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― 中国経済の成長とリスクに関する論文

CFR Events
米中貿易戦争は続く
―― その政治的、経済的意味合い

2019年7月

エドワード・オールデン 米外交問題評議会シニアフェロー(経済・貿易担当)
エリザベス・エコノミー 米外交問題評議会シニアフェロー(中国担当)
マイルス・カーラー 米外交問題評議会シニアフェロー(グローバル統治担当)

最近の大統領のツイートは、米企業が中国を離れて、別の場所、つまり、他のアジア諸国、あるいは国内に工場を移して、アメリカに部品その他を供給させる計画を米政権がもっていることを思わせる。ファーウェイに対する攻撃も、多くの意味で米中経済の切り離しを意図している。少なくとも現状では、大統領は米中切り離し派の立場に耳を傾けている。(E・オールデン)

すべては目的が何であるか、双方が勝利をどのように定義しているか、時間枠をどうみているかに左右される。アメリカ側にも中国側にも何をもって勝利とみなすかについてのコンセンサスはない。実際、より多くの米製品の輸入、より大きな市場アクセス、IT技術の保護で由とする立場から、米中経済の切り離しを求める立場にいたるまで、アメリカ側にはさまざまな意見がある。(E・エコノミー)

習近平モデルの成功と弊害
―― 成功が重荷と化すとき

2019年5月号

エリザベス・エコノミー 米外交問題評議会アジア研究部長

権力を一手に掌握した習近平は、政治、社会、経済に共産党を深く浸透させる一方で、外国の思想の影響や経済的な競争を制限し、野心的で拡張的な外交政策に転じた。これらの多くが成功しているが、一方で大きな問題も生まれている。党が企業に深く浸透するようになったために、中国企業はいまや共産党の一部とみなされている。地方政府は機能不全に陥り、国際的な反発も高まっている。習近平モデルが作り出した問題に対処していくには、一期目のイニシアティブの多くを見直す必要がある。期待をみいだせるとすれば、中国が現在抱える問題のほとんどが習路線の帰結である以上、それを見直す権限も彼が握っていること、そして軌道修正をする時間が残されていることだ。

中国経済のスローダウンと北京の選択
―― 債務危機かそれとも政治的混乱か

2019年4月号

クリストファー・ボールディング フルブライト大学 ベトナム校准教授

中国の経済成長率は鈍化し続けている。人口の高齢化、生産年齢人口の減少、賃金レベルの上昇、都市部への人口流入ペースの停滞、投資主導型成長の限界、外国資金流入の低下など、成長率の鈍化、経済のスローダウンを説明する要因は数多くある。だが重要なのは、中国の家計と国の債務がすでに先進諸国と同じレベルに達し、債務が名目GDPよりも速いペースで拡大していることだ。債務の急速な拡大が危険であることを理解していたのか、北京は信用拡大を抑えて管理するための措置を2018年末にとったが、2019年1月の信用拡大は、2018年の年間社会融資総量合計の24%規模に達した。北京は高い経済成長率のためなら、進んでより大きな債務を抱え込むつもりのようだ。

米中貿易戦争とファーウェイ
―― テクノロジー競争の政治学

2019年3月号

ロバート・ウィリアムズ イェール大学講師

「中国の民間企業に対する共産党の影響力が高まっていること」をワシントンは懸念し、米議会が指摘している通り、中国政府が悪辣な目的でシステムの使用やアクセスを要請した場合、ファーウェイにはこれに協力する義務があること」を問題にしている。ファーウェイがグローバル市場をリードする5Gネットワークが、スマートグリッドから自律走行車までのあらゆるものを支えるテクノロジーなだけに、懸念は高まっている。中国との貿易交渉をワシントンに有利に運ぶために孟晩舟が逮捕されたとは考えにくい。問題は、テクノロジー、経済政策、国家安全保障領域での欧米と中国間の緊張の高まりと不信感に派生しており、アメリカは、中国の経済政策、政府と民間企業の関係の構造的改革を求めている。

次なるサイバー超大国 中国
―― 主導権はアメリカから中国へ

2018年10月号

アダム・シーガル 米外交問題評議会 新興技術・国家安全保障研究 プログラム ディレクター

いずれ中国はサイバースペースを思いどおりに作り直し、インターネットの大部分は、中国製ハードウエアを利用して中国製アプリで動くようになるかもしれない。「難攻不落のサイバー防衛システム」を構築し、インターネット統治についての中国モデルの影響力を強化するだけでなく、人工知能(AI)や量子コンピュータ部門でも世界のリーダーになることを目指し、大がかりな投資をしている。途上国では、中国の「サイバー主権」統治モデルが大きな支持を集めているし、中国は、第5世代モバイル通信システム(5G)の技術標準を確立したいと考えている。もはやワシントンがいかに手を尽くそうと、今後、サイバースペースの主導権がアメリカから中国へシフトしていくのは避けられない。

中国モデルとは何か
―― 権威主義による繁栄という幻想

2018年8月号

ユエン・ユエン・アン ミシガン大学准教授(政治学)

途上国は「リベラルな民主主義」よりも「中国モデル」に魅力を感じ始め、習近平自ら、「他の諸国は人類が直面する問題への対策として、中国のやり方に学ぶべきだろう」と発言している。当然、中国モデルが注目を集めているが、それがどのようなものかという質問への答は出ていない。その経済的成功が何によって実現したかも定かではない。現実には、鄧小平期の北京が、官僚制度の改革を通じて、地方の下級官僚たちが、現地の資源を用いて経済開発を急速に進めるのに適した環境を提供したことが、中国モデルの基盤を提供している。だが、こうした特質は民主国家にとっては、おなじみのものだ。懸念すべきは、中国モデルが欧米や途上世界で広く誤解されていること、そして中国のエリートたちでさえ、中国モデルを誤解していることだろう。

一帯一路戦略の挫折
―― 拡大する融資と影響力の不均衡

2018年7月号

ブッシュラ・バタイネ スタンフォード大学博士候補生
マイケル・ベノン 同大学グローバルプロジェクトセンター マネージング・ディレクター
フランシス・フクヤマ 同大学シニアフェロー

中国はグローバルな開発金融部門で支配的な地位をすでに確立している。だがこれは、欧米の開発融資機関が、融資を基に進められるプロジェクトが経済・社会・環境に与えるダメージについての厳格な安全基準の受け入れを相手国に求める一方で、中国が外交的影響力を拡大しようと、その間隙を縫って開発融資を増大させた結果に過ぎない。しかも、中国が融資したプロジェクトの多くは、まともな結果を残せてない。すでに一帯一路構想に基づく最大規模の融資の受け手であるアジア諸国の多くは、戦略的にインド、日本、アメリカと再び手を組む路線へシフトしつつある。・・・

中国の不公正貿易慣行にどう対処する
―― 関税ではなく、国際ルールの確立と国内投資を

2018年5月号

マシュー・グッドマン 戦略国際問題研究所 シニアアドバイザー(アジア経済)
イーライ・ラトナー 外交問題評議会 シニアフェロー(中国担当)

中国の重商主義に対抗していくことを望むトランプの立場は、アメリカの政治家の間では広く共有されているし、民間部門でも同じ立場をとる人々が増えている。しかし、(相手を問わない、普遍的な)関税引き上げ策で、ワシントンが自国を孤立させ、同盟諸国を不当に扱い、中国の責任を問う集団的な取り組みを損なうことに合理性はない。トランプ政権がこれまでにとった措置の大半は、甘めにみても逆効果だ。むしろ、今後もアジア太平洋を中心とする世界の開放的な貿易・投資環境から恩恵を引き出したければ、ルールに即して行動するように中国に求めるべきだ。そのためには、21世紀に即した新たな貿易・投資ルールをまとめ、前向きなビジョンで国際社会をリードしていく必要がある。

中国のエネルギー地政学
―― クリーンエネルギーへの戦略的投資

2018年4月号

エイミー・マイヤーズ・ジャッフェ 米外交問題評議会シニアフェロー (エネルギー&環境問題担当)

トランプ政権が石油・天然ガスを重視し、パリ協定に背を向けるなか、すでに中国は戦略的にクリーンエネルギー大国の道を歩みつつある。新エネルギー戦略が成功すれば、世界の気候変動との闘い、さらには地域的同盟関係や貿易関係の双方において、中国はアメリカに代わる最重要国に浮上する。クリーンエネルギーテクノロジーの輸出国として中国は、各国に石油・天然ガスの輸入量さらには二酸化炭素排出量を減らす機会を提供できるし、相手国政府との関係も強化できる。冷戦期のアメリカが、ソビエトとの宇宙開発競争に敗れた場合の経済的・軍事的余波を認識して、対抗策をとったように、ワシントンは中国の再生可能エネルギーへの移行にも、同様の対策をとるべきだろう。アメリカは、世界のエネルギー市場における優位を手放すリスクを冒している。

中国型シェアリングエコノミーの落とし穴
―― バブルの崩壊は近い

2018年1月号

ジェームズ・ヤン NAOCジュニア・リサーチ・フェロー

他国では考えられないことだが、中国には、企業価値が10億ドルを超える未上場のユニコーン企業が、シェアリングエコノミー部門だけで12社も存在する。伝統的なシェアリングエコノミーの最大の特徴は、既存資産の利用効率を向上させることにある。しかし、何百万もの新型の自転車や傘を大量に貸し出す中国企業は、過剰供給を作り出しているだけだ。要するに、欧米経済においてシェアリングエコノミーをイノベーティブでディスラプティブにした要因の多くが中国では欠落している。さらに、(携帯電話充電器や傘のような)安価な製品を相対的に高い利用料で貸し出すビジネスモデルは本質的な欠陥を抱えている。これが魅力的であり続けるはずはない。今後、持続不可能なモデルを採用したスタートアップ企業の破綻と統廃合が進むだろう。

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