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2022.7.13 Wed

温暖化と異常気象が人類を脅かす
―― 異常気象への適応戦略を

ハリケーンから洪水、干ばつ、山火事、そして土砂崩れに至るまで、気候変動が誘発する異常気象が世界各地で大きな破壊を引き起こしている。温室効果ガスの排出を削減するだけでは、もはや気候変動の悪影響を食い止めることはできない。異常気象が引き起こす災害に備える適応戦略が必要だ。気候変動が人命、家、雇用を奪う段階にすでに入っているし、異常気象災害からの復旧が強いる財政負担の肥大化を抑えるためにも、気候変動適応戦略を策定する必要がある。(ヒル)

二酸化炭素の排出量は増え続けており、今後1世紀で、世界の気温は最低でも4度上昇する軌道にある。2050年を過ぎると、世界の人口の半数以上が、経験したことのない暑い夏に苦しめられるようになり、それ以降、地球の陸地の44%は乾燥し始める。温暖化した地球ではより極端な現象が起きるようになる。熱波、大暴風雨、干ばつなど(の異常気象)が気候変動によって引き起こされていることはいまや立証されている。もはや排出量をゼロに抑え込むだけでは十分ではない。すでに大気中にある約1兆トンの二酸化炭素を取り除かなければならない。(ラマナタン他)

2022年は暑い年になるだろうが、少なくとも今後100年間でみればもっとも涼しい年の一つになるはずだ。熱波は人命を奪うだけでなく、道路の陥没や線路の歪みなど、インフラにもダメージを与える。ハリケーンや竜巻とは違って、熱波はドラマチックなニュース映像になりにくいが、暴風雨と同じように、熱波は対策をとり、備えることができる。熱波に名前をつけたり、カテゴリーを示したりすれば、大衆の注意を引きやすくなる。だが、気温上昇への対応計画を立案し、実行する担当者を置いている都市は、世界にも数えるほどしかない。(マクラウド)

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