Focal Points

2022.7.10 Sun

<7月号プレビュー>
強大化する中国の核戦力、台湾紛争と核戦争リスク、プーチンは政治的に敗北する

既存の2大核保有国と肩を並べることで、中国は核の三極体制という、きわめて不安定な核システムへのパラダイムシフトを起こしつつある。冷戦期とは違って、核軍拡競争のリスクが高まり、国家が危機に際して核兵器を利用するインセンティブも大きくなる。三つの核大国が競合すれば、二極体制の安定性を高めていた特質の多くが不安定化し、信頼性も低下する。中国がロシア同様に核大国の仲間入りすることをアメリカは阻止できないが、その帰結を緩和するためにできることはある。(クレピネビッチ)

北京は「台湾防衛のコストは極めて高く、たとえ北京が台湾に侵攻しても対抗措置をとることは割に合わない」とアメリカおよびその同盟国を納得させたいと考えるはずだ。そのための手段はいくつかあるが、北京にとって、核兵器を持ち出すことがアメリカをこの紛争に介入させないもっとも効果的なやり方だろう。実際、アメリカと同盟国の戦略家は、「台湾をめぐる紛争では、中国は通常戦力と核戦力の全選択肢を検討に入れている」という事実を認識しておかなければならない。(ペティジョン、ワッサー)

ウクライナにおける戦争の流れは、ますますロシアに不利な方向に推移しており、ロシアの壊滅的な敗北で終わることはほぼ間違いないだろう。10年に及んだアフガニスタン戦争では、1万5000人のソビエト兵が命を落とし、それが共産主義体制の崩壊を促した要因の一つとなったが、今回のウクライナ戦争では、最初の2カ月でそれを上回る数のロシア兵が命を落としている。実際、ロシア連邦安全保障会議がプーチンを権力ポストから解任する可能性もある。だが一方で、プーチンが秘密警察の動員に成功して、ロシアを北朝鮮のような国に変える恐れもある。(アスルンド)

論文データベース

カスタマーサービス

平日10:00〜17:00

  • FAX03-5815-7153
  • general@foreignaffairsj.co.jp

Page Top