1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

ロシアに関する論文

CFRインタビュー
アメリカの需要に代わる
牽引車を世界は作り出せるのか

2009年11月号

スティーブン・デュナウェイ 外交問題評議会 国際経済担当非常勤フェロー

現在の経済トレンドを示す指標を見る限り、かなり、ゆっくりとしたペースの経済回復しか期待できないと思う。今回の世界経済の回復は、われわれがこれまでに知るものよりも、はるかにゆっくりとしたものになる。そして、今後10年間における最大の疑問は、「十分な需要を作り出すのが誰になるか」ということだ。これまでも長い間、グローバル・インバランスの問題は議論されてきたし、世界経済の構造を改善していくために各国がどのような政策をとればよいかが争点とされてきた。問題は、これらの政策の多くが短期的な痛みを伴う恐れがあり、それゆえに、政治的には魅力ある選択肢ではないことだ。

米中露トライアングルの勝者は誰か
―中国の影響力拡大は続く

2009年10月号

スティーブン・コトキン
プリンストン大学歴史学教授

ポスト・ソビエト時代における衰退からはすでに立ち直っているが、依然として地域大国のレベルに甘んじているロシアは、それでもグローバルな大国として振る舞おうとしている。その結果、ロシアはアメリカの中央アジアその他での影響力拡大を阻止することに気を奪われ、結果的に中国に足元を脅かされている。一方、中国は、すでにグローバルな大国へと変ぼうを遂げているにも関わらず、多くの場合、地域大国として振る舞うことに徹している。北京は、米ロのジュニアパートナー役を受け入れることで、利益と影響力の最大化を狙っている。ロシアは、アメリカのジュニアパートナーに甘んじることを拒絶することで、図らずも、中国のジュニアパートナーになってしまった。この枠組みは、北京がそうすることが都合がよいと判断する限り続くだろう。

米ロ関係の歴史的転換は実現するか
―― 戦略的パートナーシップを実現させるには

2009年8月号

ロバート・レグボルド  コロンビア大学名誉教授(政治学)

下手をすると、アメリカ、ロシア、中国間のせめぎ合いが今後の世界を規定することになりかねない。そんな事態にならないようにすることがアメリカの現大統領、そして次期大統領の重大な外交課題だ。オバマ大統領は、摩擦と対立という局面を繰り返した米ロ関係の不毛な10年に終止符を打ち、両国を前途有望な未来へと向かわせる大きなチャンスを手にしている。ワシントンは、対ロ政策を小手先でいじるのではなく、新しいページをめくるべきだし、そのためには戦略的ビジョンが必要になる。そうしたビジョンを基にロシアとの協力関係を実現できれば、アメリカとロシアは、広大な旧ソビエト圏内外の動揺を緩和し、一方で中国やインドなどの新興国を新しい国際秩序に取り込んでいくことに向けて協調できるはずだ。米ロの戦略的パートナーシップの本質はこうした目的を実現することにある。

核の脅威を誇張するのは止めよ
―核の惨劇を回避できる見込みはかつてなく高まっている

2009年6月号

マイケル・クレポン ヘンリー・スチムソンセンター共同設立者 

今も世界は核の危険にさらされているが、脅威を削減するのに、脅威を過大視する必要はない。政治家と核不拡散の専門家が警告を発するのに、人々の危機意識をことさらに高める必要はない。国際政治において核を保有することの重要性と意味合いはかつてなく低下している。辛抱強く、一貫した外交を展開してきたことで、いまや核不拡散はグローバルな規範となり、これを受け入れていないのはごく一部の諸国に過ぎない。しかも、すべての安保理常任理事国、そしてインド、イスラエル、パキスタンは「核によるテロリズム」という共通の脅威に直面しており、この共通の脅威の存在が、核不拡散を試みていくための国際的協調基盤を提供している。

CFRブレス・ブリーフィング
最大の脅威はタミフルが
効かないウイルスへと
A(H1N1)が変異していくことだ

2009年6月号

ローリー・ギャレット CFRシニア・フェロー(グローバル・ヘルス担当)、ロバート・マクマホン www.cfr.orgのアクティング・エディター

「なぜ若年成人層がA(H1N1)のリスク・グループになっているかを考える必要がある。この場合に、免疫の弱っている人々、HIV感染者にどう作用するかを考えることも重要だ。次に、致死率を把握する必要がある。そしてウイルスの特性を突き止めなければならない。とくに、2008年9月からアメリカに姿を現し始めた豚インフルエンザとの関係を明らかにしなければならない。そしてタミフルへの耐性を持っているかどうかをつねに警戒しなければならない。すでにタミフルへの耐性を持っている季節型H1N1ウイルスと、今回の新型ウイルスが結びつけば非常に厄介なことになる」。

邦訳文は豚インフルエンザの発生直後、WHOが警戒レベルを4に引きあげるさなかの4月28日(現地27日)に開かれたCFRのプレス・ブリーフィングからの要約。現状でも関連性が高いと思われる部分だけを訳出した。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

国家資本主義の台頭と市場経済の終わり?

2009年6月号

イアン・ブレマー ユーラシア・グループ会長

グローバルな金融危機にもかかわらず、国営石油企業が依然として世界でもっとも戦略性の高い資源の75%を支配し、国有企業そして政府の後ろ盾を持つ民間の覇権企業が、民間のライバル企業に対する競争上の優位を持っている。しかも、政府系ファンドは依然として潤沢な資金を持っている。本当に大きすぎて潰せないのはこれらの企業や組織のほうだろう。いまや市場経済の勢いは弱まり、国と政府が主要な経済アクターとして、主に政治的利益のために市場を利用しようとする「国家資本主義」が台頭し始めている。(冷戦期のような)政治的イデオロギーではなく、「市場経済」と「国家資本主義」という2つの経済モデルをめぐるグローバルな抗争という構図が生まれつつある。しかも、グローバルな金融危機とリセッションによって、「国が管理する資本主義」という強力なブランドが突きつける問題と課題はますます大きくなってきている。

欧米とロシアとの関係の鍵を握るドイツ
――普通の国ドイツに求められる新しい役割

2009年4月

コンスタンツェ・ステルゼンミューラー/米ジャーマン・マーシャルファンド、ベルリン所長

ロシアのヨーロッパ戦略において最大の資産は緊密なドイツとの絆だし、一方、ドイツはモスクワとの「戦略的パートナーシップ」を模索している。これは、ロシアと欧米の緊張した関係の間に身を置くドイツがユニークな役割と責任を負っていることを意味する。「かつてのドイツ問題」はすでに解決されている。ドイツはヨーロッパ、そして欧米という枠組みにしっかりと根を下ろしている。しかし現在では、かつて同様に切実な「新しいドイツ問題」が生じている。それは「ドイツはロシアの行動を変え、必要ならモスクワに対して毅然と立ち上がるために政治資源の多くをつぎ込む能力と意思を持っているかどうか」という疑問に他ならない。

21世紀を制するのは中ロか、欧米か
――権威主義的資本主義国家の復活という虚構

2009年2月号

ダニエル・デューデニー  ジョンズ・ホプキンス大学政治学教授
G・ジョン・アイケンベリー  プリンストン大学教授

ネオコンサーバティブの理論家が提言するように、権威主義国家の復活に対して、リベラルな民主国家が団結して封じ込め、軍事競争、排他的なブロック形成という路線で対抗しても、そうした国々における非自由主義的なトレンドを強化するだけだ。対照的に、地球温暖化、エネルギー安全保障、(感染症などの)疾病などの、世界が共有するグローバルな問題に彼らと協調して取り組んでいけば、権威主義国家が現在のリベラルな秩序に見いだしている価値をさらに高めることができる。つまり、民主主義国家は、相手とのイデオロギー上の違いに注目するのではなく、現実の問題、共有する問題に実務的に協調して取り組んでいくべきなのだ。政治体制ではなく、共有する利益に基づく連帯を模索すれば、反自由主義的な権威主義国家がブロックとしてまとまっていくのを回避することもできる。何よりも、リベラルな民主主義国家は歴史の流れが依然として自らの側にあることを忘れてはならない。

メドベージェフ露大統領が語る
全ヨーロッパ安全保障フォーラムとは
――オルブライト vs. メドベージェフ

2008年12月号

スピーカー
ドミトリー・メドベージェフ  ロシア連邦大統領
司会
マドレーン・オルブライト  元米国務長官

「ヨーロッパ的な機構・制度に参加していないわれわれにとって、ロシアの声をヨーロッパに聞いてもらうことは大きな利益になる。実際、われわれはNATOにもEUにも参加していない。われわれは、すべての問題を話し合えるようなプラットフォームを持ちたいと考えている。……われわれはヨーロッパ諸国が一つにまとまるだけでなく、ヨーロッパを形づくっているNATO、EU、CIS、CSTOというすべての組織がまとまって、さまざまな問題の解決に向けた試みに参加できればと考えている。そうした汎ヨーロッパ的なフォーラムを形成できれば、前向きの役割を果たせるはずだ。……こうしたフォーラムをつくれば、ロシアだけでなく、(NATOやEUなどの)組織に参加しておらず、忌憚なき意見を表明する機会を持たない諸国にその機会を提供できる。このフォーラムがあれば、……8月に起きたグルジアの南オセチア侵略のような危機を今後回避できるようになると思う」

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