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冷戦後のロシアの変節を辿る
―― 欧州との一体化から大ユーラシア構想へ

ドミトリー・トレーニン カーネギー・モスクワセンター ディレクター

Russia’s Post-Soviet Journey

Dmitri Trenin ロシアの政治学者で、カーネギー・モスクワセンターのディレクター。専門はロシアの外交と安全保障。

2017年2月号掲載論文

冷戦終結直後のロシアにとって、ヨーロッパはあこがれの対象であり、見習うべきモデルだった。だがいまやロシア政府はロシア文明とヨーロッパ文明とは明らかに別物だと考えている。伝統的にロシアに不信感をもっているイギリスが程なくEUを離れるなか、フランスで独自路線を重視するドゴール主義が復活し、ドイツがロシアに友好的な東方外交を復活させることをモスクワは期待している。そうなれば、ロシアとヨーロッパの関係は、経済領域を中心に雪解けを迎え、ロシアにとって大きな貿易パートナーとしてのEUが復活する。だが、そうした関係の改善も、短期間ながらも、ロシアがヨーロッパの一部になることを夢見た1990年代へと時計の針を巻き戻すことはあり得ない。プーチンが2010年まで口にしていた大ヨーロッパが出現することは当面あり得ない。モスクワでは、この構想はすでに中国、インド、日本、トルコ、そしてEUで構成される大ユーラシア(経済)構想に置き換えられている。

  • ヨーロッパとの距離
  • ヨーロッパへのあこがれ
  • 拒絶とプライド
  • ウクライナ
  • 危機とユーラシア構想

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