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2022.7.30 Sat

問題を解決できる新国際システムを
―― 新システムの目的をどこに定めるか

新しい国際システムが必要なのは明らかだが、重要なのは「現実に問題を解決すること」だ。戦争、気候変動、経済および感染症のリスクから世界を守ることに焦点をあてた現実的国際秩序を考案していかなければならない。実際、指導者の多くは、第三次世界大戦の火種となりかねないウクライナでの戦争を止めさせ、新サプライチェーンが形作る「新経済秩序ビジョン」の構築を求めている。エネルギーショックをより低炭素の未来に向けた未来につないでいく機会にし、次の感染症パンデミックに適切に備えることを望んでいる。ここで問われているのは民主主義や独裁主義の価値観ではない。問題を解決するための連帯とプラグマティズムだ。・・・(ゼリコー)

数十年にわたって、ワシントンは複雑で困難な官僚的プロセスを通じて政策化される「大戦略」に依存してきたが、いまやシンプルな「国家戦略」に立ち返る必要がある。これは、世界をきめ細かに理解し、課題を素早く察知して対応する能力、機会に出会ったときにそれを利用する姿勢、そしてこれらすべてを支える機敏な外交政策の立案と遂行のための効果的なシステムを実現するようなアプローチをとらなければならな。アメリカが主導権をとることが難しくなった現在、われわれが直面している問題が必要としているのは難解な大戦略ではない。もっと素朴なもの、つまり、外交上の繊細なスキルが必要とされている。(コーエン)

アメリカやヨーロッパにおけるポピュリズムや非自由主義への誘惑がそう簡単に下火になることはない。かりに欧米の民主主義が政治対立を克服し、非自由主義を打倒して、経済をリバウンドに向かわせても「多様なイデオロギーをもつ多極化した世界」の到来を阻止することはできない。歴史は、このような激動の変化を伴う時代が大きな危険に満ちていることをわれわれに教えている。21世紀の安定を実現するための最良の手段は「19世紀ヨーロッパにおける大国間協調」を世界に広げた、中国、欧州連合(EU)、インド、日本、ロシア、アメリカをメンバーとし、国連の上に位置する「グローバルな大国間協調体制」を立ち上げ、大国の運営委員会を組織することだ。(ハース)

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