1994年以降に発表された邦訳論文を検索できます。

ヨーロッパに関する論文

中国をめぐる米欧対立の再燃か?

2005年1月号

ウォルター・ラッセル・ミード  米外交問題評議会シニア・フ ェ ロー

中東問題に次いで、中国との関係をいかに管理していくかがアメリカのグローバルなアジェンダの一つであると指摘するウォルター・ラッセル・ミード米外交問題評議会シニア・フェローは、独仏が対中武器禁輸措置の解除を模索しているのは、ヨーロッパがキャッシュ欲しさに、アメリカの死活的利益を脅かすような行動をとろうとしていることを意味すると批判し、このような状態にある米欧関係をどの程度パートナーシップと呼べるのか疑問に思うと語った。聞き手はバーナード・ガーズマン(www.cfr.orgのコンサルティング・エディター)。邦訳文は英文からの抜粋・要約。全文英文はwww.cfr.orgからアクセスできる。

欧州はアメリカのパートナーかライバルか
――欧州憲法条約は何を意味するか

2004年12月号

ジェフリー・シンバロ/ウェイル・ゴットシャル&マンジェス法律事務所アソシエート

欧州憲法条約は、北大西洋条約機構(NATO)が欧州連合(EU)の安全保障にとって最終的には必要ではなくなると想定しており、仏独が主導するEUが、欧州からのNATO外し、アメリカ外しをねらっていることは明らかだ。統合ヨーロッパはアメリカのパワーを補完するのではなく、アメリカに対するバランスをとろうとしている。ワシントンは、EU内に新しいパートナーを見いだし、アメリカへの対抗軸を担おうとするEUへの牽制策をとるべきだろう。

分裂するヨーロッパ
――ドゴール主義と大西洋主義

2004年12月号

スピーカー
ティモシー・ガートン・アッシュ/オックスフォード大学欧州研究所ディレクター
司会
エリザベス・D・シャーウッド=ランダル/米外交問題評議会準シニア・フェロー

「今回のアメリカでの選挙戦からも明らかなように、アメリカ社会は価値や外交路線をめぐって深く分裂している。一方でヨーロッパでも私が『この十年における大論争』と呼ぶ分裂が起きている。イギリスのトニー・ブレア首相に代表されるヨーロッパの大西洋主義者は、アメリカのパートナーとしての統一された強いヨーロッパが必要だと考え、一方で、フランスのシラク大統領に代表されるヨーロッパのドゴール主義者は、『アメリカのライバル』としてヨーロッパを統合・強化して、二極世界をつくる必要があると考えている。これは新しいヨーロッパと古いヨーロッパの対立ではない。ヨーロッパの大西洋主義者とドゴール主義者の対立だ(訳注:大西洋主義とは簡単に言えば米欧協調主義のことで、ドゴール主義とは超大国に対抗するヨーロッパ中心主義と言い換えることもできる)」(アッシュ)。 邦訳文はニューヨークの米外交問題評議会で開かれたミーティング・プログラムからの抜粋・要約。全文(英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

トルコはヨーロッパの一部になれるか

2004年10月号

デビッド・フィリップス/米外交問題評議会シニア・フェロー

欧州連合(EU)への加盟が実現すれば、トルコはもっと欧米に近づき、「近代的なヨーロッパ国家としてのトルコ」というアタチュルクの夢がついに実現する。だが、ヨーロッパがトルコを受け入れることを拒絶すれば、トルコ国内で欧米に対する反動が起き、ウルトラナショナリストや宗教的過激派が勢いづき、この国の自由化、民主化、非軍事化路線が覆されるかもしれない。文化的にも地理的にも東と西の十字路に位置するトルコの国内政治の展開、そしてトルコのEU加盟問題にヨーロッパがどう対応するかは、今後の西洋とイスラムの関係に大きな影響を与えることになる。

キッシンジャーとサマーズが描く米欧関係の未来像

2004年5月号

タスクフォース共同議長 ヘンリー・キッシンジャー キッシンジャー・アソシエーツ会長
ローレンス・サマーズ ハーバード大学総長 プロジェクト・ディレクター
チャールズ・カプチャン 米外交問題評議会シニア・フェロー

米欧関係は、これまでになく緊張した局面にある。ヨーロッパ人の多くは、アメリカ人はヨーロッパに悪意をもっていると考え、一方アメリカ人の多くはヨーロッパ人の行動に反発し、ヨーロッパ側の脅威認識を的はずれだと切り捨てる。ヨーロッパでは、アメリカというハイパー・パワーを封じ込めるべきだという議論さえある。イラク戦争開始直後の二〇〇三年三月、米外交問題評議会は、キッシンジャー元米国務長官、サマーズ元米財務長官を共同議長に迎え、新しい局面を迎えている米欧関係に関するタスクフォースを組織した。邦訳文は、二〇〇四年三月に公表されたリポートに関するプレス・ブリーフィングからの抜粋・要約。リポート本文、プレス・ブリーフィングの全文(ともに英文)はwww.cfr.orgからアクセスできる。

ハーグのミロシェビッチ
――国際的正義の裁きで何が実現できるか

2003年9月号

ゲリー・J・バス プリンストン大学政治学助教授

第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判の成功でさえ、多くの時間を必要とし、その判断が定着するには一世代という時間を要した。恐怖から口を閉ざし、裁判を受け入れずに過去を悔いていない者もいたが、子供たちの世代は、ニュルンベルクを正面から受け止めた。
今日のセルビアでも同様のことが起きるかもしれない。すでにミロシェビッチ後のユーゴには、民族主義的な国家像だけでなく、若者たち、女性を担い手とした競合する未来ビジョンが数多く存在している。

米欧関係修復の試金石としてのイラク再建

2003年8月号

アンドリュー・モラブシック ハーバード大学政治学教授

ヨーロッパはアメリカの軍事パワーを必要とし、アメリカはヨーロッパのシビリアン・パワーを必要としている。相互補完的な関係にあるこれらのパワーをうまく組み合わせて共通の目的に向かわせ、新たな安全保障上の脅威に対抗できるようにすることが重要だ。
ワシントンは介入には多国間協調が必要なことを認め、一方、ヨーロッパはアメリカのパワーに対する反発を抑え、紛争の予防や戦後復興への関与に伴う重荷の多くを引き受けなければならない。

イラク危機とブレアの深い悩み

2003年8月号

スティーブン・フィリップ・クレーマー 米国防大学歴史学教授

イギリスがイラク戦争をめぐってアメリカとの関係を維持したのは、「特別な関係」を維持してイギリスが傍らにいなければ、アメリカは自制心を失って手がつけられなくなる恐れがあると考えたからだ。
イギリスをヨーロッパに織り込みつつ、新たな対米関係のバランスを見いだすというブレア構想は、イラク危機によって大きなジレンマを抱え込んでしまった。

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