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2022.1.31. Mon

強権者エルドアンの不安と権力
―― エルドアン時代の終わり?

夕暮れ迫る帰り道に船の甲板でコーランを暗唱した少年も、いまやトルコの強権者だ。信奉するイデオロギーを数年ごとに見直してきたエルドアンは、すでにチェック&バランスシステムの多くを解体し、権力を自身に集中させている。与党内に官僚を束ねる実務家を欠いていたために、エルドアンは司法、警察、軍という国の機能をギュレン派にアウトソースし、その結果、管理権を喪失した。権力の分散化を前に「自分の権力はいつ覆されておかしくない」と考えるようになり、中東での孤立と国内での反政府行動そしてクーデター未遂事件がこれに追い打ちをかけた。・・・(ジェンク)

2022年にはトルコのインフレ率は20%を超えると予想されており、もはや経済が好転する見込みはなくなりつつある。しかも、野党のリーダーたちは、エルドアンを倒すために2023年の選挙に向けて連帯することを約束している。これまで政治腐敗に手を染め、権力を乱用してきただけに、ひとたび権力ポストを追われれば、エルドアンは起訴される可能性が高く、それだけに大統領の座を維持するためにあらゆることを試みるだろう。(カガプタイ)

エルドアンは自らのことを「現代のスルタン」とみなしているようだし、「トルコはイスラム世界をリードできる唯一の国だ」と明言している。そうだとすれば、サウジはアンカラの同盟国からライバルへと姿を変える。湾岸諸国内部で今も続いている対立においても、トルコはイランとともにカタールを支持している。しかも、クルド問題を含む現在の利害からみても、アンカラにとって、アメリカやサウジよりも、イランやロシアと協力する方が合理的だ。(クラーク、タバタバイ)

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