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環境とエネルギーに関する論文

核不拡散と原子力の平和利用を両立させる道はあるか

2010年3月号

チャールズ・ファーガソン 米科学者連盟会長

非核保有国が原子力発電用の原子炉を調達すれば、その分、核不拡散のリスクは高まっていく。原子力発電に切り替えるだけでは、有効な地球温暖化対策とはなり得ないが、原子力発電を新たに試みるに適した国が、厳格な安全基準、管理体制、核不拡散のガイドラインを受け入れるのであれば、核拡散のリスクを伴うとしても、原子力の平和利用を認めざるを得ない。また、核拡散を防ぐには、核能力を獲得することが自国の安全保障問題への解決策だと考えている国の安全保障上の不安を取り除き、核兵器を保有すれば国際関係において大国と同等の立場を手に入れられるとする間違った認識を正していく必要もある。この観点から、国連安保理の常任理事国に日本のような核を保有していない地域大国を迎え入れることも考えるべきだ。国際コミュニティは地域大国が抱く不安を取り除き、核を保有することで得られる過大な名声を剥ぎ取り、原子力エネルギーに非核保有国が抱く不合理な期待を引き下げていくように努力すべきだろう。そうすることで、核廃絶のビジョンを支えていくことができる。

2010年1月13日にハイチのポルトーフランスを直撃した大地震による犠牲者は10~20万人に達し、その災害の復旧には少なくとも100億ドルの資金と、数十年単位の時間が必要になると言われている。クリントン政権で米平和部隊のディレクターを務めたラテンアメリカとカリブ海地域の専門家、マーク・L・シュナイダーは、今回の地震災害を「西半球地域における史上最大の国家災害」と描写し、グローバル規模の支援活動が必要になると強調する。「最初に必要なのは、建物と家で、もう一度すべてをやり直さなれればならない」。ハイチの復興にはおそらく数十年はかかり、その支援にはばく大なコストがかかるが、復興の目的は過去のハイチを再現することではない。それは、新しい教育システム、公共サービス機能を持つ「新しいハイチ」を建設することでなければならない。聞き手は、バーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティングエディター)

CFRインタビュー
トタル社CEO、ドマルジェリーが語る
エネルギーと環境のバランス

2010年2月

クリストフ・ドマルジェリー 仏トタル社CEO(最高経営責任者)

「今後がどうなるかについての予測もなしに長期投資を行うのは難しい」。したがって、「環境とエネルギーのバランス」に関する議論の結論がどのようなものになるか。「それが分かるのは早ければ早いほどよい」と考え、われわれエネルギー産業は焦りを感じている。だが一方で、「議論の結論次第では、われわれが想像さえしていないような極端な路線の修正を強いられるかもしれない以上、(長期投資の判断は)結論を待ったほうがよい」という考えももっている。「議論の結論が出るのは早いほうがいいが、・・・・環境とエネルギーの二者択一は良くない、バランスを取るべきだと考えている」。

21世紀のエネルギー安全保障秩序を考える
――エネルギー市場にもグローバルなルールを

2010年1月号

デビッド・ビクター
カリフォルニア大学教授
リンダ・ヨー
オックスフォード大学フェロー

エネルギー資源およびその関連技術は世界的に取引されているが、これらの重要な資源や技術をうまく管理していくための国際システムは分散化し、次第に無力化している。グローバルレベルの国際的な金融、貿易枠組みがうまくいっていることからみても、エネルギー領域でもグローバルなルールを導入すべきだろう。国際エネルギー機関を関与させたエネルギー安定理事会を立ち上げ、そこに間違いなく中国やインドを関与させて、資源の投資、開発、調達に関する市場ルールを協議し、あわせてグリーンニューディールをめぐる国際協調も試みるべきだ。このままではエネルギー市場が危機に直面するのは避けられない。

コペンハーゲンの「不都合な真実」
―― グローバルな合意への期待を引き下げ、国単位の対策を優先させよ

2009年10月号

マイケル・レビ 米外交問題評議会シニア・フェロー (エネルギー、環境問題担当)

温室効果ガス排出量削減の世界的取り組みが、一つのグローバルな条約を基盤に展開していくことはあり得ないし、2009年12月に包括的な合意が成立する見込みもほとんどない。地球環境対策を強化したいと考えている政府官僚や活動家は戦略を見直すと同時に、コペンハーゲン会議への大きな期待を引き下げるべきだ。グローバルな条約ではなく、野心的な国単位の政策と、排出量削減のための特別な機会に焦点を合わせたクリエーティブな国際協調を組み合わせた「ボトムアップアプローチ」を試みるべきだ。コペンハーゲンでの交渉の目的を、先進国の排出量削減へのコミットメントを強化し、途上国の環境対策を経済成長、安全保障、大気汚染など、途上国の指導者がすでに心配し始めている他の領域の問題へとリンクさせる程度へと引き下げない限り、会議はなんの成果も得られないまま終わることになる。

地球温暖化が問題になっているとはいえ、いまや風力、地熱エネルギー、ある特定の太陽光エネルギー技術を含む、数多くの技術が、石炭のような従来のエネルギー源ほど安価ではないにしても、十分な量のクリーンエネルギーを供給できるところまで成熟している。問題は、資金へのアクセスが十分でないことだ。だが、市場メカニズムをうまく利用した排出権取引システムがあれば、この問題に正面から対応できる。・・・排出量割り当てが減少していけば二酸化炭素の価格は上昇し、排出主体が負担するコストは、排出削減のために負担するコストと反比例して増大していく。・・・市場は、資金を分配し、富を創出する強力なメカニズムだ。地球温暖化が地球全体に脅威をもたらしている現在、市場は社会変革を推進するメカニズムにもなる。

ブラックカーボンと低層オゾン対策を
―― もう一つの温暖化対策

2009年10月号

ジェシカ・セドン・ワラック 金融管理研究所(IFMR)開発金融センター所長
ビーラバドラン・ラマナタン カリフォルニア大学サンディエゴ校教授(気候・大気科学)

二酸化炭素排出量削減の恩恵は世界全体で享受できるが、削減コストは各国が負担しなければならない。このコストと恩恵のバランスの見極めが難しいために国際条約をまとめるのは難しい。一方で、リスクが小さく、費用対効果が高く、大きな成果が得られるのに、ほとんど注目されていないオプションがある。それは、光を吸収し(温暖化を進める)「ブラックカーボン(=黒色炭素)」として知られる炭素粒子、そして低層オゾンを形成するガスの排出を削減することだ。黒色炭素と低層オゾン前駆物質の排出量削減はさまざまな意味で有望だ。コストが比較的小さくて済む上に実行しやすく、何十年分もの温室効果ガスの悪影響を相殺し、数多くの恩恵が直ちに得られ、しかも、いますぐに着手できる。

原油価格の安定がもたらす
地政学的チャンスに目を向けよ
―― 原油生産能力は増強され、
需要の伸びは低下する

2009年9月号

エドワード・モース ルイス・キャピタル・マーケッツ マネージング・ディレクター

石油産業の専門家の多くは、世界経済が回復に向かえば、原油の高価格時代がすぐにでもやってくると考えているが、おそらくこの見方は間違っている。より可能性が高いのは、石油その他の資源価格が一定の枠内で変動する時代へと向かうことだ。・・・今後数年は、過去5年間に比べて、原油価格は低い水準で推移すると言っても問題はないだろう。なぜ原油の相対的低価格時代が到来するのか。それは、サウジが余剰生産能力(生産調整能力)を回復し、世界の需要の伸びが長期的に鈍化し、横ばいをたどると考えられるからだ。価格安定期に、産油国に対する建設的な外交を試み、産油国と消費国間のよりバランスのとれた関係を形作るべきだろう。

Classic Selection 2009
地球温暖化対策の切り札としての地球工学オプション

2009年4月号

デビッド・ビクター スタンフォード大学教授
M・グランジャー・モーガン カーネギーメロン大学 工学・公共政策学部・学部長
ジャイ・アプト カーネギーメロン大学工学・公共政策学部教授
ジョン・ステインブルーナー メリーランド大学教授
キャサリン・リック カーネギーメロン大学博士課程在籍

世界各国の二酸化炭素排出量削減が思うに任せず、地球環境が急激に悪化する「ティッピング・ポイント」を超えてしまう危険が迫りつつある以上、政策決定者は、地球温暖化の余波を少しでも和らげるための緊急対応戦略として(太陽光の一部を遮断するために)反射性の粒子を大気中にちりばめたり、あるいは、地球を冷やすためのサンシェード(日よけ)を設けたりするなど、地球規模のスケールで工学システムを配備することの恩恵とリスクの分析を開始すべきだ。ただし、地球工学的なやり方で地球を冷やすことはできるが、大気中に蓄積される二酸化炭素の排出量を減らすことはできないし、その余波がどのようなものになるかもはっきりしない。その時に備えた地球工学の実証的研究を今から進めておく必要がある。

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