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2010年2月号(1)米中協調の試金石としての朝鮮半島統一と台湾

2010-01-28

米中協調の試金石としての朝鮮半島統一と台湾
2010.1.28公開

いずれ、日本の前に広がるアジア大陸が、北から南まで中国の政治的・経済的影響力で覆い尽くされ、東南アジアでは、アメリカと中国が地政学的な影響力を競い合うような光景を目にすることになるのかもしれない。

アメリカの政治学者ブルース・ジリーが2月号の論文で提言するように「台湾が中国の勢力圏に入ることをアメリカが受け入れ」(注1)、しかも、統一された朝鮮半島が親中国的になれば(注2)、東アジアの戦略地図はどう変化するだろうか。すでに中国は、かつては日本が大きな影響力を持ち、現在、アメリカが戦略的に重視している東南アジアでも二国間経済合意を通じて着実に影響力を拡大し、近海での海軍力の整備を進めている。さらに、中央アジア(注3)、インド洋でも影響力拡大の基盤を築きつつある。(注4)

ジリーが言うように、台湾がさらにフィンランド化していき、中国の軌道に入っていく可能性はあるのか。論文を読めば、そうなると、納得させられる部分は数多くある。すでに、胡錦涛国家主席が任期を終える2012年に台湾総統が北京を、中国の国家主席が台北を訪問する計画があるという噂もある。奇しくも、この年は、北朝鮮の権力継承プロセスが完了するとみられている年だ。

もちろん、ジリーが強調しているように、その勢力圏に台湾が入ることで、中国が政治改革を進め、民主化していく可能性もある。この場合、ブレジンスキーが2月号の論文で提言している「地政学的米中G2」が大きく進展するかもしれない。(注5) 一方で、台湾を中国に委ね、統一後の朝鮮半島に親中国的な体制が誕生すれば、アーロン・フリードバーグが言うように、アジアは中国の一極支配構造になるのかもしれない。(注6)

米中という超大国が戦略的な協調に合意するのか、衝突するのか、あるいは、これまでのように、ときに対立しつつもそれを政治的に管理していくのか。その先行きを見極める大きな指標として、朝鮮半島ファクターだけでなく、台湾という新ファクターが浮上しつつあるようだ。 (竹下興喜)

注1, 「台湾がアメリカを離れて中国の軌道に入るべき、これだけの理由」 (2010年2月号)
注2, 「北朝鮮が権力継承に失敗すれば・・・」、「北朝鮮の急変に備えよ」(2009年3月号)
注3, 「中央アジア・南アジアにおけ中国の地政学的思惑る」(2010年2月号)
注4, 「台頭する中印とインド洋の時代」 (2009年3月号)
注5, 「三つの地政学アジェンダと今後の大国間関係」 (2010年2月号)
注6, 「中国の台頭の戦略的意味合い」(2010年1月号)

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