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2018.9.5 Wed

<論争>エネルギーの未来
―― カーボンプライシングという幻想

カーボンプライシングで二酸化炭素排出量を削減するアプローチには問題がある。気候変動対策としては大した効果がない。カーボンプライシングのスキームで、排出量削減が可能なのは経済の特定セクターだけで、その他の部門は実質的に排出を削減しようとはしていない。このスキームが大きな効果を及ぼし得るセクターに対しても、政策決定者には十分な排出削減効果を期待できるような価格を設定する政治的気概がない。問題が悪化の一途をたどっているにもかかわらず、政治家も市民も、この制度を導入するだけで自分たちが気候変動と闘っているという陶酔感に浸ってしまっている。(ボール)

環境へのダメージを少なくするには、より信頼できるエネルギー密度の高い資源へとシフトしていく必要があるにも関わらず、これまでとは違って、現在のエネルギーシフトではエネルギー密度が低い再生可能エネルギーへの移行が起きている。現実には、再生可能エネルギーでは超高層ビル、地下鉄、そして都市でひしめき合うように生活する数多く市民の物質的需要を満たすことはできない。環境へのダメージを少なくし、より信頼できるエネルギー密度の高い資源へシフトしていくには原子力というオプションしか残されていない。(シェレンバーガー)

2050年までには、石油も石炭も原子力も必要とせず、天然ガスの消費量も現在の3分の2程度で済む時代が実現する。自動車、建物、そして電力生産の効率をいかに高めていくかがこの変化の鍵を握る。第1に自動車を、炭素繊維を用いたボディに、そのエンジンを電気稼動型に切り替え、カーシェアリング、ライドシェアリングなど車をもっと生産的に利用するようにする。第2に、ビルや工場の設計と素材を変えるだけで、エネルギーの使用効率を現在よりも数倍高めることができる。第3に、電力供給システムをより多様で分散した再生可能エネルギーを中心としたものへと近代化していくことだ。(ロビンス)

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