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2018.7.18 Wed

米中が規定する北東アジア地政学
―― 覇権競争、北朝鮮、台湾

現状ではアメリカの地位と立場の失墜が中国にチャンスを与えている。しかし・・・アメリカは依然として他を寄せ付けぬ強国だ。しかも、これは純粋な二国間のゲームではない。アメリカは中国の台頭を許容しつつも、ヨーロッパ、日本、インド、ブラジルを含むその他多くの国の成長を促進した。これらのプレイヤーの多くがアメリカのリーダーシップの一部に苛立ち、中国の投資を求めているとしても、中国への服従を北京に強制されるよりも、現在の(米主導の)アレンジメントを好ましいとみなすかもしれない。(コトキン)

北京は段階的な非核化交渉、さらには緊張を緩和する平和条約の締結に向けた交渉を望んでいる。朝鮮戦争の紛争の当事国ではない日本を交渉から除外すること、さらには、米軍基地の存在やミサイル防衛システムの配備、さらには日米韓の三カ国防衛協力に反対する勢力を勢いづけたいと考えている。北朝鮮の脅威が実質的に低下するかどうかに関係なく、習はアメリカの同盟関係を機能不全に追い込むような外交プロセスを開始することが好ましいと考えている。憶測を違えた平和条約や検証措置を欠く核合意を根拠に、トランプが時期尚早に韓国からの米軍撤退を提案するのが壊滅的な間違いである理由はここにある。(グリーン)

トランプがアメリカと台湾の関係を大幅に格上げすれば、この動きは台湾では大いに歓迎されるだろう。しかし、蔡はそのような変化を受け入れる誘惑に耐えた方が賢明だ。誘惑に負ければ、台湾は「ワシントンの中国対抗策における人質(手駒)」にされてしまうことを認識すべきだろう。その言動にまとまりがなく、極度に混乱しているトランプ政権は、信頼できるパートナーではないし、アメリカファーストを支持するトランプの支持基盤からみても、アメリカが台湾のために中国と戦争するとは考えにくい。蔡が慎重路線に立ち返り、包括的で長期的な安全保障を最優先に考えることが、台湾の利益に合致するはずだ。(リンチ)

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