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論文データベース(最新論文順)

米軍基地と戦時アクセス権
―― 台湾危機と日豪基地

2026年7月号

レイチェル・メッツ ジョージ・ワシントン大学 アシスタント・プロフェッサー

敵の近隣諸国で基地アクセスを確保できれば、敵国を米軍の短距離兵器の射程に組み込み、補給線を短縮し、作戦を持続できる。つまり、同盟国やパートナー国の領土、領空、領海、またはインフラを軍事作戦のために利用する権利を認める戦時アクセス権があれば、世界中の国をアメリカの「隣国」に変えることができる。だが、戦時アクセス権を認める国は、米軍がその国から攻撃を試みることで、リスクにさらされる。イラン戦争で湾岸諸国が直面したのと似たような状況に陥る。台湾を中国による侵攻から防衛する計画は、戦時にオーストラリアと日本(そして潜在的にはフィリピンと韓国)の基地にアクセスすることを前提にしている。だがこれらの国が、国内の滑走路から米軍機が出撃することを許せば、中国のミサイルが自国の軍事インフラに降り注ぐ危険を考慮しなければならなくなる。

マラッカとホルムズ
―― アジアの水路を守るには

2026年7月号

リン・クオック ブルッキングス研究所 フェロー(アジア政策)

弱小国であってもチョークポイントを兵器化できること、そして大国が広範なコストを(世界に)課すことも辞さないことを明らかにしたホルムズ危機が、アジアで再現されればどうなるだろうか。アメリカがマラッカ海峡の通過を制限し、中国が台湾海峡を封鎖すれば、世界経済に大きな衝撃が走るだろう。アジアの水路は世界的な貿易、エネルギー、半導体のサプライチェーンの要に位置しており、その混乱は世界経済を揺るがすものになりかねない。すでに米中は、インドネシア諸島の二次的な海上回廊をめぐって主導権を握ろうと競い合っているようだ。

変貌したイラン国家の未来
―― 神権国家からナショナリスト国家へ

2026年7月号

ナルゲス・バジョグリ ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際関係大学院 准教授(中東研究)
バリ・ナスル ジョンズ・ホプキンス大学 高等国際関係大学院 教授(中東研究)

戦争を経て誕生した新しいイランは、神権体制ではなく、ナショナリズムによって規定される権威主義国家へ変貌している。この国は、戦争に勝利したと確信している新たな支配階級である将校集団の自信とテクノクラートの精神によって特徴づけられている。戦争を終結させ、イランの戦果を固め、経済制裁の解除よりも、ホルムズ海峡を通過する海上交通への課金による経済的利益確保への道を開く合意を求めている。戦争はイランを弱体化させるどころか、むしろ力を与えたという確信に根ざす自信が、新しいイランの国際的な展望を形作っている。

教皇レオ14世の存在理由
―― トランプ批判は何を意味するのか

2026年7月号

ビクター・ゲイタン 米ナショナル・カトリック・レジスター紙 国際上級特派員

教皇レオ14世は「戦争が流行となり、戦争への熱意が広がっている」と新年のあいさつで現状を批判し、その後、アメリカの枢機卿たちも、イラン戦争の道徳性に疑問を表明した。アメリカの行動を批判するアメリカ出身の教皇は、トランプ批判勢力の意外な中心人物になるとともに、前任の進歩主義的なフランシスコ時代には分裂していた米カトリック教徒の結束を強化できるかもしれない。保守的すぎると一部にみなされた教皇(ベネディクト16世)と、進歩主義的すぎるとみなされた教皇(フランシスコ)を経て、アメリカの聖職者や多くのカトリック教徒は、レオ14世を「ちょうどいい」存在とみている。これで、カトリック教徒は一つになれるのかもしれない。

トランプ政権と新貿易秩序
―― 安全保障、貿易の均衡、成長を実現する

2026年7月号

ロバート・ライトハイザー 米通商代表(2017―2021)

トランプ政権のアジェンダは、機能不全に陥っている既存の貿易システムを、バランス・透明性・主権という原則に基づく新たなシステムに置き換えていくことにある。新秩序の最大の目的は、経済安全保障、国家安全保障を実現することだ。地政学的敵対国への富の移転を防がなければならない。さらに、各国が恒常的な貿易不均衡を是正し、公正な競争と経済安全保障を両立させることが目標とされる。貿易収支の均衡へのコミットメントに基づく新たな国際貿易体制は、世界経済全体で好ましい資源の分配を実現し、参加国に広く共有される恩恵を生み出し、予測可能性がもたらされるはずだ。

防衛産業をどう再建するか
―― 再生に向けた日本の長い道のり

2026年7月号

マシュー・フィンケル 米外交問題評議会 国際関係(日立)フェロー

日本の防衛産業が硬直化し、競争力がない理由の一つは、唯一の顧客が予算の乏しい自衛隊だったことに関係がある。だが今や、武器輸出の制限が緩和され、そうした「現状」が驚くべきスピードで崩れ始めている。政治的にも文化的にも、これまでとは大きく異なる防衛ビジョン、それも、現在の産業政策や安全保障上の課題とより一体性のあるビジョンへの再編が日本で進んでいる。中国はこうした日本の動きに不快感を示し、中国の政府系メディアは、これを軍国主義への回帰と批判している。だが、他のアジア諸国の解釈は違うようだ。それでも課題は多い。実際、生産能力不足、人材不足、中国依存、輸出体制の弱さ、サイバーセキュリティの脆弱性をいかに克服していくかが、今後問われることになる。

イラン戦争と出口のない交渉
―― 何が交渉の進展を妨げているのか

web exclusive

モハマド・アヤトラヒ・タバール  テキサスA&M大学 行政・公共サービス大学院 准教授

テヘランは、彼らが「ワシントンのアプローチ」とみなすのものと同じ交渉スタイルをとっている。つまり、予測不能で、強い立場からのみ交渉し、ほとんど譲歩せずに相手に大幅な譲歩を迫るやり方だ。このために、少なくとも現状では、真の平和をほぼ実現不可能にするゼロサムの構図が存在する。こうして、新たなニューノーマル、つまり、アメリカがイランに対してある種の封鎖を続け、イランがホルムズ海峡に対して何らかの封鎖を維持し、双方が絶えず小競り合いを続け、全面的な紛争に逆戻りする可能性も残る状況が形作られていくのかもしれない。

朝鮮半島有事に備えよ
―― 北朝鮮の強大化と国際化した対立構図

2026年7月号

オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学 フリーマン・スポグリ国際研究所 センターフェロー

平壌が韓国を侵略すれば、その紛争は、北朝鮮と「アメリカが支援する韓国」との戦いにとどまらず、ロシアや中国も巻き込んでいく。ワシントンは、朝鮮半島の平和維持という任務が抜本的に変化していることを見落としている。いまや平壌を抑止するには、北京とモスクワも抑止しなければならない。この危険な局面でワシントンが後退すれば、戦争のリスクはさらに高まり、アメリカは北朝鮮、中国、ロシアという相手のすべてが核保有国との紛争に巻き込まれかねない。一方で、ソウルが戦争のリスクを懸念しながらも、ワシントンの防衛コミットメントを疑い、懐疑的だとすれば、ワシントンの軌道から離れるような抜本的な措置をとらざるを得ないと判断するかもしれない。

拡大する中国のアジア勢力圏
―― 変化する米中のバランスと台湾

2026年7月号

レベッカ・リスナー 米外交問題評議会 シニアフェロー
ミラ・ラップ・フーパー ブルッキングス研究所 客員シニアフェロー

将来の歴史家は、2026年5月の米中首脳会談を「パワーバランスが中国に有利な方向へ変化し、インド太平洋地域における勢力圏の確立を本格的に始めた瞬間」として記憶することになるかもしれない。認識すべきは、21世紀において、勢力圏は19世紀や20世紀のように軍事的・地理的な支配形態としてだけでなく、重要な技術やインフラの領域で自然に形作られていくことだ。トランプが習近平への譲歩を検討しているいま、その可能性はさらに高まっている。だが、アジアでの中国の勢力圏は、米中間に安定をもたらすパワーバランスを生み出すどころか、壊滅的な危機や紛争の可能性を高めることになるかもしれない。今後の鍵を握るのは、やはり台湾だ。

戦いが終わるとき
―― イランとベトナム、ウクライナと朝鮮

2026年7月号

ギデオン・ローズ 米外交問題評議会 シニアフェロー(非常勤)

イラン戦争はベトナム戦争と、ウクライナ戦争は朝鮮戦争と似た構造をもっている。その終わり方も似たものになるだろう。イランは、かつての北ベトナムと同様に頑迷なまでに(交渉に)非協力的で、共に耐え忍ぶ競争に勝つことに賭けている。次に起こりそうなのは、戦闘を停止し、船舶の航行を再開させつつ、その他の多くの争点については曖昧にしたり、解決を先送りしたりする不安定な合意が成立することだ。一方、ウクライナ戦争は、激しい消耗戦の果てに前線(紛争ライン)を固定化する妥結で戦闘が終わる可能性が高い。交戦国が疲弊し、状況への絶望を深めれば、膠着状態を前に和平合意の可能性は高まる。最終的に、大国が紛争当事国に妥協を受け入れさせることが多い。

※この分析は、アメリカで5月20日に、日本語のデジタルマガジンで5月23日に公開されたものです。

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