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2021.8.30. Mon

法人最低税率とタックスヘイブン
―― 「どこかで必ず課税される」

多国籍企業の利益の40%が毎年タックスヘイブン(租税回避地)に移転されることで、世界の法人税収2000億ドル相当が失われている。しかも、アマゾン、フェイスブック、グーグルなどのハイテク巨大企業の台頭が、「(工場などの)国内における物理的なプレゼンスを前提に課税権を認める伝統的なモデル」を揺るがしている。ハイテク企業は、ユーザーはいるが工場や店舗をもたない国で、広告その他から数十億ドルを稼ぎつつも、現在のルール下で税金を払っていないからだ。一方、提案されている世界共通の最低法人税率(15%)が導入されれば、例えばバミューダのドイツ企業子会社が税金をほとんど支払っていない場合、ドイツ政府は差額を最大15%まで課税できるようになる。(シリプラプ)

犯罪組織や途上国の独裁者だけでなく、超富裕層も多国籍企業も「自分にとって好ましくないルールを回避するために」資金や資産を「オフショア」と呼ばれる「他のどこか」に移動させている。好ましくないルールとは「税法、情報開示請求、刑法、あるいは金融規制」だ。タックスヘイブンは租税回避を容易にし、法の支配を弱め、組織犯罪の温床を作り出す。格差をさらに拡大させてポピュリストの反動を助長し、市場経済を腐敗させる。強大な力で保護されているこの世界最大の利権構造に切り込むのは容易ではない。犯罪と格差に対する民衆の怒りを動員する政治家の政治的意思が必要になる。(シャクソン)

一見するとパナマ文書の漏洩は、米陸軍兵士のチェルシー・マニングがウィキリークスに機密文書を渡したケース、元NSA(アメリカ国家安全保障局)の契約局員だったエドワード・スノーデンが暴いた国際監視プログラムなど、一連の漏洩(リーク)事件と同じように思える。著名な政治家や政府関係者の偽善的行為を暴き出した点では、こうした先例とパナマ文書には共通点がある。とはいえ、パナマ文書がもつ本当の意味の比較対象としてふさわしく、しかも今後の展開を知る上で有益なのは、スノーデンでもジュリアン・アサンジでもない。それは、著名なフランスのエコノミスト、トマ・ピケティだ。(ファレル)

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