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2018.3.16 Fri
モスクワの策略に立ち向かうには
―― ロシア封じ込め政策を提言する
ロシア政府は政治腐敗まみれの泥棒政治システムを守ろうと、その生存を外から脅かす最大の脅威と彼らがみなす「欧米の民主主義」に対する国境を越えた闘いを挑んでいる。ロシア国民の目を国内問題から国外に向けさせ、欧米民主主義国家の世論を分断していく状況下で、モスクワは国内の権力基盤を固めることに専念し、「近い外国」に対して思うままに影響力を行使できる。だが、プーチンとその取り巻きたちは、アメリカの民主主義の最大の強さは市民の政治参加にあることを理解していない。(バイデン、カーペンター)
ロシアが地域的にも世界的にもより大きな役割を果たすには、アメリカのパワーを弱めなければならないとプーチンは判断しているようだ。アメリカ社会を分断し亀裂を大きくさせ、国家としての一体感や統合を攻撃対象としている。問題は、ロシアの攻撃に対するアメリカのこれまでの対応がひどく不適切なことだ。ワシントンは、モスクワに真のダメージを強いる措置を講じる一方で、未来の攻撃に備えて防衛を強化し、モスクワの路線にもっとも脅かされるヨーロッパ同盟国への軍事的コミットメントを強化しなければならない。(ブラックウィル、ゴードン)
プーチン大統領はスターリン時代のイデオロギーを都合よく利用している。実際、ロシア政府にとって、歴史は客観的に扱われるべきものではなく、国家イデオロギーを推進するためのツールなのだ。現在のロシア政府は、強権政府のカルトを民衆の意識に植え付け、ロシア民衆と国の歴史的例外性、世界のロシア系住民を統合していくことの特別な価値を訴えるプロパガンダを唱えている。そうすることで、ロシアの対外的膨張主義と国内での抑圧を正当化しようとしている。(ペトロフ)
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民主体制を権威主義国家の攻撃からいかに守るか
―― モスクワの策略に立ち向かうには2018年1月号 ジョセフ・R・バイデン 前米副大統領、マイケル・カーペンター 前米国防副次官補
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ロシア封じ込め政策を提言する
―― もはや攻撃を看過すべきではない2018年3月号 ロバート・D・ブラックウィル(米外交問題評議会シニアフェロー)、フィリップ・H・ゴードン(米外交問題評議会シニアフェロー)
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ロシアが歴史に向き合わぬ理由
―― 国内的抑圧と対外的膨張主義を正当化するために2018年2月号 ニキータ・ペトロフ 「メモリアル」研究教育センター副理事長
2018年3月号
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トランプを待ち受ける嵐
―― ドナルド・トランプの本当のコストトランプ外交の最も危惧すべき点は「自分は何をしているかを分かっている」と誤認していることだ。外交が嵐に遭遇しなかったのも、本人の成長ではなく、側近たちの抵抗によるものだ。「自分が天才だからだ」と理由づける多くのことは、単に幸運に恵まれた結果にすぎない。早晩、彼の運も使い果たされる。その時がやってくれば、トランプ大統領が強いた本当のコストがはっきりしてくる。
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民主国家が開放性を維持すべき理由
―― シャープパワーとソフトパワーの間民主社会が中国やロシアなどの権威主義国家のシャープパワーに対抗していく上で留意すべきことがある。それは、権威主義と同じやり方で相手のシャープパワーに対抗措置をとってはならないということだ。そのような過剰反応を示せば、自らのソフトパワーを傷つけることになる。アメリカ社会へのアクセスを閉ざしたり、その開放性を無くしたりすれば、ソフトパワーという大切な資産を損なうことになる。
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CFR Events 世界エネルギーアウトルック
―― 米は石油・天然ガスのリーダーに、
中国はクリーンエネルギーの覇者にアメリカのLNG輸出が市場をより柔軟なものへ変化させている。これが、天然ガスの価格などのさまざまな領域で大きな意味合いをもつことになる。ガソリンの消費は間違いなく低下していく一方で、トラック産業などの産業の燃料や原材料を石油以外の何かで代替していくのは非常に難しい。中国は、重工業、石炭型経済から、ゆっくりとだが、それでも着実に、クリーンエネルギーの先進国へと姿を変えつつある。