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2018.6.18 Mon

トランプの貿易政策は何を引きおこす
―― 保護主義の連鎖と自由貿易の危機

トランプの貿易政策の最大のリスクは、一つ間違えれば、アメリカが第二次大戦以降推進してきた開放的な国際貿易体制に、取り返しのつかないダメージを与えてしまう恐れがあることだ。現在の国際貿易体制は、アメリカの貿易相手国、つまり、WTOに加盟する163カ国と地域の貿易政策をルールで規制している。アメリカがそのルールを踏み外せば、他の諸国もアメリカを差別的に扱ってもよいと考えるようになる。1930年代など過去の貿易政策の失敗から言えるのは、保護主義が保護主義を呼び込んでしまうことだ。そうなれば開放的な貿易体制は崩壊し、世界経済だけでなく、トランプが代弁していると主張する米市民にも大きな打撃を与えることになる。(アーウィン)

1世紀以上前の農業部門がそうだったように、アメリカのブルーカラー雇用の減少は、生産性を向上させるテクノロジーの進化によるものだ。グローバル化はこの流れを加速しているにすぎない。しかも、グローバルなバリュー・チェーンのなかで、生産工程は世界各地に分散している。自動車部品、鉄鋼、半導体、プラスチック等の中国からの輸入の一部は、実際にはアメリカの輸出製品に使用する中間財や原材料で、最終製品の価値に貢献している。逆説的ながらも、この意味では中国からの輸入製品を対象とする関税はアメリカの輸出製品に課税するようなものだ。アメリカ製品の価格を上昇させ、米企業の競争力を損ない、さらなる雇用減少につながりかねない。(カンパネッラ)

トランプ政権は世界貿易機関(WTO)の権威を貶め、中国その他の権威主義国家が近隣の小国に経済的忠誠を求めて圧力をかけられるような環境を作り出し、脱税や気候変動に関する国際合意を損なう行動をとり、主要な同盟諸国でさえ、アメリカ抜きの自由貿易合意や投資協定を模索するような流れを作り出してしまった。ワシントンがこれまでの経済的リーダーシップから離れていけば、世界だけでなく、アメリカも大きなダメージを負うことになる。(ポーゼン)

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