Focal Points

2022.10.9 Sun

<10月号プレビュー>
アルゴリズムと政治、台湾防衛の強化を、ロシア経済の行方、他

重要なのは、AIの優位性をめぐる技術競争において米中のどちらが勝つかではなく、民主国家と独裁国家が社会を統治するために依存するそれぞれのフィードバックループをAIがどのように変化させるかだ。たしかに、民主国家では政治的分断がさらに深刻になるかもしれない。一方、機械学習は独裁国家も混乱させ、手遅れになるまで社会の根本的な亀裂を覆い隠してしまうかもしれない。これまでの一般認識とは逆に、AIは、独裁体制による、現実の理解を妨げ、イデオロギーと幻想を強化することで、最終的に独裁政権を大きく揺るがすかもしれない。(ファレル、ニューマン、ウォレス)

中国軍の新戦力の多くはオンラインで大規模に結ばれており、米軍の作戦上の課題をひどく複雑にしている。一方、台湾有事の際に中国軍に対抗するためのもっとも有望な米軍の能力の多くは、2030年代まで整備されず、戦力に完全に統合されることはない。このため、2024年から2027年にかけて、台湾防衛が脆弱化する危険があり、習近平はこの段階で軍事的な台湾攻略が成功する可能性がもっとも高いと判断するかもしれない。アメリカは台湾の自衛能力の近代化と強化を支援するとともに、台湾への武力行使を抑止する米軍の能力を強化しなければならない。(フロノイ、ブラウン)

戦争と経済制裁のコストは、当初のインパクトが、欧米が期待したほど、そしてロシアが懸念したほど劇的でなかったとしても、今後、大きくなっていく一方だろう。原油価格が上昇しない限り、モスクワは社会(財政)支出を続ける一方で、財政赤字や高インフレを受け入れるという、厳しいトレードオフに直面することになるはずだ。モスクワの戦争遂行を停止させるような形でロシア経済が崩壊することはないとしても、急激なリセッションや生活レベルの低下が続き、今後も短期的には経済がリバウンドするとは期待できないだろう。(ミラー)

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