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金融危機の忘れ去られた歴史
―― そして、いかに米欧の絆は失われたか

アダム・トゥーズ コロンビア大学教授(歴史学)

The Forgotten History of the Financial Crisis
What the World Should Have Learned in 2008

Adam Tooze
イギリスの歴史家で、現在はコロンビア大学教授。専門はヨーロッパ経済史。著書にCrashed :How a Decade of Financial Crises Changed the Worldがある。

2018年10月号掲載論文

アメリカでは、2008年の金融危機を引き起こした政府の無謀さと民間の犯罪的行動ばかりが強調され、ヨーロッパの指導者たちは「すべてをアメリカのせい」にしている。実際には、世界的な銀行の取り付け騒ぎを防ぐために流動性を供給した米連邦準備制度の即断がなければ、金融危機はアメリカとヨーロッパの経済をいとも簡単に崩壊に追い込んでいたはずだ。だが、この事実は忘れ去られ、アメリカとヨーロッパの金融上の密接なつながりはいまや解体されつつある。ヨーロッパを救うために2008年に連邦準備制度は守護天使の役割を果たした。アメリカの政治状況の変化、次の金融危機が新興市場、特に中国で起きる可能性が高いことを考えると、次の危機からグローバル経済を救うには守護天使以上の何かが必要になるだろう。

  • 忘れ去られた真実
  • 米欧間の認識の違い
  • ドルの呪縛
  • 最後の貸し手としての米連邦準備制度
  • 次の危機に備えよ

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