Focal Points

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2019.10.1 Tue

<10月号プレビュー>
日韓対立と中国の立場
―― 東アジア秩序の流動化の始まり?

中国は、日韓関係の緊張をアメリカのリーダーシップの衰退として認識させようとしている。アジアにおける米同盟システムが十分に傷つくほどに緊張が高まることを望みつつも、日韓関係が完全に破たんしてしまうほど悪化することは望んでいない。とはいえ、北京は、近隣諸国が中国のことを「アメリカよりも信頼できるパートナー」と位置づけることを望んでいる。もちろん、その結果、東アジアの優先順位とパワーが大きく変化すれば、アメリカの地域的立場は形骸化し、アジアの戦後秩序は再編へ向かうことになる。(グレーサー、マストロ)

北京が北朝鮮の生存を我が事のように心配しているわけではない。北京の目的は、アメリカの地域的影響力に対抗し、朝鮮半島への中国の影響力を強化することに他ならない。仮に北京が米朝交渉における仲介者の役割を担えば、朝鮮半島での影響力を譲るようにアメリカを説得しやすくなる。一方、有事となれば、北朝鮮の領土と核兵器の大半を管理下に置くために、中国は半島北部に大がかりな軍事介入を試みることもできる。戦争、外交のいずれのシナリオであっても、朝鮮半島における中国の利益を確保することにある。(マストロ)

金正恩の真意は、「非核化に応じた場合に得られる特権」を何の譲歩をすることもなく引き出すことにあるのかもしれない。結局、金正恩は非核化を口にしつつも、交渉を通じて妥協と見返りを段階的に繰り返し、再びエスカレーション策をとれるようになるまで時間稼ぎをするつもりかもしれない。さらに重要なのは、中国の立場だ。北朝鮮問題の一方で、北東アジアの今後の地政学をめぐるゲームが展開されることを忘れてはならない。(グリーン)

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