Focal Points

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2018.4.10 Tue

対中幻想に決別した新アプローチを
―― 中国の覇権と日本の安全保障政策

ワシントンが中国という近代におけるもっとも手強いライバルに対応していくためには、中国をリベラルな国際秩序に関与させることでその行動が変化していくだろうという希望的観測を対中アプローチから取り除く必要がある。実際、外交や通商面でのエンゲージメントも、軍事力もアジアリバランシング戦略も効果はなかった。ワシントンはアメリカのパワーと行動、さらには同盟国とパートナーのパワーと行動により目を向けるべきだ。そして、中国に関するより現実的な前提を政策の基盤にすれば、アメリカの利益をうまく促進し、二国間関係の基盤をより持続可能なものにできるだろう。(キャンベル、ラトナー)

現在のトレンドが続けば、そう遠くない将来に、中国はアメリカに代わって、東アジアの経済・軍事・政治を支配する覇権国になるだろう。そして、地域覇権国は近隣諸国の内政にかなり干渉することを歴史は教えている。中国に対抗できるポテンシャルをもつ唯一の国・日本は、特に重要な選択に直面している。日本人は軍備増強には懐疑的で、むしろ、経済の停滞と高齢社会のコストを懸念しており、引き続き、銃よりもパンを優先する決断を下すかもしれない。だが実際にそうした選択をする前に、中国が支配するアジアにおける自分たちの生活がどのようなものになるかについて日本人はよく考えるべきだろう。(リンド)

中国などの非自由主義諸国は、他国の民主化を推進するアメリカの戦略が本質的に現状の変革を重視していることに大きな脅威を感じている。この点においてアメリカと中国はともに現状の変革を求めるリビジョニスト国家といえる。ワシントンは今後も民主化を促進すべきだが、より他に脅威を与えない方法を通じて、しかも地域大国とアメリカの関係に戦略的余波が及ばない地域でそれを行動に移すべきだろう。ワシントンはリベラリズムを促進しつつも、その戦略が他国をひどく脅かす可能性があることを十分に認識する必要がある。(リンド)

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