アメリカはイラクから撤退せよ
2005年2月号

米軍がイラクから撤退すれば、武装勢力は力の限界を超えた活動をするようになり、手の広げすぎによってバランスを失い、結局は力を失っていくし、いまは反米でまとまっているために表面化していない各勢力間の対立を引き出すこともできる。米軍撤退と近隣諸国との外交交渉を連動させる以外に、イラク安定化への道はない。
1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。
2005年2月号
米軍がイラクから撤退すれば、武装勢力は力の限界を超えた活動をするようになり、手の広げすぎによってバランスを失い、結局は力を失っていくし、いまは反米でまとまっているために表面化していない各勢力間の対立を引き出すこともできる。米軍撤退と近隣諸国との外交交渉を連動させる以外に、イラク安定化への道はない。
2005年1月号
自由を拡大し、圧政を終わらせることを強調したブッシュ大統領の就任演説が内政ではなく外交問題に終始したことは、9・11がもたらした大きな環境の変化を反映しているとジェームズ・リンゼーは指摘する。リンゼーは、今回の就任演説はある種の期待や抱負のようなもので、具体的な戦略を意図したものではないと分析しつつも、就任演説は民主化を求める勢力を勇気づけることには成功したが、アメリカの自由や民主主義に関するダブルスタンダードをこれまでも批判してきたイスラム過激派との戦いでは、大きな問題をつくり出すことになるかもしれないと語った。民主主義や自由を促進すると表明しておきながら、それを抑圧している政権と緊密に協力していると批判されることになるかもしれない、と。
聞き手はバーナード・ガーズマンのコンサルティング・エディター。
2005年1月号
シーア派は人口の多さからみても自分たちが政治権力を握って当然だと考えているし、クルド人は独立を、そしてスンニ派はシーア派の思い通りにされてはたまらないと考えている。さらに、イラクでシーア派が実権を握るようになれば、イラクを越えて湾岸地域の政治再編に大きな衝撃を与えるだろう。
2004年12月号
穏健派のマフムード・アッバスがパレスチナの新指導層の中核を担い、これまでアラファトとの交渉を拒絶してきたアメリカとイスラエルが新状況を前に考えを改めれば、中東和平交渉再開への道も開けてくる、とヘンリー・シーグマン(米外交問題評議会シニア・フェロー)は語る。アラファトの妨害だけではなく、イスラエルの非協力的な態度が、かつて自治政府首相としてのアッバスを追い込んだと分析するシーグマンは、今後のアッバスの成功はシャロン・イスラエル首相の態度に左右され、シャロンの路線はアメリカがイスラエルにどう働きかけるかに左右されると分析する。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2004年11月号
ロバート・ゲーツは、2006年12月上旬に提言を発表したイラク研究グループ(ISG)のメンバーだっただけでなく、2004年に米外交問題評議会(CFR)がまとめたイラン問題タスクフォースの共同議長も務めていた。現在、ブッシュ政権は、内外の政策提言を検証しつつ、イラク政策見直しを行っている。ISGはイラク問題を管理していくための国際会議の開催を提言し、リチャード・ホルブルック元国連大使も、最近のインタビューで、イラク問題を論じるのに、イラン、シリア抜きでは意味がないと発言している。核開発を続けているとしても、イラクの安定化にはイランの協力が欠かせないとすれば、かつてイランへの関与を説いたゲーツ新国防長官はどのようなイラク・イランへの政策スキームを考えているのか。本文は、イラン問題に関するCFRタスクフォースが2004年夏に発表したリポートに関する討論。
2004年10月号
サウジアラビアの石油輸送の拠点が攻撃され、イラクの武装蜂起がさらに激化し、ナイジェリアで民族浄化が起き、旧ソビエトのチェチェン人分離勢力が破壊工作活動を行い、ベネズエラが禁輸策をとれば、世界の石油の供給はどうなるだろうか。非常事態に備えた、多層的な供給ラインの整備が必要である。
2004年10月号
経済問題よりも外交、安全保障問題が重視される二〇〇四年の米大統領選挙で問われる課題は何か。イラク戦争の結末はどうなるのか、テロとの闘いに勝利できるのか、中国の台頭は脅威か、国際協調と単独行動のバランスをどうとるのか。邦訳文は次期大統領の外交課題に関する討論会からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2004年10月号
―― 新大統領の外交アジェンダ 新大統領の主要な外交課題は何か?
専門家の多くは、イラクとアフガニスタンの戦後復興、イラン、北朝鮮を中心とする核拡散問題、テロとの戦い、本土防衛、そして台頭する中国との穏やかな関係の構築を今後のアメリカの大きな課題とみなしている。
ハーバード大学のジョセフ・ナイは、新大統領の課題について次のように語っている。「最優先の課題は、テロと大量破壊兵器(WMD)の脅威への対応だ。第二の課題は、世界におけるアメリカの名声と信頼を再生すること。第三の課題は、中国の台頭にどう対処し、東アジアの安定をどう図っていくかだ」。
2004年8月号
「私はこれまでつくってきた人脈をたどり(イラク戦争に関する)情報メモをつくった。閣僚や政府高官からも情報を得た。そして最終的にこれらイラク戦争に関する情報を二十一ページのメモにまとめ、これが私なりに考える『これまでに起きた経緯、あなたが決断を下した重要なターニングポイントです』と書き添えてブッシュ大統領に送った。すると、コンドリーザ・ライスが『(大統領のインタビューをとれようが、とれまいが)この本を書くつもりですね』と言ってきた。私は『そのつもりだ』と答えた」
邦訳文は、ブッシュ大統領のインタビューを軸にイラク戦争を検証した『攻撃計画』を出版したボブ・ウッドワードを迎えて、二〇〇四年六月に米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラム議事録からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。
2004年8月号
アフガニスタン政府は限られた予算で、「数十億ドルもの資金を自由に使える軍閥や麻薬密売業者を相手に闘いを挑み、競い合わなければならない状態にある」。しかも、国際社会はまだこの国で紛争が続いているというのに、紛争後の計画の実施を試みている有り様だ。アフガニスタンの専門家のバーネット・ルービンは、麻薬経済から膨大な資金を得ている軍閥の力を弱めて、アフガニスタン政府を支援するためにも、アメリカは「タリバーンとの戦争にばかり集中するのではなく、もっとアフガニスタンの安定化を重視する必要がある」と強調する。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。