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テーマに関する論文

米中の大いなる取引を
―― 関係リセットの条件

2026年2月号

呉心伯 復旦大学 国際問題研究院 院長

世界には、米中がともに繁栄する余地が十分に残されている。トランプ大統領と習近平国家主席の相性は悪くなく、生産的なつながりを形作れるかもしれない。トランプは、中国、ロシア、アメリカという主要国が互いの国益を尊重し、紛争を回避する世界秩序を広く模索しており、これは中国の立場とも重なり合う。つまり、北京とワシントンの指導者は、現在の世界では、米中間の勢力均衡だけでなく、大国間協調(米中間の積極的な連携)が必要であることに同意している。米中の経済問題、台湾、朝鮮半島、日本、南シナ海問題をいかに管理し、国際システムをいかに改革していくか。これらで、米中関係の今後は左右されるだろう。

米同盟諸国の苦悩
―― アメリカ後の選択肢を求めて

2026年2月号

フィリップ・H・ゴードン ブルッキングス研究所 スカラー
マーラ・カーリン ブルッキングス研究所 客員研究員

安全保障と防衛をアメリカに依存する同盟民主諸国を中心に形成された戦後世界は、トランプによってすでに破壊されている。国内に分断を抱え、国防より社会保障の支出を優先する傾向のある同盟諸国は、トランプのやり方が永続化しないことを願い、時間稼ぎをして、様子見をしている。だが、それは賢明ではない。同盟を不必要な重荷とみなすトランプの立場を、アメリカ人も共有し、グローバルリーダーの重荷を背負うことにはいまや消極的だからだ。同盟諸国は、早急にアメリカ後に備えるべきだ。核開発を含めて、国防領域の自立を試みる国も出てくるかもしれない。同盟諸国がアメリカに代わる選択肢をもたないことは、危険であるばかりか、無責任と言えるだろう。

トランプ政治の恐るべき現実
―― 米民主主義の復活はあり得るか

2026年2月号

スティーブン・レヴィツキー ハーバード大学 教授(政治学)
ルーカン・A・ウェイ トロント大学 政治学部 特別教授
ダニエル・ジブラット ハーバード大学 教授(政治学)

政治的敵を標的にして、ルールや規制が選択的に利用されれば、法律は兵器と化す。いまや、トランプ政権の報復を恐れて、全米の大学、メディア、弁護士事務所、財団を含む多くの組織や個人が行動を見直し、自己規制することも多くなった。だが、勝負はまだついていない。今後のアメリカでの選挙は政策対立だけでなく、民主主義対権威主義という、より根本的な選択を伴うものになるはずだ。民主主義を守るために裁判所にだけ頼るわけにもいかない。「王様はいらない」集会だけでは民主主義は復活しない。市民は(投票、法廷、社会という)三つの領域におけるすべての手段を通じて行動しなければならない。もはや流れは止められないと考え、権威主義の衝撃を過大評価して、宿命論に陥るべきではない。

マドゥロ後のベネズエラ
―― 今後の展開を検証する

2026年2月号

フランシスコ・ロドリゲス デンバー大学 教授(経済学)

「ワシントンが国(ベネズエラ)を運営する」というトランプの発言は、おそらく、米企業を現地で活動させ、ベネズエラ石油の管理権を掌握することを意図していると考えられる。石油産業の支配権を掌握できなければ、大統領が後退するとは考えにくい。いずれにせよ、米企業がベネズエラの石油産業を、そこがアメリカの保護領であるかのように運営するというシナリオにたどり着くだろう。トランプは今回の攻撃を民主主義ではなく、石油をめぐる問題として位置付けているようだが、これは重大な誤りだ。石油資源をアメリカに譲渡するように求めれば、ベネズエラ社会は(アメリカに)大きな敵意を抱くようになる。

ベネズエラの体制変革について
―― 西半球シフトと勢力圏構想への意味合い

2026年1月号

マイケル・フロマン 米外交問題評議会 会長

トランプ大統領がベネズエラに再び焦点を合わせたことは、「パナマからカナダ、グリーンランドに至るまでの勢力圏」という大統領の世界観、そして基本的に米本土と国境の防衛に焦点を当てるという立場と重なり合う。だが、西半球を優先する方針は、戦後アメリカの支配的優位を支えてきたヨーロッパやインド太平洋諸国との同盟関係を、潜在的に従属させ、狭めてしまうのだろうか。アメリカは太平洋の勢力としてとどまるのか、それとも、習近平国家主席との「大きな取引」を模索して、西半球に専念するのか。

同盟国の核武装で戦後秩序の再建を
―― 独日加の核武装シナリオ

2026年1月号

モーリッツ・S・グレーフラート ユーラシア・グループ 国際問題研究所 フェロー
マーク・A・レイモンド オクラホマ大学 准教授(国際関係論)

ワシントンは核不拡散政策の厳格な順守を見直し、カナダ、ドイツ、日本という少数の同盟国による核武装をむしろ奨励すべきだろう。この3カ国は、合理的な政策決定と国内の安定という面で実績があるし、アメリカとその同盟国に大きな恩恵をもたらしてきた戦後秩序の再建に貢献できる。ワシントンにとって、このような「選択的な核拡散」は、パートナーが地域防衛でより大きな役割を担い、アメリカへの軍事依存を減らすことも可能にする。これらの同盟諸国にとって、核武装は中ロなどの地域的敵対勢力の脅威だけでなく、同盟関係への関与を弱めるアメリカの戦略見直しに対する信頼できる防護策となる。

米同盟諸国のジレンマ
―― リスクヘッジを模索せざるを得ない

2026年1月号

ロバート・E・ケリー 釜山国立大学 教授(政治学)
ポール・ポアスト シカゴ大学 准教授(政治学)

同盟諸国はトランプのやり方に耐え、持ちこたえているようにみえる。しかし、これまで以上に状況を深く憂慮している。アメリカによる安全の保証を確信できなければ、どうなるだろうか。同盟諸国の市民は、アメリカの安全保障という「毛布」に長年包み込まれてきたが、より大きな防衛自立を模索すれば、増税、社会サービス支出の削減、そしておそらく徴兵制や核武装化も必要になる。それでも、米同盟諸国はアメリカから離れていくだろう。ワシントンの支援を期待しつつも、同盟諸国は、問題発生時にアメリカがいない事態に備え、リスクヘッジを始めている。

外国人材をいかに受け入れるか
―― 日本モデルのチャンスと課題

2026年1月号

ファーラー・グラシア 早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科教授
宮井健志 国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部第4室長
是川夕 国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部部長

日本の外国人材受け入れ制度は、その人がいかに日本での働き方をきちんと学び、適応するかを重視している。このやり方は、多くの先進国が長年とってきた技能レベルに基づく受け入れ策への挑戦でもあるし、文化的同質性を重視する日本の考えとも一致する。技能面でも文化面でも外国人材を「チーム・ジャパン」の一員にしようとする考えだ。最大の脅威は、政治的なものかもしれない。現実的な外国人材受け入れモデルを、ポピュリスト政治による混乱や外国人労働者の権利保護などをめぐる制度的脆弱性から守れなければ、日本は今後必要になる労働力を確保する絶好のチャンスを逃す恐れがある。

関税が揺るがした同盟関係
―― サプライチェーンの混乱と米防衛産業の衰退

2026年1月号

シャノン・K・オニール 米外交問題評議会 上席副会長(研究担当)

必要とされているのは、国内価格を押し上げ、外国のパートナーを遠ざける包括関税ではない。ワシントンが、同盟国に配慮し、戦略的産業に焦点を当てた限定的な関税へと移行すれば、重要なサプライチェーンを守り、国家安全保障にとって重要な製造業を促進できるようになる。だが、信頼できる国々への関税を縮小あるいは撤廃し、主要産業を再生させる包括戦略に立ち返らない限り、アメリカの防衛産業は衰退していくだろう。実際、自国の防衛産業の強化を望み、もはや、対米貿易を信用できなくなった同盟諸国は、アメリカ製の兵器購入を躊躇し始めている。

中国経済モデルの致命的欠陥
―― 過剰生産を促す重層的構造

2026年1月号

リジー・C・リー アジア・ソサエティ政策研究所 フェロー

中国経済にとっての本当の問題は、国内需要の弱さや過剰な補助金ではない。それは、異常かつ制御不能に思える過剰生産能力に他ならない。2024年半ば以降、北京も、太陽光発電、バッテリー、EVの「やみくもな拡大」路線について繰り返し警告するようになった。中国の過剰生産は、税制、共産党幹部の登用システム、ビジネスモデルの模倣、銀行の融資など、さまざま要因によって複合的に促されている。企業、金融機関、地方政府関係者がシステム内で合理的に行動し、その結果として過剰生産能力が生じているとすれば、方向転換するにはシステムを変えるしかない。

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