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経済・金融に関する論文

保護主義か、金融市場の規制か?

1997年1月号

ウィル・ハットン  オブザーバー紙・エディター

通貨市場の混乱やそれが引き起こす高金利に象徴されるような不確実性は、投資にとって疫病神のような存在である。そして、これらの不確実性がもたらす失業を減らしたり、さらには財政拡大を通じて保護主義圧力を軽減したりという試みに素早く懲罰を加えるのも、(これらの諸問題を作り出した張本人である)通貨市場である。自由貿易を維持しつつ、この悪循環を断ちきり、なおかつ世界の成長を再び燃え立たせるには、「金融市場を規制してそのスピードと力を削減する必要がある」。低い実質金利、長期的視野に立った投資、投機の減少、そして、実質投資と成長の増大を目的に、ドル、円、マルクの価値を安定的に維持することを中軸とする新たなブレトンウッズ体制を構築し、金融市場を規制する新たな枠組みをただちに導入する必要がある。さもなければ、「外貨を稼ぐのが重要なら、さっさと輸入を制限しろ」という悪魔のささやきが再び世界を席巻してしまうだろう。

行政指導と終身雇用の終わり ―― 「日本株式会社」の復活はない

1993年6月号

ピーター・F・ドラッカー クレアモント・グラジュエート・スクール教授 (論文発表当時)

いまや日本人は、日本のシステムからの「退出」路線を選ぶほうが、政府の政策を変えようと試みるよりも好ましいと確信しているようだ。運命共同体的な日本企業も二分され、競争力のある企業は自分だけのボートを保有するようになり、その結果、競争力のない企業が救済措置を求めて日本政府へ影響力を行使することにも異を唱えなくなった。日本の銀行や政府が、形ばかりの再建案と引き換えに、いまも債務まみれのゾンビ企業への新規融資や公共事業を提供するなか、競争力のある日本企業、老後を 心配する市民、若い女性たちはこれまでの日本のシステムから退出しつつある。

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