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テーマに関する論文

大いなる選択
―― イスラエルの孤立と戦争を終わらせるには

2025年11月号

ヤイル・ラピド 前イスラエル首相

ガザ戦争終結のためのトランプの和平プラン、そして今後12カ月以内に実施される総選挙によって、イスラエルは自らを改革するチャンスを手にする。この国を危機的状況から救うには、何よりもまず人質を解放させる必要があるが、同時に過激派をイスラエル政府から排除することも必要になる。ネタニヤフ政権は、メディアの監視から免れ、法の支配や自由で公正な選挙を守るのではなく、神権政治的で非自由主義的体制の確立を目指している。だが、イスラエルの未来は、市民が決めなければならない。心に大きな傷を抱え込んだ2年を経て、市民の多くは、新たな方向性、変化を求めている。

台湾の現状と安定
―― 「台湾カード」の強さ

2025年11月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所 スカラー
ライアン・ハース ブルッキングス研究所 シニアフェロー

台湾の将来を心配するのは理解できるが、危機は誇張されている。混乱が示唆するほど政治が分裂しているわけではない。その民主主義と市民社会は強固な基盤をもっているし、台湾には世界最先端の技術がある。その経済は依然としてパワフルでレジリエンスがある。これらの強さを基盤に、台湾は防衛改革を進め、軍事支出を増額している。アメリカの支援が削減されても、中国に対する脆弱性は縮小していくだろう。もちろん、これらで、トランプが中国と貿易協定をまとめたり、習との関係を改善したりするために、台湾について譲歩するリスクを確実にヘッジできるわけではない。だが、仮にそうなっても、台湾は自らの未来を形作る重要な主体性と十分な資源をもち続けるはずだ。

二つの東南アジア
―― 大陸国家と海洋国家の分裂

2025年11月号

スザンナ・パットン ローウィー研究所 東南アジアプログラム・ディレクター

東南アジアには二つの国家集団が存在する。カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムなどの中国寄りの大陸国家、そして、米中間のバランスをとるインドネシア、マレーシア、シンガポールなどの海洋国家の集団だ。東南アジアの海洋国家は大陸国家よりも規模が大きく、世界貿易で重要な役割を果たし、より多くの投資や開発資金が外国から流入している。東南アジア諸国を構成するこれら二つのネットワーク間の格差は今後数十年で拡大し、大陸部東南アジアは中国の事実上の勢力圏になるだろう。現実には、この地域での米中バランスは、今後、ベトナムとタイとの関係に左右されることになると考えられる。

揺るがされたアメリカへの信頼
―― 不安定化する世界

2025年11月号

カレン・ヤーヒ=ミロ コロンビア大学 国際公共政策大学院 学院長

トランプは、立場を後退させる前にまず取引を提案する。戦争を拡大する前に、戦争を終わらせると約束する。同盟国を叱責し、敵対国を受け入れる。唯一のパターンとは、パターンが存在しないことだ。一部の分析家が指摘するように、トランプのアプローチは一時的な国際的勝利を一部でもたらしている。だが長期的には、このアプローチでアメリカが強化されることはない。最終的に、各国は他国と連帯して国を守る道を選ぶはずだからだ。その結果、アメリカの敵対国リストは増え、同盟関係は弱体化する。つまりワシントンはますます孤立し、その威信を回復する明確な道筋を見失う可能性がある。

アメリカ後の自由主義秩序を守る
―― 民主諸国の協調と連帯

2025年10月号

フィリップス・P・オブライエン セント・アンドリューズ大学 教授(戦略研究)

多くの国は、トランプ政権に媚びへつらい、米大統領を過度に称賛する努力を重ねてきたが、トランプを懐柔する戦略は失敗する可能性が高い。そうであれば、民主主義と旧来のルールに基づく秩序にいまもコミットする諸国は、国際関係を再構築し、アメリカの気まぐれから自らを隔離し、この極めて不安定な時代にあっても自分たちの自由を広く守る努力をするのが理にかなっている。実際、トランプの勢力圏構想が実現すれば、アジア、ヨーロッパ、北米におけるワシントンの民主的同盟国がアメリカによって守られることはなくなるだろうし、民主諸国は、世界の他の国々を合わせたよりもはるかに多くの核兵器を保有する米中ロという三つの大国と対峙することになる。

イスラエルとパレスチナ
―― 外交的解決策に残されたチャンス

2025年10月号

リチャード・ハース 米外交問題評議会 名誉会長

イスラエルは厳しい選択を迫られている。パレスチナとの妥協と平和的共存を誠実に模索するか、それとも、長期的な繁栄に必要な国際的支持を失うリスクを冒すかだ。多くのイスラエル人は、武装勢力がパレスチナを活動拠点にすることを恐れ、パレスチナ国家の樹立には強く反対しているが、無期限の占領という現状は、イスラエルを国際的に孤立させ、失うものがないと感じる人々によるテロに永遠に直面することになる。ガザや西岸からパレスチナ人を強制移住させることもヨルダンや他の近隣諸国の不安定化を招きかねないし、アラブ諸国との関係も悪化する。国をもつことがパレスチナにとって有益であることは言うまでもないが、イスラエルにとっても有益であることを認識する必要がある。

民間インフラへのサイバー攻撃に備えよ
―― 中国の攻撃を阻む戦略とは

2025年10月号

アン・ニューバーガー フーバー研究所 特別客員研究員

中国のサイバー支配は、テレコミュニケーション部門の諜報活動にとどまらない。アメリカのエネルギー、水道、パイプライン、交通の制御システムから中国のマルウェアが発見されている。目的は、米市民の日常生活や米軍の作戦行動を妨害するための破壊工作にあるようだ。動員を遅らせたり、航空管制システムを妨害したりできる。実際、台湾危機のタイミングで、中国が、アメリカの鉄道網を寸断したり、東海岸全域で停電を引き起こしたりすれば、どうなるだろうか。中国が優位にあるサイバー空間で、防衛を強化していくカギは、現実世界をサイバー空間に忠実に再現できるデジタルツインを応用することかもしれない。

ウクライナへのNATO部隊の派遣を
―― ウクライナと欧州を守るには

2025年10月号

アイヴォ・H・ダールダー 元駐NATO米大使

ヨーロッパのジレンマは、ウクライナを安心させるという決意を具体的な計画にどう結びつけていくかにある。アメリカの貢献が、よくても最小限のものに留まるとしても、ヨーロッパはウクライナの長期的な安全保障を確立するために、部隊を投入する必要がある。ウクライナへの侵略がNATO圏へ拡大してくるリスクを考慮し、ヨーロッパによるウクライナへの戦力展開はNATOの作戦、つまり、NATOによって計画・承認され、指揮される作戦として実施しなければならない。ヨーロッパの指導者が指摘するように、ウクライナの安全を守ることが、ヨーロッパの存亡を左右するのだから。

中国経済モデル 強さの源泉
―― 北京の方程式とワシントンの誤認

2025年10月号

ダン・ワン スタンフォード大学 フーバー研究所 研究員
アーサー・クローバー ガベカル・ドラゴノミクス 創設者

北京は今後を左右する経済戦略部門を選び、そこに補助金を注ぎ込んだ。しかし、これだけでは北京の産業政策は説明できない。レジリエントな技術大国となるために必要な奥深いインフラを整備したからこそ、中国は成功した。パワフルな電力網とデジタルネットワークを中核とするイノベーション・エコシステムを形作り、高度な製造知識をもつ大規模な労働力も育んだ。これが大きな力となっている。関税や規制でワシントンが中国の成長のタイミングを遅らせようとしても効果はない。ライバルを弱体化させる方法を考える時間を減らし、ワシントンは、自国を活力ある、ベストの状態にもっていく方法を考える必要がある。

自律型戦争の夜明け
―― ドローンを制御するAI

2025年10月号

エリック・シュミット 元グーグルCEO兼会長
グレッグ・グラント 新アメリカ安全保障センター 非常勤シニアフェロー

ロシアもウクライナも、ハードウエア、ソフトウエアそして戦術をよどみなく改良し続けているために、この戦争は息を呑むようなスピードで進化している。膨大な数の監視用ドローンを飛ばすことで、ほぼすべての部隊の動きが可視化され、前線付近で動くものは、それがなんであれ、数分以内に攻撃される。ドローンが敵のドローンと戦うケースも増えている。自律型ドローンスウォーム(大編隊)の攻撃を調整できるAIの開発がいまや焦点とされている。戦争の第1段階はハードウエアの有無が戦況を左右し、双方が新しいタイプのドローン、ペイロード、弾薬に投資したが、次の段階はソフトウエアが焦点になるだろう。

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