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2019年9月10日発売

フォーリン・アフェアーズ・リポート
2019年9月号

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フォーリン・アフェアーズ・リポート2019年9月号 目次

グローバル経済・安全保障の分水嶺

  • アメリカは同盟国を本当に守れるのか
    ―― 拡大抑止を再強化するには

    マイケル・オハンロン

    雑誌掲載論文

    尖閣諸島の防衛を約束しているとはいえ、中国は「価値のない岩の塊のためにアメリカが大国間戦争のリスクを冒すことはない」と考えているかもしれない。一方、ワシントンが信頼できる形で反撃すると約束しなければ、拡大抑止はその時点で崩壊し、尖閣の喪失以上に深刻な帰結に直面する。アメリカが何の反応も示さないことも許されない。これが「尖閣パラドックス」だ。今後の紛争は、大規模な報復攻撃を前提とする伝統的な抑止が限られた有効性しかもたない、こうしたグレーゾーンで起きる。中国とロシアの小規模な攻撃に対しては、むしろ、経済戦争、特に経済制裁を重視した対応を想定する必要がある。脅威の質が変化している以上、ワシントンは軍事力と経済制裁などの非軍事的制裁策を組み合わせた新しい抑止戦略の考案を迫られている。

  • 米中経済ディカップリングの意味合い
    ――― 解体するグローバル貿易システム

    チャッド・P・ボウン、ダグラス・A・アーウィン

    雑誌掲載論文

    トランプ政権が永続的な中国との取引はもとより、北京が受け入れるかもしれない合意など望んでいないことはすでに明らかだ。表面的な合意が結ばれても、それは永続的な貿易戦争の一時的な休戦にすぎない。トランプ政権は、中国政府が「国が支配する経済」から「市場経済」へと一夜にしてシステムを作り替えることを望んでいる。中国経済のあらゆる側面への管理を維持することで、権力を堅持してきた共産党政府がこれを受け入れるはずはない。世界の2大経済大国のつながりが断ち切られ、分裂していけば、世界の貿易地図も書き換えられていく。各国はライバルの貿易ブロックのどちらかを選ばざるを得なくなり、これまでの「グローバル貿易システム」は解体へ向かう。

  • 中国対外行動の源泉―― 米中冷戦と米ソ対立の教訓

    オッド・アルネ・ウェスタッド

    雑誌掲載論文

    中国はかつてのソビエト同様に、共産党が支配する独裁国家だが、違いは国際主義(共産主義インターナショナル)ではなく、ナショナリズムを標榜していることだ。ソビエト以上の軍事・経済的なポテンシャルをもち、同様に反米主義のルーツを国内にもっている。しかも、アジアにおけるアメリカの立場と地位を粉砕しようとする中国の路線は、スターリンのヨーロッパに対する試み以上に固い決意によって導かれているし、中ロ同盟出現の危険もある。何らかの(国家的、社会的)統合要因が作用しなければ、目的を見据えて行動するアメリカの能力の低下によって、多くの人が考える以上に早い段階で、恐れ、憎しみ、野望によって人間の本能が最大限に高まるような制御できない世界が出現する危険がある。

  • 形骸化した抑止力
    ―― 多様化する攻撃の領域と能力

    アンドリュー・クレピネビッチ、ハドソン・インスティチュート 

    Subscribers Only 公開論文

    冷戦後にアメリカが圧倒的な軍事的優位をもっていた時代は終わり、すでにわれわれは、ロシアと中国という二つのリビジョニスト国家と競い合う時代に足を踏み入れている。軍事競争は、宇宙空間、サイバー空間、海底を含む新しい領域に拡大し、新しい軍事能力の登場によって、軍事的なパワーバランスを正確に評定するのは難しくなっている。一方で、認知科学の進化によって、ハイリスクの環境において人間がどのように行動するかに関するこれまでの理解が覆され、抑止を支えてきた理論的支柱が揺るがされている。これらが重なり合うことで、厄介で不可避の結論に行き着く。現在の最大の戦略的課題は大国間抗争の時代への回帰でもなければ、先端兵器の拡散でもない。それは、抑止の形骸化に他ならない。

  • 日本の新しい防衛戦略
    ―― 前方防衛から「積極的拒否戦略」へのシフトを

    エリック・ヘジンボサム、リチャード・サミュエルズ

    Subscribers Only 公開論文

    日本本土が攻撃されても、日米の部隊は中国の攻撃を間違いなく押し返すことができる。しかし、中国軍が(尖閣諸島を含む東シナ海の)沖合の島に深刻な軍事問題を作り出す能力をもっているだけに、東京は事態を警戒している。実際、中国軍との東シナ海における衝突は瞬く間にエスカレートしていく危険がある。最大のリスクは、尖閣諸島や琉球諸島南部で日本が迅速な反撃策をとれば、壊滅的な敗北を喫し、政府が中国との戦闘を続ける意思と能力を失う恐れがあることだ。日本は東シナ海における戦力と戦略を見直す必要がある。紛争初期段階の急変する戦況での戦闘に集中するのではなく、最初の攻撃を生き残り、敵の部隊を悩ませ、抵抗することで、最終的に敵の軍事攻撃のリスクとコストを高めるような「積極的拒否戦略」をとるべきだろう。ポイントはこの戦略で抑止力を高めることにある。

  • CFR Events
    米中貿易戦争は続く
    ―― その政治的、経済的意味合い

    エドワード・オールデン、エリザベス・エコノミー、マイルス・カーラー、

    Subscribers Only 公開論文

    最近の大統領のツイートは、米企業が中国を離れて、別の場所、つまり、他のアジア諸国、あるいは国内に工場を移して、アメリカに部品その他を供給させる計画を米政権がもっていることを思わせる。ファーウェイに対する攻撃も、多くの意味で米中経済の切り離しを意図している。少なくとも現状では、大統領は米中切り離し派の立場に耳を傾けている。(E・オールデン)

    すべては目的が何であるか、双方が勝利をどのように定義しているか、時間枠をどうみているかに左右される。アメリカ側にも中国側にも何をもって勝利とみなすかについてのコンセンサスはない。実際、より多くの米製品の輸入、より大きな市場アクセス、IT技術の保護で由とする立場から、米中経済の切り離しを求める立場にいたるまで、アメリカ側にはさまざまな意見がある。(E・エコノミー)

  • 中国は貿易戦争をどうみているか
    ―― 自らを追い込んだトランプの強硬策

    アンドリュー・J・ネーサン

    Subscribers Only 公開論文

    ナバロとライトハイザーは、「世界経済におけるアメリカの主導的役割を維持するには、中国の経済モデルを抜本的に変化させるしかない」という立場をトランプに受け入れさせ、強硬策に出た。しかし、貿易戦争は、ワシントンが考えるほど大きな痛みを中国に強いていないようだ。2019年に入って最初の5カ月で、中国の対米輸出は4・8%減少したが、同時期に、中国にとって最大の貿易相手である欧州連合(EU)への輸出は14・2%上昇し、EUからの輸入も8・3%上昇している。一方、アメリカの対中輸出は2019年に入って以降の最初の5カ月で26%以上の落ち込みをみせた。農業を含む、数多くの米セクターのダメージはかなりのレベルに達している。有利な状況を手にしているのは中国であり、北京に妥協するつもりはない。貿易戦争、米中経済の切り離しのあるなしに関わらず、中国はアメリカからの経済独立コースを着実に歩み続けている。

  • ソビエト対外行動の源泉(X論文)

    ジョージ・ケナン

    Subscribers Only 公開論文

    冷戦の理論的支柱を提供した文書としては、ポール・ニッツが中心となってまとめた1950年の「NSC68」、トルーマン政権の大統領特別顧問クラーク・クリフォードによる1946年の「クリフォード・メモランダム」、そして、ジョージ・ケナンの「ソビエト対外行動の源泉」が有名である。前者二つが政府文書であるのに対し、「ソビエト対外行動の源泉」は「フォーリン・アフェアーズ」誌の1947年7月号に名を伏せて「X論文」として掲載された。

天安門事件と中国の香港ジレンマ

  • CCPと天安門事件の教訓
    ―― 中国を変えた政治局秘密会議

    アンドリュー・J・ネイサン

    雑誌掲載論文

    天安門危機をめぐって学生たちへの和解的アプローチを提唱した趙紫陽はポストを解任・自宅監禁処分とされ、この措置は2005年に彼が死亡するまで続けられた。天安門の弾圧から約2週間後、共産党政治局は「拡大」会議を招集する。保守派が勝利したこの会議で、共産党は内外の敵の共謀によって脅かされているという認識が確認された。党内部の敵とみなされた)趙紫陽は、報道の自由を認め、学生を含めて意見のある者とは対話の場をもち、市民団体の活動規制を緩和すべきだと考えていた。だが、別の選択をした中国政府は、結果的に「改革と統制」の間の永続的な矛盾を抱え込んでしまった。社会的緊張は、習近平が人々の所得レベルを向上させ、高等教育を拡充し、民衆を都市に移住させ、消費を奨励するにつれて、ますます高まっていく。政府にとって、天安門事件はいまも忌まわしい前兆を示す教訓であり続けている。

  • 北京の香港ジレンマ
    ―― 中国が軍を送り込まぬ理由

    ビクトリア・ティンボー・ホイ

    雑誌掲載論文

    最近の世論調査では、住民の73%が香港政府は逃亡犯条例を正式に撤回すべきだと答え、79%が警察の職権乱用に対する独立調査の実施を支持すると答えている。一方、北京は抑圧を強化していくことを示唆している。これまでのところ、(警察や犯罪組織による暴力と(北京による)威嚇策は、慣れ親しんできた自由を守ろうとする香港住民の決意を逆に高めている。第2の天安門を懸念する専門家もいる。実際、北京は香港の行政長官に軍事的支援を求めさせることもできる。しかし、中国軍が香港のデモ鎮圧に介入する可能性は低い。香港はアジアの主要な金融センターであり、中国とグローバル経済との重要なつながりを提供しているからだ。北京は香港の自治という「体裁」を維持していく強いインセンティブをもっている。

  • CFR Briefing
    香港はどこへ向かうのか
    ―― 軍事介入リスクは高まっている

    ジェローム・コーエン

    雑誌掲載論文

    香港のデモ隊は、1984年の中英共同宣言、香港基本法が定める「一国二制度」が保証していると彼らが考える政治的自由を行使したいと考えている。これまでのところ北京は、高まる危機への対応を香港政府に任せている。しかし、北京の忍耐が限界に近づきつつあることを示す重要なシグナルもあり、人民解放軍が香港に投入されるリスクは高まっている。北京の政府機関とプロパガンダ部門は、香港のデモを「テロ活動」と呼び、混乱は香港でカラー(民主化)革命を起こそうとするアメリカの「ブラックハンド」が引き起こしていると主張している。香港を軍事的に弾圧すれば、1989年の天安門事件以上に、中国の国際関係にダメージを与えることを北京は理解している。しかし、必要であれば軍事力の行使も辞さないだろう・・・2019年10月1日に中華人民共和国建国70周年を祝った後に、北京は人民解放軍を投入するかもしれない。そうなれば、香港と香港住民だけでなく、中国の世界における立場、国際安全保障にとっても悲劇的な展開となる。

  • 追い込まれた中国共産党
    ―― 民主改革か革命か

    ヤシェン・フアン

    Subscribers Only 公開論文

    これまでのところ、中国が民主体制へと近づいていくのを阻んできたのは、それを求める声(需要)が存在しなかったからではなく、政府がそれに応じなかった(供給しなかった)からだ。今後10年間で、この需給ギャップが埋められていく可能性は十分ある。一人あたりGDPが4000―6000ドルのレベルに達すると、多くの社会は必然的に民主化へと向かうとされるが、すでに中国はこのレベルを超えている。さらに、今後、中国経済がスローダウンしていくのは避けられず、社会紛争がますます多発するようになると考えられる。さらに、中国の政治・経済的未来へのコンフィデンスが低下していくのも避けられなくなり、資本逃避が加速することになる。この流れを食い止めなければ、相当規模の金融危機に行き着く危険もある。政治改革に今着手するか、壊滅的な危機に直面した後にそうするかが、今後、中国政治の非常に重要なポイントになるだろう。

  • レーニン主義と習近平の中国モデル
    ―― 北京のボリシェビキ

    ニック・フリック

    Subscribers Only 公開論文

    ボリシェビキそして彼らが形作ったソビエトという国家は、中国共産党にとってモデルであり、反面教師でもあった。ソビエト崩壊の記憶ゆえに(その二の舞になるのを避けようと)中国共産党指導部は権力維持に向けた決意を固め、党が軍部を支配することの重要性を肝に銘じた。なぜ習近平が個人への権力集中や民衆の生活のより多くの側面への党の介入路線の強化へと動いているかも、これである程度説明できる。だが目的は変化した。習の「中国の夢」が約束するのは、ボーダーレスなプロレタリアの楽園ではなく、党の支配の下で、中華文明の栄光を取り戻すことだ。こうした固有のナショナリズムとレーニン主義の鉄の規律の組み合わせは、トルコからフィリピンにいたるまでの権威主義の指導者たちにとって、代表制民主主義に代わる魅力的な選択肢なのかもしれない。

  • 中国の未来と韓国の現在
    ―― なぜ政治的自由化が必然なのか

    ハーム・チャイボン

    Subscribers Only 公開論文

    中国は政治的自由化をせずに、経済成長を持続し、社会を満足させられるだろうか。韓国の経験はそうはならないことを示している。戦後における韓国経済の成長を上から主導した朴正煕は、輸出主導型成長モデルをとる一方、欧米の価値が伝統的社会に入り込むのを阻止しようと孝行、忠誠、権威の尊重を重視する儒教復興策をとった。ここまでは完全に中国の今と重なり合う。だが、上からの産業政策ゆえに、韓国は1970年代末までに過剰生産能力を抱え込むようになり、企業倒産や労働争議が続き、大規模なストが起きた。結局、労働者と学生が連帯した社会騒乱のなかで、朴は側近の手で暗殺され、その後、韓国は民主化された。朴の韓国流民主主義は独裁主義だったし、「中国的特質をもつ社会主義」も同様だ。朴が最終的に直面したように、経済を自由化すれば、権威主義の指導者でさえ押さえ込めないような流れが作り出される。

Current Issues

  • フェイスブックとテンプル騎士団
    ―― 暗号通貨リブラのポテンシャルとリスク

    ケビン・ワーバック

    雑誌掲載論文

    今も昔も、国境を越えて資金を移動させるのは容易ではない。十字軍のメンバーたちが聖地への長旅の資金をどうするかという問題を解決したのは、ヨーロッパから中東にかけての遠大なネットワークをもつテンプル騎士団が発行した手形だった。現在も外国送金にはコストも時間もかかる。これを魔法のように解決してくれるのが、ブロックチェーンを基盤とするフェイスブックの暗号通貨・リブラだ。暗号通貨なら、ユーザーは、メッセージやビデオを送るのと同じスピードで送金できるし、銀行へのアクセスをもたない人にも恩恵をもたらせる。但し、この構想が実現すれば、既存の金融機関は追い込まれ、資金洗浄やテロ資金に悪用されるリスクもある。資本規制をしている国の中央銀行のパワーも低下させるかもしれない。驚異的な利便性の一方で、富の移転を規制し、監視する立場にある政府にとっては非常に厄介な事態が作り出される。

  • 核をめぐるイランの立場
    ―― 問題を作り出したトランプは何をすべきか

    サイード・ホセイン・ムサビアン

    雑誌掲載論文

    この2年にわたって、国連と国際原子力機関(IAEA)が、「イランが核合意で規定された条件を守っていること」を示す15の報告書を出してきたにもかかわらず、アメリカは経済制裁を再発動し、敵対的なレトリックでイランを攻撃している。イラン人は、合意を守らなかったのはアメリカで、イラン政府ではないと信じている。仮にテヘランが核合意や核不拡散条約(NPT)から離脱しても、最高指導者ハメネイのファトワ(宗教令)がイランの核開発を阻むことになる。2003年にハメネイは核兵器の所有と蓄積をファトワで公式に禁止している。イランとの交渉を望むと繰り返し発言しているトランプにその気があれば、最高指導者のファトワを基盤に包括的な合意をまとめる外交交渉の道は依然として残されている。

  • 氷床後退とグリーンランドの機会
    ―― 飲料水ビジネスとデンマークからの独立?

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    雑誌掲載論文

    グリーンランドの氷床が溶け出し、後退しているのは、温暖化の驚くべきパワーとスピードを物語っているが、グリーンランド政府と起業家にとってこれは大きなチャンスでもある。ボトル飲料水は成長産業であり、グリーンランド政府にとって、これが、デンマークへの経済依存を脱し、独立を目指す機会を作り出すかもしれないからだ。住民の多くは20年以内にデンマークから独立することを望んでいる。石油や(ウランその他の)資源開発計画を含む、財政自立プロジェクトの多くがこれまでのところ実現していないだけに、グリーンランドはその豊かな水資源で財政を支えていくことを期待している。世界はスーパーマーケットの棚に近く、グリーンランドの一部を見出すことになるかもしれない。もちろん、それが独立への道を切り開くかどうかは、現状では分からない。

  • ファーウェイのリスクと魅力
    ―― アメリカは競争環境を整備せよ

    アダム・シーガル

    雑誌掲載論文

    ファーウェイのシステムを導入すれば、情報や安全保障上の安全を確保することはできなくなるとワシントンは主張している。しかし、日本とオーストラリアを別にすれば、ヨーロッパや東南アジアの多くの国が、その経済性ゆえに、ファーウェイシステムの導入に前向きになっている。米中の科学技術領域のエコシステムを分断することを重視するワシントンの姿勢は、結局は、アメリカの技術革新のペースを鈍化させることになる。ファーウェイシステムの導入を止めるように大きな圧力をかけるよりも、アメリカは価格や効率面で競合できる代替策を各国にオファーできるように対策をとり、サイバーセキュリティを強化し、5Gテクノロジーおよびその後継テクノロジーをリードできるように研究開発に投資する必要がある。

  • 米中冷戦は避けられない
    ―― 貿易と国家安全保障

    ニッキー・ヘイリー

    雑誌掲載論文

    北京にとって、経済成長は政治を支えるために必要であり、政治の目的は、内外における共産党政権のパワーを強化することにある。米司法省によれば、北京は中国企業に、米企業を含む外国企業の知的所有権を盗むように指示し、しかも中国の民間企業に、獲得したテクノロジーを軍と共有することを義務づけている。2015年に習近平が発表した軍民融合政策は、あらゆる民間企業に軍と協力することを求めており、これは、(外国企業にとって)中国企業とのビジネスがたんなるビジネスではないこと、つまり、ハイテク部門で中国企業と取引すれば、その意図にかかわらず、中国の軍事利益の強化に手を貸すことを意味する。政府の民間ビジネスへの干渉は良いことだとは思わない。しかし、この現実ゆえに、われわれは国家安全保障を市場経済政策よりも重視しなければならない。

  • 中国共産党とフェミニスト
    ―― 国と社会と女性運動

    スーザン・グリーンハル、王曦影

    雑誌掲載論文

    中国の若いフェミニストたちは、家庭内暴力を取り締まる法制定を求め、メディアと文化における女性に対するハラスメント、攻撃、蔑視を批判し、大学入学・雇用・職場おける性差別に対する不服を唱えてきた。だが、この国では、許されることと許されないことの境目は常に動いている。新たな人物を逮捕するたびに、党と国家はこのみえない線を動かしている。フェミニスト運動を展開した5人の中国人女性、「フェミニスト・ファイブ」は、自分たちの活動が境界線の安全な側にあると思っていたが、治安当局はそれが許容できない側にあると判断した。こうして「フェミニズム」という言葉は軽蔑語にさえなった。中国のマスメディアは、フェミニストを社会でもっとも魅力のない女性として描き、フェミニストの書いたものはネット上で日常的に攻撃され、検閲されている。現在の中国は、毛沢東期のスローガン、「女性は天の半分を支えている」からは程遠い状況にある。

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