Focal Points

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2020.12.29. Tue

<Agenda2021>
パンデミックの経済・社会・政治的意味合い―― コロナウイルスが変えた世界 Part 4

ビジネスマンは、今回の経験から(効率よりも)レジリエンス(柔軟性、ゆとり)を維持することの重要性を教訓として学んでいくだろう。(今回のように)この上なく最適化された(無駄のない)サプライチェーンが、ショックによって機能不全に陥るのを避けようとするはずだ。・・・結局、各国が新たに議論できる空間を提供する国際機関を立ち上げられるまでが、効率性や成長の重要性はこれまでよりも割り引いて捉えられるようになるかもしれない。(G・ハバード)

国や市民にとって、平和とはたんに国家間戦争が起きていない状態ではない。経済の不安定化、民主主義の後退、制度や体制への不信、特定の人種のスケープゴート化など、これらの全ては政治的暴力の可能性を高める。不幸にもCOVID19は、これらのトレンドを刺激している。アメリカでは、長年の人種間の不平等や社会的分断が引き起こす問題をパンデミックが増幅させ、警察官が黒人男性を死亡させた映像が大規模な抗議活動に火をつけた。アメリカだけではない。マイノリティ集団をスケープゴートや攻撃の対象にし、特定の宗教を差別する行動、アジア系やユダヤ系の人々に対する暴力行為やスケープゴート化、陰謀論の流布が世界各国で広がっている。(ブラウン、ハールバート、)

ウイルスの拡散を封じ込めようと奮闘するなか、欧米のリベラルな民主国家は、アウトブレイクを制限するための中国のやり方に注目し、権威主義的な手法の一部を採用すべきかどうかを考えている。この10年というもの、中国はデジタル権威主義の監視(サーベイランス)国家を構築し、5G技術やオーウェル的な顔認識システムを外国に輸出してきた。パンデミックとの闘いにおいて強固なサーベイランス体制が不可欠であることを東アジア諸国はすでに立証している。今後数年間で、疫学とテクノロジー部門の世界的な混乱が重なり合い、グローバルな歴史が形作られることになる。(ライト)

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