
開発中の新型コロナウイルスのワクチン候補は160に達し、すでに治験に進んでいるものも21ある。開発国を含む富裕国は、早い段階でワクチンを入手しようとすでに競い合っている。各国の目的は、他の地域でのCOVID19の感染拡大を抑えることではなく、自国市民へのワクチン供給を優先することにある。このような「ワクチンナショナリズム」は、広い範囲で深刻な帰結をもたらす。有効性が確認された最初のワクチンが出現する日が近づいているだけに、グローバルレベルでの公平な分配をめぐる執行可能なシステムを準備する時間はなくなりつつある。先ず短期的な国際合意をまとめる必要があるだろう。国内における重要な公衆衛生上の目的を達成するための目安、つまり、医療関係者などを含めて、ワクチンをどのような職種の人にどの程度接種すべきかについての信頼できる研究があれば、国内人口のすべてにワクチンで免疫をつけさせるという考えを政治家が先送りし、他国とワクチンを共有することに前向きになれるかもしれない。