の需要増のほぼすべては交通・運輸部門の需要増大によるもので、これはかつてとは違うパターンだ。これまでは、産業、電力生産、家庭での需要増がその内訳だったが、いまや、需要増のほぼすべてが交通・運輸部門の需要増大に引きずられている。だが、この部門を石油以外のエネルギー資源へと移行させていくのは容易ではない。いかなるシナリオをたどっても、今後中東と北アフリカMENA の世界の石油供給にしめるシェアはますます増大していく」(F・バイロル)

地球温暖化、異常気象と今後のエネルギー資源
―― 二酸化炭素固定技術を推進せよ

2005年11月号

ジュリオ・フリードマン ローレンス・リバモア研究所二酸化炭素管理プログラム責任者
トーマス・ホーマー・ディクソン トロント大学平和・紛争研究センター所長

増大するエネルギー需要と不安定な原油価格を前に、一部の先進国は石炭や石油に代わる代替エネルギーの開発を試みている。だがコストのかかる代替エネルギーへの転換では問題の一部しか解決できない。地球温暖化問題を抱えつつも、人類社会は依然として二酸化炭素を放出する化石燃料にエネルギー源を頼らざるを得ない状況にある。幸い、大規模な気候変動を引き起こさずに化石燃料を利用できる技術がある。それが、「二酸化炭素固定技術」と「二酸化炭素の地中貯留技術」を組み合わせたゼロエミッションの石炭ガス化複合発電施設だ。

天然ガスが世界経済を変える
――新たなエネルギー・ビジネスの可能性

2003年12月号

ダニエル・ヤーギン ケンブリッジ・エネルギー・リサーチ・アソシエーツ(CERA)会長
マイケル・ストッパード CERA・グローバルLNG研究ディレクター

天然ガス資源の開発はパイプラインが整備されている地域に供給が限定され、世界規模の市場が存在せず、地域内、国内、あるいは大陸内の取引に限定されてきた。だが、冷却による天然ガスの液化LNG技術が進化して、アメリカの天然ガスへの関心が高まるにつれて、天然ガスをめぐる世界規模のエネルギー・ビジネスが新たに台頭しつつある。 LNG技術によっ< て、天然ガス資源を効率よく市場の消費者に届けられるようになったし、世界は、よりクリーンで環境にやさしいエネルギー源としての天然ガスの開発と供給を待望している。必要なのは、資源の供給と需要をうまく管理できるような規律を備えたグローバルな市場メカニズムを構築 することだ。

論争
サウジ石油の政治・経済的価値とテロ後の戦略地政学

2002年12月号

シブリー・テルハミ  メリーランド大学政治学教授  フィオナ・ヒル ブルッキングス研究所研究員   アブドラティフ・A・アルオスマン サウジ・アラムコ渉外担当役員

二〇〇一年九月の米同時多発テロ事件以降、サウジアラビアとアメリカの関係は政治的に微妙となり、流動化している。加えて、アメリカのサダム・フセイン追放作戦をめぐる米・サウジアラビア関係のきしみも取りざたされる。こうしたなか、世界でクローズアップされているのは、イラク侵攻後の中東情勢、サダム後のイラク再建、さらには、石油の価格と安定供給がどうなり、それが世界経済にどのような影響を与えるのか、シーレーン防衛が見直されることになるのか、そして、これらが世界の安全保障地図にどのような影響を与えるのか、という大きな問題だ。これらのすべてにおいて、サウジアラビアが重要な鍵を握っている。
「テロ後の世界が、ロシア、アメリカ、石油輸出国機構(OPEC)にとって、まったく新たな地政学の見取り図をつくり出していること」を踏まえた戦略をとることの必要性を説いた「石油をめぐるロシア対サウジの最終決戦」(The Battle for Energy Dominance, Edward L. Morse, James Richard, Foreign Affairs 2002 March/April,「論座」二〇〇二年五月号)は、世界で、また石油の九九・七%を輸入に依存する日本でも大きな話題となった。論文の筆者であるエドワード・L・モースとジェームズ・リチャードは、ロシア政府がテロ後の「エネルギーをめぐる新たな地政学状況を政治・経済的に立ち直る好機」ととらえていること、ロシアの石油企業が国際化、市場経済化しつつあることに注目し、ロシアとカスピ海周辺地域などの旧ソビエト地域における市場経済型の石油開発計画が実現すれば、「今後四年のうちに旧ソビエト諸国からの石油輸出の合計は、サウジアラビアの輸出にほぼ匹敵する規模になる」と指摘した。ここに掲載するのは、「石油をめぐるロシア・ファクターを考慮した、テロ後の石油戦略及び地政学の見直しの必要性」を説いた同論文に対する反論と、筆者たちによる再反論。

京都合意を超えて
――現実的な地球温暖化対策とは何か

2002年6月号

トマス・C・シェリング メリーランド大学経済学名誉教授

どのように温室効果ガスの排出を削減できるかもわかっていないのに、特定の目標期日までの排出の量的削減という「結果」にコミットしても意味はない。排出権取引という概念も、排出量の少ない国に賄賂を払って条約を批准させ、自分たちは金で量的削減の帳尻を合わせる、ごまかしにすぎない。主要な先進諸国は、今後数十年にわたって温室効果ガス排出削減のために自ら犠牲を払い、その後、発展途上国を関与させる必要がある。膨大な資源がかかわる地球環境問題を解決する鍵は、削減に向けた各国の「自発的」な取り組みのプロセスと、合意を尊重するメカニズムをどうつくるかにある。

資源の効率利用が育む「新資源」
――アラスカ野生保護区の開発は必要ない

2001年10月号

エモリー・B・ロビンス  ロッキーマウンテン研究所研究担当最高経営責任者 L・ハンター・ロビンス  ロッキーマウンテン研究所戦略分析担当最高経営責任者

エネルギーの効率利用のペースが石油資源の枯渇ペースを上回り続ければ、いずれ石油は低価格であっても市場で見向きもされない資源になる。効率利用によって節約される資源は、いまや国内エネルギー供給の5分の2に匹敵する規模に達しており、これこそ最も急速に拡大している「資源」である。石油価格を引き下げ、安定させることができるのは、唯一需要サイドでのエネルギー効率利用の促進だけだし、効率利用レベルをほんの少し引き上げるだけでそれは実現する。石油の供給を増やすのではなく、使用効率に重点を置いた需要管理措置とクリーンな代替エネルギー促進策を政策の基盤に据えるべきである。

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