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2022.6.20 Mon

中国経済は低成長期へ
―― 世界経済への意味合い

企業投資、家計や政府の支出、貿易黒字からみても、中国の国内総生産(GDP)がこれまでのような成長を持続できるとは考えにくい。現実には、2022年に2%の成長を維持することさえ難しく、正確に計測すれば、2022年はゼロ成長、あるいは景気後退に陥る危険もある。基本的な財政・金融・その他の改革を遂行せずに、政治的に決定された高い成長目標を永続的に達成できると信じる理由はどこにもない。ワシントンは「中国経済が問題に直面している」という現実への関心を責任ある形で喚起すべきだろう。(ローゼン)

長年にわたる産児制限策を撤廃すれば、出生率は上昇し、人口は増えると北京は考えていた。だが、どれも十分な効果はなかった。共産党が「伝統的なジェンダー規範」を復活させたことも、出生率低下の根本原因を悪化させるだろう。北京は、女性を苦しめるイデオロギー的な政策転換をやめ、人口の高齢化を受け入れるべきだ。定年退職年齢を引き上げて、持続不可能な年金額を引き下げ、高齢者、特に貧しい農村の高齢者のための介護制度を改善して少子高齢化の余波に対処する必要がある。(ミンズナー)

大家族の衰退という中国で進行するトレンドがいまや大きな流れを作り出している。この現象が引き起こす衝撃を北京が十分に認識していないだけに、家族構造の変化は、今後長期にわたって、中国の大国化願望を脅かし続けるだろう。1世代後の中国は、この人口動態上の逆風ゆえに、当局が想定するほど豊かでも生産的でもないはずだ。伝統的にライフボートの役目を果たしてきた大家族主義や血縁的つながりが衰退し、大規模な社会保障国家をあと1世代で構築しなければならないとすれば、経済外交と国防政策を通じて外国に影響力を与える北京の手段は大きく制約される。(エバースタット、バーデリ)

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