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アジアに関する論文

米外交問題評議会インタビュー
イラクと北朝鮮への対応はなぜ違うのか

2003年2月号

マイケル・マンデルバーム 米外交問題評議会シニア・フェロー、ジョンズ・ホプキンス大教授

以下は、マイケル・マンデルバーム(米外交問題評議会シニア・フェロー、ジョンズ・ホプキンス大教授)の対イラク・北朝鮮戦略についてのインタビューからの抜粋・要約で、一部順序を入れ替えてある。(聞き手は、www.cfr.orgのコンサルティング・エディター、バーナード・ガーズマン)

北朝鮮とイラクに対してブッシュ政権が異なる政策をとっているのは、両国が異なる環境にあり、これまでの対外行動の歴史も違うからだと私は判断している。もちろん、こうした外交路線の使い分けが、政治的に支持されるかどうかはわからない。イラクとの戦争をするのなら、なぜ北朝鮮を放置しておくのかと言い出すアメリカ人がいずれ数多く出てくることになるだろう。

ユーラシアに迫りくるHIVの脅威
――人的犠牲が伴う政治・経済・軍事的帰結

2003年1月号

ニコラス・エバースタット アメリカン・エンタープライズ研究所議長

HIV・AIDS危機の世界的中心はアフリカからユーラシアへと移動しつつある。サハラ砂漠以南の地域でのHIV危機は大きな人道的悲劇だが、それでも、その政治・経済的余波は世界的なものにはならなかった。だが、HIV・AIDSがユーラシア地域、特にロシア、中国、インドで蔓延するようになれば、まったく話は別だ。経済的、軍事的に途方もない規模での世界的余波が生じる。

南アジアにおける平和の構築

2002年11月号

ペルベズ・ムシャラフ パキスタン大統領  リチャード・ホルブルック 前米国連大使、米外交問題評議会理事

カシミールはごく最近まで一触即発の危険な状態にあった。インド側は挑発的な行動をとっていたし、攻撃のための軍事能力も整備していた。現在はどのような状態にあるのだろうか。攻撃の意図は薄れつつあるが、軍事能力は依然としてそこに存在する。そこに印パ双方の軍事力が存在し、二つの勢力が対峙している限り危険は残る。攻撃の意図が一夜にして変わることは十分にあり得るからだ。

東南アジア
――対テロ軍事支援の限界と弊害

2002年7月号

ジョン・ガーシュマン 両半球間資源センター上級アナリスト

アメリカが対テロ戦争の一環として東南アジアを「軍事的に支援」するのは間違っている。人権侵害を起こすことで悪名高い東南アジア諸国の軍隊は、多くの場合、政治エリートの一部やテロ組織を含む犯罪組織と手を結んで、むしろテロを助長する社会環境を育んでいるからだ。軍隊を支援しても、民主体制をさらに弱め、イスラム過激派の魅力を高めてしまうだけだ。ワシントンは軍事援助や各国の法執行当局との連帯だけでなく、東南アジアが直面する社会問題への「文民統制型」の対応策を支援する必要がある。

同時多発テロ後のインドの内政と外交

2002年7月号

デニス・クックス ウッドロー・ウィルソンセンター上級政策研究員

同時多発テロ以降、米印は、政治・安全保障・経済に関する共通の利益をますます重視するようになり、いまや両国の関係は大きく前進し、緊密化している。だが、バジパイ政権は、対米外交では成果を上げつつも、カシミール紛争をめぐってパキスタンと深刻な軍事的対立局面にあるし、国内でも、政治危機、宗教対立、低迷する経済などの難題に直面している。対米関係の改善という成果を、パキスタンとの軍事的危機の解決、国内経済問題の解決に、どうすれば結びつけられるのか。

中央アジアを安定化させるには

2002年5月号

ポーリーン・ジョーンズ・ルオン  イエール大学政治学助教授 、エリカ・ウェインソール テルアビブ大学政治学助教授

中央アジア各国の政治的抑圧体制ゆえにイスラム主義運動が過激化し、民衆を過激派への支持へと向かわせている。これが秩序の不安定化を招き、さらに、穴だらけの国境線を越えて兵器や過激派が自由に移動していることが状況をさらに深刻にしている。過酷な抑圧体制を敷くウズベキスタンを、ブッシュ政権が、対テロ戦争との関連で中央アジアの覇権国に仕立て上げれば、地域秩序はますます不安定化する。イスラム原理主義の脅威をもっぱら軍事問題としてとらえれば、水資源をめぐる紛争、麻薬、難民、武器の流出入など、テロを招いた根本的問題への対応が放置され、不安定な状態が続くことになるからだ。

パキスタンでのイスラム革命を回避せよ

2002年2月号

アナトール・リーベン カーネギー国際平和財団シニア・アソシエート

パキスタンの歴代文民政権同様に、現在の軍事政権も社会・経済状況を改善できないとすれば、イスラム主義が、残された唯一の選択肢として浮上してくるかもしれない。イスラム過激派のテロリストたちは、インドのヒンズー教徒にイスラム教徒を迫害させることが、パキスタンで革命を起こす手っ取り早い方法であることを知っている。その結果インド・パキスタン戦争が起きれば、両国間の核戦争という忌まわしい危険が生じることになる。

グローバル経済の格差をなくすには

2002年2月号

ブルース・R・スコット ハーバード大学ビジネス・スクール教授

現在のグローバル経済では、勝ち組と負け組が必然的に出てくるし、1日1ドル足らずしか稼げない人々が世界にはほぼ10億人もおり、世界的な所得格差はますます拡大している。しかも、これを市場メカニズムで是正していくのは不可能である。問題の核心は、富裕国が移民と農産品輸入に対する障壁を設け、 一方で、発展途上世界の多くの政府が無能で効率性を欠いているために、外国資本を呼び込めずにいることだ。経済発展のためには制度の改革が必要であり、そのためには政治的・社会的近代化も必要になってくる。制度的不備こそが発展途上諸国の経済発展を妨げている大きな障害であり、外部からの助言や援助も制度面での整備に配慮したものとする必要がある。

外交問題評議会タスクフォース・レポート
アメリカと東南アジア

2001年8月号

J・ロバート・ケリー   米外交問題評議会・東南アジア政策タスクフォース議長  ロバート・A・マニング   同ディレクター

以下は二〇〇一年六月に公開された、アメリカの東南アジア政策に関する米外交問題評議会タスクフォースによる大統領へのメモランダムと、リポート本文の要約・抜粋。反対意見を含む英文の全文はhttp://www.cfr.orgからアクセスできる。

米外交問題評議会ミーティング
キッシンジャーが読み解く新世界
――元大統領補佐官が語る新政権の課題

2001年5月号

リチャード・V・アレン、ロバート・C・マクファーレン  

アジアは外交的にはグローバル・システムの一部を形成しているが、戦略的には各国が互いに相手国を潜在的な敵対勢力と見なしていた十九世紀のヨーロッパと同じメカニズムでいまも動いている。だが、最大の問題は特定の一国がアジアを支配しようと試みることで、かつてそのような試みをした日本とアメリカは戦争をした。しかし、そのような試みが具体化していない現状では、中国を含むいかなる国も敵対国と見なすべきではない。(キッシンジャー)

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