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2009年11月号(1)「支配的な準備通貨としてのドルはもはやアメリカの国益に合致しない」

2009-10-26

「支配的な準備通貨としてのドルはもはやアメリカの国益に合致しない」=フレッド・バーグステン氏
2009.10.26公開

米その発言が為替相場に大きな影響力を持つことでも知られるフレッド・バーグステン(ピーターソン国際経済研究所所長)は、「大規模な対外赤字、支配的な準備通貨としてのドル、そして、対外赤字とドルの覇権を必然とする大規模な資本の流入は、もはやアメリカの国益に合致しない」と11月10日発売のフォーリン・アフェアーズ リポート誌に寄せた論文「ドルとアメリカの赤字=The Dollar and the Deficits」(フォーリン・アフェアーズ英語版2009年11・12月号からの転載)で指摘している。

「アメリカの大規模な財政赤字を各国が米国債を購入してファイナスし続ければ、現在の危機を引き起こした金融メルトダウンのリスクが再び高まり、一方で、各国が将来のどこかの段階で米国債の購入を止め、赤字を埋め合わせる資金が入ってこなくなれば、ドル価値は暴落し、インフレと金利は上昇し、アメリカ経済、世界経済の双方にとってのハードランディングは避けられなくなる」。同氏は、すでに「アメリカの運命は、中国だけでなく、日本、ロシア、産油国などの、債権国の手に握られている」と警鐘を鳴らし、アメリカ財政の均衡と輸出主導型経済への転換を説いている。

この論文をG20で合意されたグローバル・インバランス(世界的な経常収支の不均衡)是正に向けたアメリカ側からの包括的な提言とみなすこともできるが、ドルの地位を低下させていくことを前提とした議論だけに大きな論争となることは必死とみられる。仮にオバマ政権の政策が、政府に大きな影響力をもつことで知られる同氏の提言に即した路線を取れば、世界の金融、貿易の流れが劇的に変化することになるからだ。

「ドルの覇権の終わりとグローバル・インバランス」を特集テーマにしたフォーリン・アフェアーズ リポート11月号には、バーグステン論文(前編)の他にも、「インフレからデフレか、それとも・・・」、「アメリカの需要に変わるグローバル経済の牽引車を世界は作り出せるか」、「グローバル・インバランスがなくならない理由」など、フォーリン・アフェアーズには掲載されていない、米外交問題評議会(CFR)関連の五本の経済・金融分析を掲載している。●

By Koki Takeshita

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