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2022.6.17 Fri

AIをいかに戦力に取り込むか
―― 地政学革命としての人工知能

AIは、いまや防衛技術における進化のすべての中枢に位置し、戦力の配備や戦闘方法にまで影響を与えている。ロシアとウクライナはともにアルゴリズムを使ってソーシャルメディアと戦場から入ってくる膨大なデータを分析し、自国の攻撃にこれらの情報を生かしている。一方、ペンタゴンはAIと自律型兵器システムを含む新技術の重要性を説きつつも、軍事領域での応用ペースは緩慢だ。こうしたアメリカのAI軍事技術開発の遅れは、もっともパワフルな地政学的ライバルである中国の動きとは対照的だ。(ホロウィッツ他)

米軍は、低コストの自律型航空機から無人潜水艦までの、将来の戦力整備を目的とする数多くの開発プログラムをもっている。目的はよりスピーディに「キルチェーン」を実現することにある。現状で、時代遅れの一つのプログラムに投資されている金額で、数十の自律的システムを導入できるし、これによって、より高度な能力を手に入れられる。目的は、もちろん、戦争を挑発するためではなく、それを抑止することにある。アメリカは、このタイプの軍隊を組み立てる資金、人的資源、テクノロジーを兼ね備えている。問題は、新軍事技術革命を生かしたシステム移行に想像力と決意をもたらせるかどうかだ。(ブローズ)

産業革命は世界を変えたが、人の頭脳が依然として必要とされたために、高賃金雇用が数多く創出された。しかしデジタル革命を担うのは、人間の頭脳を代替する人工知能(AI)だ。おそらくロボットはすべての仕事の4分の1(25%)以上を担うことになると考えられている。しかも、真に開花するまでに100年以上を要した産業革命とは違って、デジタル革命による雇用喪失はわずか数十年で加速していく。これに比べれば、中国の台頭などの21世紀の地政学的動向は、取るに足らぬ問題にすぎなくなる。どの国が世界最高のAIを保有しているかですべては決まるし、政府形態も流動化していく。(ドラム)

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