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米国に関する論文

悪の枢軸と政権交代策の限界

2005年7月号

リチャード・ハース/米外交問題評議会会長

北朝鮮やイランへの政権交代策、限定的な軍事行動、抑止策など、これらは、いずれも個別の選択肢として検討し得るものだが、これらを外交路線を支える包括的なアプローチを構成する要素として位置づけるべきだろう。外交を重視しなければならない。外交交渉なら成功の見込みがあるし、強硬策への国際的支持を取り付けたいのなら、まず外交的にすべてを試み、それがうまくいかなかったことを立証しなければならないからだ。

核拡散問題を検証する
――日韓は北朝鮮の核にどう反応するか

2005年6月号

スピーカー
ピーター・ヒューシー/米国防大学基金シニア・アソシエート
チャールズ・ファーガソン/米外交問題評議会フェロー
司会
カーラ・ロビンス/ウォールストリート・ジャーナル外交担当チーフ・コレスポンデント

アメリカが前方展開軍を維持し、核の傘を提供し続ける限り、日韓が核武装に踏み切ることはあり得ない。だが、米軍が朝鮮半島から撤退するとなれば、話は違ってくる。(P・ヒューシー)

北朝鮮が公然と核実験を行った場合、これに対して真っ先に核武装化に踏み切るのは、韓国ではなく、日本だろう。最初に倒れるドミノが日本、そして次がおそらく韓国になるだろう。(C・ファーガソン)

6者協議の破綻と北朝鮮問題の行方
――流れは6者協議から2国間協議へ

2005年6月号

ダニエル・A・ピンクストン カリフォルニア州モントレー国際研究所・不拡散研究センターの東アジア不拡散担当ディレクター

北朝鮮が核兵器を保有し、仮に核実験を行ったとしても、中国は北朝鮮の体制の安定を望むだろう。中国や韓国が北朝鮮に対する圧力を強化することに合意するとはまったく思えない。北朝鮮の体制の不安定化を望んでいない以上、強硬な圧力で追い込むのは中韓の利益ではないからだ。(D・ピンクストン)

それは、2001年3月29日、米上院の外交委員会でのジョン・ボルトンの国務次官指名承認公聴会での出来事だった。バーバラ・ボクサー上院議員(民主党・カリフォルニア州)は、ボルトンが「国際連合などというものは存在しない」と過去に述べたことを引き合いに出し、この見解は「アメリカで主流の見解から大きくはずれている」とただした。

外交委員たちの厳しい質問への弁明を試みるボルトンに対して、後に民主党大統領候補となるジョン・ケリー上院議員(民主党・マサチューセッツ州)は、過去の発言からみて、あなたのここでの証言は「指名承認を得るための転向、変節ではないか」と迫る。ここで、ボルトンの強力な支持者で、国連批判を展開し、主権至上主義の急先鋒として知られる長老のジェシー・ヘルムズ上院外交委員長(共和党・ノースカロライナ州)が声を上げる。「ジョン、立場を変えてはいけない。彼らは君を陥れようとしている」(注1)。・・・

次なる核武装化潮流

2005年3月号

ジョン・B・ウォルフスタール/カーネギー国際平和財団アソシエート

核兵器の価値を認め、核拡散を不可避とみなす宿命論が勢いを得ていけば、新たな核武装化の波が起きる。北朝鮮やイランの核開発の脅威を前に、世界は無節操な核拡散へ向かいかねない危険な状態にある。この潮流を押し返せるとすれば、核の平和利用という名目の下に何が許されるのかを再定義することに各国が前向きになり、すべての国が合意するコンセンサスをとりまとめられた場合だけだろう。

NPTとイラン核開発問題の本質

2005年3月号

ローレンス・シェインマン/モントレー国際大学教授

「民生目的と称して、外部から必要な技術のすべてを導入して完全な核燃料サイクルを完成し、NPT第十条の条約脱退の権利を行使して、『状況が変わったので、核兵器を生産する』とイランが言い出したらどうするのか」。NPTの欠陥をこう指摘する核不拡散問題の専門家ローレンス・シェインマンは、五月のNPT再検討会議では、このシナリオをめぐって多くの議論が行われると予測する。新型核の開発に関心を持っているアメリカはNPTを順守していないと批判されても仕方がないとコメントする同氏は、非核保有国が条約上の義務を守るように要請するとともに、核保有国も条約上のコミットメントを守らなければならないと強調した。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

イランの核開発を食い止めるには

2005年3月号

ケニス・ポラック/ブルッキングス研究所セバン中東研究センターディレクター
レイ・タキー/米外交問題評議会中東担当シニア・フェロー

核開発を重視するイランの保守派イデオローグと、深刻な状態にある経済の再建の必要性を重視する保守派リアリストの間には大きな亀裂がある。ワシントンは、欧州、日本などの同盟国からの協調を取りつけた上で「核兵器か経済の安定か」の二者択一をテヘランに迫り、リアリストの立場を強化するために、イラン経済を再生させるような大きな見返りか、あるいは、経済を完全に疲弊させるような厳格な経済制裁を準備しておく必要がある。アメリカと同盟諸国は、核開発を阻止するために兵器かバターかをめぐる最後通牒を突きつけるチャンスを手にしている。

アメリカの経常赤字とドルを考える
――第二のプラザ合意が必要か

2005年2月号

ピーター・ピーターソン/米外交問題評議会理事長
フレッド・バーグステン/米国際経済研究所(IIE)所長

「アジア諸国は、自国通貨が過小評価された状態を保ち、世界の市場への輸出ポジションを強化し、自国の失業問題をアメリカなどの諸外国に輸出するために市場に介入している。これは、国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)のルールを無視した行為である」。アジア諸国を通貨問題の交渉テーブルにつかせるとともに、アメリカでの大がかりな保護主義の台頭の機先を制するには、輸入課徴金の導入さえも検討すべきかもしれない。

ブッシュ訪欧で米欧は和解へ向かう

2005年2月号

ジョセフ・ジョッファ/独「ツァイト」紙発行人・編集長

ドイツの有力週刊紙「ツァイト」の発行人・編集長で、優れた外交コメンテーターとしても知られるジョセフ・ジョッファは、ブッシュ大統領の訪欧によって、米欧和解はシンボル面でも実質面でも軌道に乗ったと分析する。氷よりも冷たかったブッシュとシュレーダーの関係も和解へと向かい、反米路線を外交の要諦とするフランスのシラク大統領さえも、自分の側にシュレーダーをつなぎ止められるか確信がもてなくなってきたために、いまや対米関係の修復に躍起となっている、と。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティグ・エディター)。全文(英文)は、www.cfr.orgからアクセスできる。

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