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2022.10.18 Tue

アルゴリズムと幻想の政治
―― テクノロジーが強化するのは民主主義か権威主義か

重要なのは、AIの優位性をめぐる技術競争において米中のどちらが勝つかではなく、民主国家と独裁国家が社会を統治するために依存するそれぞれのフィードバックループをAIがどのように変化させるかだ。機械学習が広く浸透すれば、民主政治は必然的に蝕まれ、独裁政治が強化されると考えられている。たしかに、民主国家では政治的分断がさらに深刻になるかもしれない。しかし、投票と世論(vote and voice)という強力なフィードバック・システムによって問題をある程度は軽減できる。(ファレル、ニューマン、ウォレス)

AIをはじめとする技術革新は日常生活を改善する素晴らしい未来を約束する一方で、権威主義体制の締め付け強化に利用されてきた。デジタル抑圧の強化は、国家の統制が拡大し続け、個人の自由は縮小し続ける荒涼たる未来を想起させる。楽観論者たちが21世紀の幕開けに展望したのとは逆に、権威主義国はインターネットをはじめとする新テクノロジーの犠牲にされるどころか、それから恩恵を引き出している。(ケンドル=テイラー 、フランツ、ライト)

「監視資本主義=サーベイランス・キャピタリズム」が台頭している。フェイスブックとグーグルが主導するこの産業は、バーチャル世界から現実世界へとサーベイランスの範囲を拡大し、個人の生活の内側に入り込んでいる。ユーザーデータの収集・分析から、ユーザーが「今かすぐ後、あるいはしばらく後にとる行動」を予測することへ流れは移行しつつある。しかも、予測を的中させるもっとも効率的な手法は、予測されている行動をとるように仕向けることだ。(スター)

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