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2018.10.11 Thu

大学の何が問題なのか
―― 問われる問題解決能力

たしかに、ランキングの利便性は疑いようがない。大学の経営陣にとっては、限られた資金をどこに投資するかを判断する指針にできるし、学生や親は、特定の大学に大きな関心を寄せるようになり、政府や篤志家は、どこの大学にグラントや寄付を提供するかの指標にできる。問題は、主要な大学ランキングは研究者一人当たりの論文の数や論文の引用数といった細かな指標でアカデミックな優劣を判断し、政策志向、社会志向の研究が評価の対象にされていないことだ。学術的関心に目を向けているだけでは、社会的関心や懸念にも応えていくという大学における研究の内示的な社会契約を踏みにじることになる。(キャンベル、デッシュ)

アメリカのエリート大学は若者に教養と規律を与える場ではなくなっている。大学は学部生を教える仕事を薄給の非常勤講師に任せる一方で、学生とはほとんど接することのない著名な研究者をリクルートすることに血道をあげている。経験が豊かで献身的な教員の指導のもとで、学生たちがさまざまな概念について意見を交換し、人生の目的を考え、それまで常識と考えてきたことに疑いを抱くような経験をさせるという役割はもはや重視されていない。・・・(シアラバ)

日本企業の採用担当者からみれば、大学は人材を供給してくれる存在にすぎない。彼らは学生が大学で何をしたかよりも、大学名に注目する。成績さえ無意味とみなされる。だから学生は勉強しようという気にならないし、教員は教えようという気にならない。その結果、大学は学生にとって「レジャーランド」になっている。だが、大学3年になると、恐ろしい就職活動が始まる。これが「心に一生の傷を残す」と学生たちは言う。日本の教育は、就職活動を軸に構成されていると言ってもいい。・・・(スチュワート)

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