離陸した経済超大国、中国に注目せよ
2003年12月号

経済改革とそれが伴う変化が、地域間格差、失業問題などの社会問題をつくり出しているとしても、中国は、力強い民間部門を育成し、ほぼ五千億ドルもの外国からの直接投資(FDI)を導入し、世界の輸出大国の仲間入りを果たした。
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2003年12月号
経済改革とそれが伴う変化が、地域間格差、失業問題などの社会問題をつくり出しているとしても、中国は、力強い民間部門を育成し、ほぼ五千億ドルもの外国からの直接投資(FDI)を導入し、世界の輸出大国の仲間入りを果たした。
2003年12月号
天然ガス資源の開発はパイプラインが整備されている地域に供給が限定され、世界規模の市場が存在せず、地域内、国内、あるいは大陸内の取引に限定されてきた。だが、冷却による天然ガスの液化LNG技術が進化して、アメリカの天然ガスへの関心が高まるにつれて、天然ガスをめぐる世界規模のエネルギー・ビジネスが新たに台頭しつつある。 LNG技術によっ< て、天然ガス資源を効率よく市場の消費者に届けられるようになったし、世界は、よりクリーンで環境にやさしいエネルギー源としての天然ガスの開発と供給を待望している。必要なのは、資源の供給と需要をうまく管理できるような規律を備えたグローバルな市場メカニズムを構築 することだ。
この論文は、まだドーハラウンドラウンド決着への期待が存在した2003年に発表されている。当時は、アメリカが南北アメリカ大陸での自由貿易圏を模索し、アジアでは、アメリカ抜きのアジア自由貿易圏構想が議論されていた(FAJ編集部)
アメリカとアジアがそれぞれに推進する一連の自由貿易構想は、結局は地域的貿易ブロックを乱立させ、太平洋を隔てる分断線を生み出すことになる。一九三〇年代の世界の貿易ブロック化が、大きな悲劇を呼び込んだことを忘れてはならない。
「一連の地域的自由貿易合意によってグローバルな自由貿易体制の基盤が積み上げられていく」とする認識の根拠は疑わしい。逆に、特定地域での貿易ブロックの形成が、他の地域での貿易ブロックの形成を誘発することはすでに明らかだ。貿易ブロックが形成されれば、必然的に政治的なライバル関係が貿易ブロック内、ブロック間で生じ、それをどのような名称で呼ぶにせよ、保護主義が貿易ブロックを支配するようになる。
2003年1月号
経済改革の真価は、改革措置が、経済成長の妨げとなっている供給面での非効率と需要の低迷という問題の解決に寄与するかどうかで判断すべきだ。だが人々が目にしているのは、もっとも再編が必要でない産業での再編、もっとも切実に改革が必要とされている領域での形ばかりの改革にすぎない。
だが日本人もついに「改革を断行しない限り、状況が改善されないこと」を確信し始めた。制度改革以外の選択肢のすべてを試み、それらが機能しないことがもはや明白になってきたからだ。失われた十年は改革が必要なことを納得するためのもので、次の十年は、実際に改革を実施するための時間となろう。
2002年12月号
2002年11月号
経済的後発性や停滞が生み出す悲惨な現実や絶望が国際的なテロリズムの背景にある。したがって、より豊かな生活ができるようになると人々が希望を抱くようになれば、民衆がテロリズムに魅了されることも少なくなり、アラブ・イスラエル紛争への打開への道も開けてくる。一連の経済開発構想をつうじて生まれる経済的絆が政治的絆を育むようになれば、人々は痛ましい過去ではなく、期待に満ちた未来に目を向け、暴力と敵意は平和と友好に置き換えられることになる。
2002年8月号
スティグリッツの本は、途上国の現実を無視した単純な経済教義は状況を改善するどころか悪化させる危険があり、経済理論と現実に即して慎重に運用することが、健全な政策助言を行う上で非常に重要であることを示している。しかし、途上国に発言権やグローバルな統治への参加権を与えよといった、過度に単純な彼の政治的助言は問題がある。政治改革は、経済改革と同じように微妙で複雑なものである。
2002年4月号
アルゼンチンでの金融危機の教訓は3つある。固定為替レートは、通貨の過大評価、通貨危機、債務不履行を引き起こしかねず、変動為替レートこそがこれらの問題を避ける唯一の方法だということ。第2に、ドル建ての借り入れが非常に危険だということ。そして第3に、貿易自由化、外国からの直接投資の奨励、国営企業の民営化策が好ましい政策であるということだ。
二〇〇一年七月、欧州委員会はゼネラル・エレクトリック(GE)とハネウエルインターナショナルの合併計画を認めないとする決定を下した。実現すれば年間の売上が千五百億ドルを超えるこの合併計画を、アメリカ司法省はすでに承認していた。それだけに欧州連合(EU)の決定は、両社だけでなく、合併によってハネウエルが強力で効率的な企業に生まれ変わると予測していた多くのアナリストたちにも衝撃を与えた。しかもヨーロッパとアメリカは、過去数年にわたり足並みの揃った反トラスト政策の運用をアピールしていただけに、一層衝撃は大きかった。今回のケースは、反トラストへのアメリカとヨーロッパの姿勢の違いを浮き彫りにすることになった。
2002年1月号
以下は十月中旬に公開された米外交問題評議会のリポート「中国のWTO加盟と米中関係の行方」(日本語インターネット版二〇〇一年十二月号掲載)の公表を受けて開かれた討論会の議事録からの抜粋。スピーカーはいずれもリポートの作成にかかわったタスクフォース・メンバー。発言部分の前に名前を記していない議論は匿名によるもの(匿名と表記)。