Focal Points

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2019.8.28 Wed

<9月号プレビュー>
中国対外行動の源泉
――米ソ冷戦の教訓と米中関係

中国はかつてのソビエト同様に、共産党が支配する独裁国家だが、違いは国際主義(共産主義インターナショナル)ではなく、ナショナリズムを標榜していることだ。しかも、アジアにおけるアメリカの立場と地位を粉砕しようとする中国の路線は、スターリンのヨーロッパに対する試み以上に固い決意によって導かれているし、中ロ同盟出現の危険もある。何らかの(国家的、社会的)統合要因が作用しなければ、目的を見据えて行動するアメリカの能力の低下によって、多くの人が考える以上に早い段階で、恐れ、憎しみ、野望によって人間の本能が最大限に高まるような制御できない世界が出現する危険がある。(ウェスタッド)

ソビエトという国家は、中国共産党にとってモデルであり、反面教師でもあった。ソビエト崩壊の記憶ゆえに(その二の舞になるのを避けようと)中国共産党指導部は権力維持に向けた決意を固め、党が軍部を支配することの重要性を肝に銘じた。なぜ習近平が個人への権力集中や民衆の生活のより多くの側面への党の介入路線の強化へと動いているかも、これである程度説明できる。だが目的は変化した。習の「中国の夢」が約束するのは、ボーダーレスなプロレタリアの楽園ではなく、党の支配の下で、中華文明の栄光を取り戻すことだ。・・・(フリック)

習近平思想は一見意味のないスローガンにしか思えないかもしれない。だが、よく調べてみると、彼の言う「中華民族の偉大な復興」のための統合計画が浮かび上がってくる。習のプロジェクトを適切に理解したければ、フランス人ならフランス革命、日本人なら明治維新を想起すればよい。習近平思想とは、「共産党を中心とする中国の民族国家形成に向けたプロジェクト」なのだ。・・・(バポネス)

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