Focal Points

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2022.2.4. Fri

プーチン・ドクトリンの目的
―― 勢力圏の確立と欧米秩序の解体

「欧米は30年にわたってロシアの正統な利益を無視してきた」。この確信がプーチンの行動を規定している。近隣諸国や旧ワルシャワ条約加盟国の主権上の選択を制限するロシアの権利を再び主張し、外交であれ軍事力であれ、欧米にそうした制約を受け入れさせることを彼は決意している。ロシアのことを、近隣地域に特別な権利をもち、あらゆる重大な国際問題について発言権をもつ、尊敬し、畏怖すべき大国として接するようにさせることも大きな狙いだ。ソビエト崩壊という結末を覆し、大西洋同盟を分裂させ、冷戦を終結させた地理的解決策を再交渉すること。これがプーチンの包括的な目的だ。(ステント)

ロシアによる国境地帯への戦力増強は、ワシントンの関心を引くことだけが目的ではない。キエフへの圧力を高めることで、ウクライナ近隣のヨーロッパ諸国を不安にさせ、ロシアの真の目的がどこにあるのかをアメリカに憶測させることも狙いのはずだ。実際、モスクワの意図を曖昧にすることが、実は目的なのかもしれない。だが、こうした曖昧さゆえに、ロシアの意図を読み違え、米欧が対応を誤るリスクは高まる。・・・(ステント)

プーチンの最終目標は、ウクライナの軍事力を疲弊させ、キエフを混乱に陥れ、最終的にウクライナを破綻国家にすることだ。プーチンがそう望むのは、ウクライナが手に負えない敵となり、次第にロシアの安全保障上の深刻な脅威となっていく危険をこの段階で摘みとっておきたいと考えているからだ。もっとも可能性が高いのは、陸海空の戦力を全面的に投入したウクライナに対する全面攻撃シナリオだろう。世界は、第二次世界大戦以来、ヨーロッパ最大の軍事攻撃が起きるかどうかの瀬戸際に立たされている。・・・(ビンドマン、バスティロス)

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